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年収300万円以下の貧困層でも子供にスマホを持たせなければならない理由

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現在、日本は長い不景気の中にあり、貧困率も決して低くない。おおよそ日本人の6人に1人は貧困層にあるとされており、低所得者は全国に大勢暮らしている。

国民の可処分所得の中央値を目安に、普通の生活水準よりも、より貧しい生活を強いられている世帯を、相対性貧困の世帯と呼ぶそうだ。

認定NPO法人living-in-peaceのウェブサイトによると、その世帯数は現在、16.0%にも上るという。このような世帯の収入は、両親と子供2人、つまり4人家族の場合でも、およそ300万円未満しかないという。

当然、この程度の年収では、子供の養育費はもちろん、衣服や食事などに、十分な投資を行うこともできない。また、良い教育や習い事を学ばせる余裕もない。

こういった、子供の成長には悪影響を及ぼすほどの貧困世帯が、今の日本にはいくつもあるのが当たり前となってしまったのは、なんとも複雑だ。

貧困の理由は様々だが…

貧困の理由は、たとえば両親が勤務している職場の待遇が悪いことも考えられるし、あるいは片親世帯が原因ということもある。

理由はまさに様々だが、筆者は常々、そういった貧困世帯に暮らす子供たちが、ある程度の年代になるとスマホを手にしていることが多い点に疑問を抱いていた。

毎月の通信費や、端末の値段などは、貧困世帯ともなればそこそこの負担になるはず。

それなのにどうしてスマホを持つ貧困世帯の子供が、少なくとも筆者の周囲の貧困世帯に暮らす子供には多いのだろうか。

貧困世帯なのに…なぜスマホは手放せないのか

実はこういうコラムを書こうと思ったきっかけになったテレビ番組があった。「NHKスペシャル 見えない”貧困”~未来を奪われる子どもたち~」(NHK総合)である。

この番組は、貧困世帯の子供の生活に注目するVTRがメインとなっていた。モノ、サービスを受給できるチャンスを、どうしても貧困世帯は逃しがちになってしまう。また、教育の機会もなかなか満足には巡ってこない。

そういった現実を紹介するような番組であったのだけど、やっぱりこの番組に登場する子供たちも、スマホユーザーが多かったのだ。

一元的な物の見方をすれば「貧乏なんだからそんなの持ってる余裕ないだろ」とか「スマホがなければ通信費を食費、学費や将来の貯蓄に回せるのでは?」などと思えるが、実際にはそういう単純な話ではなかった。

番組では、子供と親の通信ツールとして、スマホはかなり重要な立ち位置で機能していたのだ。

たとえば片親世帯では、親が夜遅くまで仕事をしていることも多い。となると、子供とのコミュニケーションツールとして、スマホは欠かせないものになってしまっているのだ。

また、スマホがないと子供が周囲の友人に馴染めないという現実もある。

今ではLINEなどでグループチャットをする子供も多い。そんな中で色々と決まっていく行事の役割分担もあるようで、蚊帳の外にいると、そういった情報網から外れやすいのだ。

昔のように、連絡網を辿って電話で伝達をする時代ではない。貧困世帯には痛い出費だが、こういうこともあるので、スマホは欠かせないという現実があるようだ。

それに、スマホには娯楽の側面も大きい。子供にとっては娯楽の選択肢は、非常に重要だ。

スマホゲームも、課金しない前提であれば子供に楽しませたいという親だっている。

貧困世帯の子供の問題はかなり重大…

ところで、東京都大田区では、子供の貧困についてかなり先進的な取り組みに着手している。

アンケートを実施し、区内の子供を持つ家庭の貧困の実態を把握し、必要とされるサポートを能動的に実施しているのだ。

そのアンケートの結果が、今年の3月31日に大田区のホームページでも公開されている。

これによると、区内4,544人の、小学5年生を対象に学校を通じて調査が行われたとある。

気になる内容は、学習の進捗、健康状態、そして生活水準など全14項目。

たとえば「学習塾に行く」た「クリスマスプレゼントがある」、「毎月おこづかいがある」など、普通の世帯であれば子供のほとんどが享受できる項目ばかりとなっている。

だが、貧困世帯はそもそも金も、親の時間も確保できないので、チェック項目に手がつけられない子供も少なくなかったようだ。

アンケート調査ではこのうち、3項目以上にチェックすることができなかった家庭を、支援対象とした。支援が必要とされた世帯は、全体の21%にも上っていたという。

生活水準が、一定の範囲に満たない世帯を、こうして実際に子供の目線を通して把握しようとする大田区の試みは、もっと注目されてしかるべきだろう。

貧困世帯とスマホ、切り離せない現代の不便

今回は貧困世帯で育つ子供が、本人の意思に関与せず、いかに制限を受けているかについて注目してみた。思えばスマホが普及してから、まだそんなに時間は経っていない。

たらればの話だが、昔から貧困世帯はあったが、スマホがなかった分連絡手段も限られていたが、それだけ捻出できる毎月の子供にかけるお金にも余裕はあったのかもしれない。

しかし現代では、様々な理由でスマホを手にしておきたい貧困世帯の子供も増えてしまった。その分手取りが増えればいいのだが、現実はそう甘くない。まだまだ不景気は続くのだ。

端末の値段も、通信費も、貧困世帯にとってはバカにできない。スマホは便利だが、しかし一方で貧困世帯にとっては、切っても切り離せない呪いのアイテムのようにも思えた。

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