毎日の通勤にタクシーを常用している方はほとんどいないと思います。しかし特別なタイミングだけ、もしくは金曜日だけという方は意外といるでしょう。
私は家の位置の関係でよくタクシーを使っていたのですが、金曜日だけ異常なほどに並んでいることが多く、その光景を見るたびに「ああ、今日は金曜日か」と思っていました。
金曜日に使いたくなる理由はわかります。「1週間がんばったから」とか「飲み会に参加したから」とかそんな理由が多いでしょう。
しかし普段は歩いて帰っているはずの距離をタクシーで帰ることにメリットはあるのでしょうか。
利用者の7割近くは2,000円以下
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が行ったアンケートによると、利用者の7割近くは2,000円以下の利用との結果になっています。また、1カ月の利用回数は半数近くが1~3回と回答しているため、ほとんどの方が「1~2週間に1度」「近距離での利用」と推測できますね。
2,000円以下で移動できる距離はおよそ5kmです。おそらく普段ならバスや徒歩、自転車など違った交通手段を使っているものの、なんらかの理由でタクシーに切り替えているのではないかと思います。
実際に私が使っていたタクシー乗り場では、金曜日だけ普段の2倍くらいの利用者がいたのでこの調査は正しいのでしょうね。
5kmで節約できる時間はどれくらい?
タクシーを利用するなら他の帰宅手段よりもお金がかかるのは当然ですよね。しかしそれでも金曜日には使うのですから、なにかしらのメリットがあるはずであり、そのメリットは時間だと考えるのが普通です。
タクシーで5km以内だと、だいたい5~10分で着きます。逆に歩いて帰るのなら5kmだと1時間はかかりますね。もしバスを使うのならタイミングが合えばタクシーと同じくらいでしょうが、タイミングが悪ければ待ち時間もあります。
バスが発車するまで10分待った、と仮定すると累計で25分となるので「タクシー10分」「バス25分」「徒歩60分」がおおよその時間としておきましょう。
つまり普段バスを使っているなら2,000円で15分を買うことになり、普段歩いているのなら2,000円で50分を買うのがタクシーです。
時間の価値については曜日や予定次第で変化するので比較するのは難しいです。しかし1週間の疲れがたまっているであろう金曜日ならば、決して馬鹿にはできない価値があるはずです。
また、タクシーについては「天気に影響されない」「1人でリラックスできる」といったメリットもあります。つまりタクシーは「時間」と「快適な環境」を買うための手段である、と言い換えられるでしょう。
長時間並んでまで乗るのは損である
金曜日にタクシー行列ができるのは毎週見かける光景ですが、その金曜日に雨が重なると信じられないほど長蛇の列になっていることもあります。50人くらい並んでいるときもあります。
私は明らかに乗るまでに時間がかかるときは歩きを選びます。なぜならタクシーの最大の利点である「時間」を買うことができないからです。もし50人が並んでいれば乗るまでに30~60分はかかりますからね。
もちろん快適な帰宅環境を買うという意味で2,000円を払う選択肢もあるかもしれませんが、環境だけに2,000円払う価値があるのは雪の日だけだと思います。
とはいってもそれでも乗りたい人がいるのだから行列が形成されているのです。おそらく並んでいる人は「疲れ>時間」となっているのでしょうね。
しかし結局歩いても同じ時間であれば健康のために歩いてもいいでしょうし、場合によっては待ち時間が予想より長い可能性も否定できません。帰る時間が遅くなれば疲労回復の時間が減りますし、時間の節約にもなりませんよね。
つまり並んでまでタクシーに乗る意味はほとんどありません。むしろバスや徒歩より遅ければ損です。
タクシーを待つなら10分が目安
他に帰る手段があるのにタクシーに乗るなら10分が目安でしょう。それ以上は待てば待つほど利用料金が割高になり、一定の待ち時間を過ぎれば逆にマイナスです。
地域のタクシー量や利用者の距離によっても左右されますが、私の経験だとおおよそ5~10人くらいが10分の目安です。疲れているからと安易にタクシーを選択せず、メリットが十分にあるか確かめてから乗りましょう。
(文/kaztel)