「きちんと勉強していい企業に入って稼いでほしい!」というのは誰しも抱く親心だろう。近年“教育ママ”が話題になったように、そのような傾向は顕著になってきている。ただその教育方法については、少し考えなければならない。
勉強デキる=高年収は事実
「PRESIDENT Online」が1月27日に公開した『学歴別 平均年収ランキング』によると、ランキング上位校には偏差値の高い学校がずらりと並んでいる。トップ3は以下のとおり。
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1位:東京大学(平均年収/631.5万円 偏差値/67.5~72.5)
2位:一橋大学(平均年収/628.1万円 偏差値/67.5~72.5)
3位:東京工業大学(平均年収/615.7万円 偏差値/62.5~65)
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いずれも偏差値60~70前後にもなる、超有名校だ。しかもランキングデータの分析をおこなう担当者によると、ランキング上位校の顔ぶれはここ20年以上変わっていないらしい。どうやら有名大学出身者が官公庁や大手企業などに就職するケースが多かったり、ランキング校出身者のほうが実績を残す傾向にあったりする背景があるからだという。
よくある教育ママの間違い
要するに、偏差値の高い学校に入学できれば高年収が望める。上記のランキングを見てもそれは明白である。やはり親としては、子供にできるだけ勉強を頑張ってほしいところだろう。しかしその教育方法には、とにかく注意してほしい。冒頭で教育ママが話題になったことに触れたが、じつは良い面ばかりでなく、むしろ悪い面でフォーカスされるケースが多いためだ。
たとえばよくあるのが、幼いころからさまざまな教材や習い事に通わせた結果、子供が勉強に対して嫌悪感を抱く事例。子供は基本的に記憶力にとても優れているので、学習したことを驚くほどスムーズに吸収する。それに期待したママが過度なプレッシャーを与えてしまい、それに押しつぶされそうになるといった流れだ。
またつぶれそうになった子供に苛立ちはじめたママが、怒鳴ったり叩いたりして暴走。最終的には母子の信頼関係にひびが入ってしまい、修復が困難に…といったこともある模様。というより私の身近でも実際にあった。
これでは勉強だけでなく、心の成長にも悪影響を与えかねない。いつのまにか自分の気持ちを押し付けてはいないだろうか?子供の気持ちを尊重しているだろうか?ほんとうに子供のことを思うのであれば、このような教育はやめたほうがいい。
有名校に合格した子供の親に共通すること
ママは間違っても子供に勉強を一方的に押し付けるような、傲慢な教育をしてはならない。ではどのように教育すればいいのか。たとえば、有名校に合格した子供のママには共通することがある。
有名校に合格する子供をもつママは、「子供の自主性」をもっとも大切にする。勉強しなさいとは絶対に言わないし、宿題しなさいとも言わない。なぜなら勉強しなければならないことは、子供自身がよく分かっているから。学校でも言われているはずであり、分かりきったことを伝えるのはママの役割ではないのだ。実際に東大生に子供時代のアンケートをとったところ、勉強しなさいと言われたことはないと、ほぼ全員が答えたらしい。
また有名校に合格する子供をもつママは、「子供とのコミュニケーション」が重要なことを知っている。子供がいまなにを思っているのか、どんな生活をしているのか、それをきちんと分かって接してあげるのが母親である。『勉強しろと絶対言わない子育て』の著者・後藤眞智子さんも子供の話はよく聞くようにしていて、反論や説教は一切していなかったそう。
「きちんと勉強していい企業に入って稼いでほしい」と本気で考えるのであれば、子供の意志を尊重しつつ上手に舵を切ってあげること。それが教育ママのするべきことではないだろうか。
かくいう私も、まさに自主性やコミュニケーションを重視して育てられた。とりわけ自主性に関しては、ほぼ放任主義といっていいほどである。そして有名校には入学していない。年収も高いわけでもない。ただ母親にはとても感謝しているので、そういった事例があることもぜひ覚えておいてほしい。
(文/吉松京介・エストリンクス)