人生というのは非常に面白いもので、何か大きな幸運が舞い込んだと思ったら、ほどなくして不運というのがやってくる。
これらは交互に押し寄せているもので、誰にもその波を止めることはできない。
しかし、幸運、不運というものは、結構個人の裁量によって振り分けが変わる曖昧なものだったりする。
たとえば年間1,000,000円もパチンコで負けている人が、たった数週間で800,000円取り返すということがあったとする。
相対的に見れば負けてることに変わりがないのに、当人は何故かこれを幸運に思ってしまう。
傍からすれば「ああ、まだ200,000円も負けててかわいそう」となっちゃうんだけど……。
運が良いか悪いかなんて、そもそも考えること自体が無駄なことなのかもしれない。
……ただ、それでも万人が「なんだかなぁ」と思うことはある。
以前にもこちらのコラムで触れたが、宝くじで高額当選するという幸運を得た人って、その後、割に合わない不運に見舞われていることが多いのだ。
大嫌いな親戚がスクラッチで高額当選!しかし…
僕は親戚付き合いが苦手だ。
理由は「結婚しろ」だの「まともな仕事をしろ」だのうるさいことばかり言われることと、某宗教にどっぷりなバカ揃いだからである。
そんな親戚のことを、ことあるごとに鬱陶しく思っていたんだけど、2年ほど前だったか、思いっきり彼らに対して舌打ちをしてしまうことがあった。
なんと、この嫌な親戚一家が、スクラッチくじを何枚か買ったところ、2,000,000円も的中させてしまったのだ。
たしか、1等10,000,000円のくじを2つも引き当ててその額になったんだと思うんだけど、こんなに面白くないことはない。
降って沸いたこの大金だが、そうは言ってもたかだか数百万。
あっという間になくなってしまったようだ。
なんとも羨ましい散財をしたようだが、話はこれでは終わらない。
当たったのはスクラッチだけじゃなかった!
高額当選してから半年もしなかった頃だった。
この親戚の家長に当たるBが、高齢者の運転する車にはねられて入院してしまうという事件が起きた。
くじでも当たって車にも当たるとは、さすがである。
特に酷い事故ではなかったが、一応安静にすべきとの判断で、1ヶ月ほど入院していたんだけど、話はこれでは終わらない。
親戚一家には要介護の老婆、つまりこの入院することとなったBの母親も同居しており、しばらくBの妻Fが介護の一切を任されることになった。
しかしFとしては、「ちょっと前まで贅沢をしていたのに、何で今はこんなことに」と思ったようで、半月もしないうちに実家に逃げ帰ってしまったという。
入院先の病院で緑色の紙を受け取ったBは、さぞや焦ったことだろう。
結局、おちおち入院してもいられなくなったBは、まず母親を施設に預けることとなった。
それから離婚調停や諸々の手続きに追われたそうで、終わってみればBの口座から、3,000,000円ほど消えてしまうことになっていたそうだ。
当選は200万、諸費用で飛んだ300万、▲100万…
結局B一家は最後の最後でえらい目に遭ったということになるけど、考えてみれば突然的中したスクラッチで得た2,000,000円と、その後のごたごたで消えた3,000,000円。
差し引きで考えれば、損をしたのは1,000,000円ぽっちということになる。
いや、ぽっちというのはデカい金額だけど、もしもくじで当選したお金を保管していれば、欠損は諭吉さん100人を捻出するだけで済んだ。
幸運の後には、不運がどうせやってくる。
散財なんてせずに貯蓄していれば、違った人生があったのかもしれない。
まあ、たらればの話をしてもしょうがないんだけど。
もしあなたが宝くじで高額当選を的中させたのなら、そのときはとりあえず浮かれる前に、今後起こり得る運の反動に対しての覚悟を決めておこう!
どうやら、揺り戻しは必ず来るようだ。
(文/松本ミゾレ)