30代後半にさしかかってくると、老後の生活がなんとなく気になってきます。
元気に働ける今のうちからどのような対策を取ることができるでしょうか。老後の貯えは若いうちから始めるほど月々の負担が少なくて済みます。毎月どれくらい貯蓄にまわせばよいのかを見てみましょう。
【この記事の目次】
老後に必要なお金は3500万円
老後に必要なお金は、60歳から85歳まで25年間生活すると想定した場合、生活費として月に20 万、年300万と計上した場合、25年間で約7500万円が必要になります。
さらに介護費用や医療費、住宅のリフォームなど、生活費以外に想定される予備出費として1000万円程度かかると考えると、8500~9000万円は必要です。
そのうち、公的年金によってある程度賄うことが可能です。夫が厚生年金、妻が国民年金に加入していた場合は20年間で5000万円程度は受給できるとした場合、残りの3500万円が老後の貯えとして必要になることがわかります。公的な年金制度が今後改正される可能性が高いことを考えると、これはしっかりと準備しておきたい金額です。
35歳からすべき貯金額は約12万円!
では、60歳までに3500万円を貯めるには月々いくら貯金すればよいのでしょうか。35歳から老後の貯金を開始した場合、60歳までの25年間で3500万を貯めるには年間で140万円貯金する必要があります。
平均すると、月116,000円の貯蓄となります。月に約12万を貯金するのは、教育費やマイホームのローンなど様々な出費を考えると、決して楽な貯蓄額とはいえないですね。
30歳から39歳までの平均貯蓄額は約800万円
厚生労働省が行った調査では、30歳から39歳までの平均貯蓄額は7,948,000円となっています。これは9年間で毎月73,000円ほど貯蓄をしている計算になりますが、平均値には富裕層の貯蓄額も入っているため、実際に毎月12万以上貯金ができている世帯はかなり少ないのではないでしょうか。
私自身も含め、周囲の友人に話を聞いても月々の貯蓄は大体50,000円前後といったところです。これを毎月120,000円の貯蓄額に近づけるには、月々の収入からの貯蓄以外に、臨時的な収入を計算に入れる必要があるでしょう。
30代の貯蓄については「30代の1ヵ月平均貯蓄額が10万円って本当?」という記事にも詳しく書いているので読んでみてください。
ボーナスを貯蓄に回せば金額は大きく減らせる
では貯蓄に関する考え方を変えて、ボーナスを貯蓄に回した場合はどうでしょうか。35歳の平均的なボーナスの受給金額は高卒で860,000円、大卒では1,110,000円となっています。もしボーナスを全額貯蓄にまわした場合、高卒なら45,000円、大卒なら24,000円を月々貯金すればよい計算になります。
ボーナス全額を貯金にまわす。これはなかなかストイックな決断でしょう。車や住宅ローンなどでボーナス時の割増払いを組み込んでいた場合は全額貯蓄ができませんし、一生懸命働いたごほうびに、たまには旅行にも行きたいですよね。
30代から40代の間はどう計算しても月々の貯蓄額が少なくなってしまうという場合は、子どもの手が離れローンの返済も近づく50代以降から貯蓄額を増やす、という方法もあります。
年をとってからあわてないためには?
実際に、30代から40代では貯蓄よりも借入額の割合が多い世帯が多く、50代を境に貯蓄額の割合が増えていくため、年代が上がるほど出費が減り、その分を貯蓄にまわせるようになっていきます。
ただ、高齢になると自分の健康に不安を感じるようになるのも事実です。働いて収入を得られるのも健康であればこそ。50代以降からの貯蓄だけに頼るのは非常に危険です。
いかがでしょうか。大切なのは長期的な計画を立てて、若く元気なうちから貯蓄の管理ができているかどうかです。3500万円という金額は短期に準備できるものではないので、年を取ってしまってから慌てることのないよう、今のうちからできるだけボーナスは貯蓄にまわして、きたるべき老後に備えることをおすすめします。
ただし、貯蓄だけでは不安。もっと今ある資金を元に増やしたい、と考える方は少額でできる投資や、FXを初めてみてはいかがでしょう。ちょっと興味が湧いてきた方は、「FX会社を徹底比較!初心者が選ぶべきFX口座ランキング」がオススメです。
定年までに3500万円貯める
昨今の結婚率の低下には目を見張るものがありますよね。具体的な数字としては1971年頃の半分となっているのが現状です。
娯楽が増えたことや結婚後のトラブルが拡散された等、結婚率の低下には様々な理由があるでしょう。とはいえ現時点で結婚する気がない、もしくは生涯独身を貫く覚悟を決めた人には「老後の過ごし方」という新たな課題が生まれます。
3500万円がボーダーライン?
