そもそも熱中症って何?
熱中症は熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病に分けられ、それぞれ発生するメカニズムが異なる。
まず熱失神は暑さで皮膚の血管が広がり、血流が減るため血圧が低下する。すると脳に送る血液の量が減るため、めまいや顔面蒼白、一時的な失神を起こす。
次に熱けいれんは汗を大量にかいたときに水分しか補給しないことが原因だ。汗には塩分も含まれており、血液中の塩分濃度が低下すると、電解質のバランスが乱れて足や腹部、腕に痛みを伴うけいれんを引き起こす。
また熱疲労は大量の汗をかき、水分と塩分の両方が不足した脱水症状だ。暑さで拡張した血管と、脱水による血行不良によって低体温を引き起こし、全身の倦怠感や嘔吐、頭痛、判断力の低下などが見られる。
そして熱射病は熱疲労がさらに悪化することで起こるもの。脱水症状の悪化により、体温調節の機能まで失い、汗をかかなくなるため、体温が上昇し続け40℃を超えることもある。
体温が41℃になるとけいれんし始め、42℃を超えると細胞が破壊される。中枢神経や心臓、肝臓、腎臓などの臓器に致命的な障害を起こして、最悪の場合死亡する。熱中症の中で最も危険な症状である。
熱中症を予防するためには何が大事なのか?
20代~40代の熱中症は、おもに勤務中に発生することが分かっている。熱中症を予防するためには、運動したときだけでなく日ごろから対策を講じる必要があるのだ。
まず予防として水分補給が欠かせない。のどが渇いたと感じるときには既に脱水症状が始まっている。よってのどが渇いていなくてもこまめな水分補給が大切だ。
さらに塩分補給も忘れてはいけない。とくに大量に汗をかいた場合は、意識して塩分を摂取する。ここで便利な熱中症対策用品が塩飴だ。コップ一杯の水を飲んで、塩飴を舐めれば体に不足するものを全て補うことができる。
塩飴は1袋数100円から販売されているので、手軽に購入できる。中には経口補水で作られた塩飴や、多くの栄養素を配合したサプリメントのような塩飴もあり、それらは数1,000円から購入できる。
次に、体温調節を正しく行う必要がある。衣服を調節して、なるべく暑さを感じないものが良い。通気性を重視したり、速乾性に優れた下着を着たりして対策する。
最近では、体温調節をサポートする冷却用品の種類が豊富だ。就寝用から日常生活で使えるものまで、様々な用途に対応している。首元など太い血管が体の表面近くを通っている部位を冷やすと熱中症対策としてさらに効果的だ。
首に巻いて使用し、何度も繰り返し使える商品が1,000円もしないことも多い。これらの商品にはマジックテープが付いている場合があり、デスクワークをする際に着用しやすい。さらに3,000円~5,000円ていどのお金を出せば、首だけでなく脇の下など、効率的に部位を冷やす冷却用品がある。
それ以外にも、外出先で日光から後頭部を守る帽子もある。これは後頭部のところに冷却剤が入っており、3,000円~4,000円で販売されている。ゴルフなどの熱中症対策にも有効だ。
さらに、万が一熱中症の症状が現れたときに、症状を悪化させない応急処置のための対策用品も準備していると安心だ。ミネラルウォーターや食塩、体温計、扇子など必要なものを全て揃えたキットが5,000円弱で購入できる。
持ち運び可能であれば、外出先や職場に持っていけるので便利だ。厚生労働省の認可も受けている経口補水液OS-1は1箱に30本入って、3,880円というお手頃な価格で提供されている。軽度から中程度の脱水症状を改善することが可能だ。
最後に、熱中症になりやすいか暑さの指数を測定する機器も販売されている。1台9,000円程度で、相対湿度やWBGD値、気温がひと目で分かるので、熱中症対策を行うべき環境か、客観的に判断できる。