2018年からは小学校でも本格的な早期英語教育が導入され、「読む・聞く・書く・話す」という基本能力に加え、英語で「討論・交渉」できるというコミュニケーション能力の育成に重点が置かれるようになる。
どれほどの効果が表れるのかは彼らが実際に社会に出る年齢になってみなければわからないが、30代、40代と年を重ねるごとに学習能力が衰退していくことを思えば遅いよりは早いほうが良いかもしれない。
データでみる社会人の英語能力の必要性
海外の企業とのコミュニケーションを円滑にするため、また優秀な人材を誘致することなどを目的に楽天やユニクロなど大企業の中には社内の公用語を英語にしているところもある。
これは一時的なトレンドで終わるのか、それとも将来的には中小企業にまで導入されることになるのか。ここでいくつかのデータを見てみよう。
TOEICによる「2013年上場企業英語活用実態調査」では、
- 75%以上の企業が英語を使用
- 50%以上の企業が「海外勤務できる人材育成」を推奨
- 80%の企業がグローバル人材の育成として英語研修を実施
など、上場企業では英語能力の必要性に重点を置いていることがわかる。
一方、中小企業を対象としたオンライン英会話ベストティーチャーによる「2012年日本企業の英語意識大調査」では、
- 75%の企業が英語の効用化に否定的
- 30%が社内英語公用化に賛成、同じく30%が否定的意見
- 約90%が英語能力は年収に影響しないと感じている
など、英語能力よりも業務に特化したスキルに重点を置いていることがわかる。こちらのデータを見る限り、英会話能力の良し悪しは殆ど仕事に支障を来たすものではないようだ。
とはいえ、将来的には世界全体のグローバル化が進み、英語を話せることは仕事上だけでなく、個々の生活レベルでも有用となることが推測されるため、やはり話せないよりは話せたほうが良いだろう。
英会話教室に通う人の現実は……
英会話教室に通い始める理由は、会社の方針で、受験のため、妻・夫・友人が英語を使えるから、海外留学したいから、などさまざまであろう。
ただ、英会話教室の平均費用は月額約20,000円と決して安くはない。そして値段に見合った成果が現れないことも少なくない。
初めは予習復習も怠らず意気揚々としていても、そのうち教室に通っているという事実だけで大した進歩もないのにやった気になってしまう、できる気になってしまう、そして何となく止めにくいからとりあえず通い続けている、などはありがちなパターンだ。
それならその20,000円は彼女をディナーにでも誘ったほうがよほど有益な使い道ではないだろうか。全くの初心者が基礎の基礎だけを習いに半分趣味で通うというのなら別だが。
英語ができること=英語でコミュニケーションができる、ではない
英語習得は少しでも多くの単語やフレーズを暗記するためにコツコツと毎日続けることが大事だ。
そして勉強したことを試す場として英会話教室へ通うことで、自信が生まれるというのなら高い受講費も無駄ではないかもしれない。
だが同時に、話す相手の文化的背景・習慣などを知ることで会話の引き出しが増え、コミュニケーション能力が高まるということも忘れてはならない。
そして、これはおそらく特に日本人には不得手なことだが、間違いを恐れずにどんどん発言することだ。頭の中で会話ができても意味がない。
会社の同僚でも、散歩途中にばったり会った近所に住む外国人でも良いからとにかくどんどん英語を話してみよう。言語というのは使えば使うほど上達するものなのだから。
(文/森野万弥)