定年後も独身で過ごす場合には最低3500万円は必要だと言われています。そして一般的なサラリーマンの生涯賃金は2億5000万円と言われているため「あれ?意外に余裕かも?」と思ってしまいます。
しかし実際にはそう上手くはいきません。生涯賃金2億5000万円は手取りではありません。また、この生涯年収は平均値であり中央値ではないことと、近年は減少傾向にあることも忘れてはいけません。つまり手取りで1億円前後という人もかなり多いでしょう。
では1億円から定年までの生活費と老後の3500万円を捻出できるのでしょうか?もちろん不可能です。単純に20~60歳まで毎月20万円使ったとしても9600万円です。これだけでもすでにギリギリですが、毎月20万円はかなり無理がある数字です。実際には30万円以上になる月も多いでしょう。
となると1億円はすぐにオーバーしてしまいます。つまり老後資金の捻出どころか貯金すら危うい可能性が高いわけです。
仕事を続けるという選択肢
老後のための資金確保は定年退職が前提です。つまり、もし働き続けるのであれば状況は大きく変わってきます。
近年ではすでに嘱託と呼ばれる定年後の雇用制度がスタートしており、皆さんもご存じかと思います。しかし嘱託も定年までの給与に左右される上に、年金との兼ね合いもあります。
もちろん20年後30年後には状況も変わっているでしょうが、安心できる方向に変わっているとは限りませんよね。
そうなると考えなければいけないのは定年後の問題ではなく、そもそもいつまで働くのかという点です。会社勤めであれば定年は間違いなく訪れますが、定年後に自立して働けるだけのスキルがあれば働き続けることは可能です。
つまり定年後にも働けるだけのスキルを身につけることを視野に入れましょう。
生涯現役なら焦る必要はない
生涯現役の最大のメリットは老後資金を必要としないことです。常に稼ぎ続けることになるので、万が一に備えた貯蓄以外は必要ありません。つまり一般的な独身老後に必要な資金である3000万円よりも遙かにハードルが下がります。
そして時勢は生涯現役に優しいといえます。近年では在宅勤務制度の導入が進んでおり、スキルさえあれば家にいながら収入を得られます。もちろんそれだけで生活していくには経験やスキルが必要となりますが、70歳にもなって工場で働くよりは負担が少ないでしょう。
つまり今後定年までにやるべきことは「在宅で稼ぐためのスキルの習得」と「定年後に個人事業主として稼ぐための下地を作ること」の2つです。
どういったスキルを習得するかは自由です。Web制作やデザイナー、翻訳家、ライターなど様々な選択肢があります。ただし選ぶときには生涯現役と考えたときに苦にならないものであることが重要です。
自分の身は自分で守る時代
個人的にはアメリカのように年齢に左右されない就労環境を作ってほしいところですが、ここは日本なので仕方ありません。生涯現役でいるためのスキル以外にも、個人年金や資産運用などを考えておくべきでしょう。
今後は的確なライフプランニングを行っているか、ライフプランの選択肢がどれだけ多いかが老後の生活に影響してくるでしょう。そのためにも仕事で手一杯かもしれませんが、将来を見据えた行動を起こすべきです。
早めにライフプランニングを行い、時代の変化に柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。