高齢者世帯というのは、65歳以上の大人だけで構成されている世帯、または、65歳以上の大人と18歳未満の子供で構成されている世帯を指す言葉です。つまり、年金が主な収入源となっている場合が多い世帯ということですね。
高齢者世帯の平均貯蓄額は、平成25年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、1268万円です。これは、全世帯の平均である1047万円を上回る数字です。しかし一方で、「貯金がない」と答えた高齢者世帯は16.8%にも上り、全世帯の貯蓄がない割合16.0%をわずかに上回る割合となっています。
4分の1近くが1500万円以上貯蓄
平成25年の国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の貯蓄額は次の通りでした。
- 3000万円以上 11.6%
- 2000万円~3000万円未満 7.1%
- 1500万円~2000万円未満 5.6%
合計すると、24.3%、つまり、全体の4分の1近くの高齢者世帯が、1500万円以上の貯蓄を持っているということになります。しかし、一方で貯蓄がないと答える高齢者と貯蓄が50万円未満であると答えた高齢者の合計は20.7%に上ります。つまり、全体の5分の1以上が、まとまった備えを持たずに日々の収入だけで暮らしているということになるのです。
高齢者世帯が貯蓄できない理由
貯蓄がない高齢者世帯ができてしまう原因は、一体どこにあるのでしょうか。まず考えられるのが、生活費の高さです。円安などの理由によって現在は落ち着いているものの、2013年調べでは、日本は生活費が高い国トップでした。
特に、東京や大阪などの都市圏の地価の高さには目を見張るものがあります。高齢者世帯の貯蓄の柱のひとつは退職金であると想像されますが、この退職金を住宅ローンの返済に充ててしまった場合は、当然老後の貯蓄はそれだけ目減りしてしまいます。また、賃貸住宅に住み続けるにしても、それなりの設備が整った暮らしやすい場所となると家賃は高く、2年ごとに更新料も必要となります。
その他、介護費用や入院費はもちろん、子や孫がいる場合は、お祝い関係にもお金がかかります。孫の七五三や進学、結婚などの時にお金を出し渋るようなことはしたくないと考えるのはごく一般的なことです。しかし、孫にお金をかけすぎることで、自分たちが貧困に陥る可能性もゼロではありません。
貯金があっても老後破産の可能性がある
60歳で定年を迎えた時、3000万円の貯蓄があった場合の老後の生活についてシミュレーションしてみましょう。
- 夫婦ふたり暮らし
- 家は持ち家
- 夫はサラリーマンで標準報酬月額30万円、賞与は年間2ヵ月
- 妻は夫と同い年の専業主婦で、会社勤めをした経験はなし
試算によると、60歳から65歳までの年金は夫の厚生年金の約100万円、65歳以降は夫と妻の基礎年金がこれに加わり、年間約250万円の年金額となります。
さて、それでは、月々にかかる生活費を考えてみましょう。持ち家ということで、それほど贅沢をしなければ、月20万円ほどで生活費は足りると考えられます。これに、車検や固定資産税、人間ドッグ、地震保険などの出費50万円を足した、20万円×12か月+50万=290万円を年間生活費とします。
すると、60歳から65歳までの5年間で必要になるお金は、290万円×5年=1450万円です。これに対して、もらえる年金は100万円×5年=500万円ですから、まず、65歳時点での貯蓄額は、元の3000万円から、1450万円-500万年=950万円を引いた2,050万円となります。
老後に備えて保険の見直し
老後に向けて現実に資産を確保する方法のひとつに保険があります。
みなさんが加入している保険のプランは自身にあっているものでしょうか?
保険の見直しにより多くの場合、今の保険料より安い価格で充実した保障内容がつけられます。
老後の収入の確保から見ても、もう一度長い目で見たときの保険の重要性を再認識し、見直しておくのをおすすめします。
人生はそれぞれの段階でお金のかかり方や種類が変わっていきます。
子育てに必要なお金、住宅費用に充てなければならないお金、老後の資金など段階を踏むごとに異なってきます。
つまり、保険内容も自分の人生のステップに合わせて見直しておく必要があります。
今、どのようなプランに加入しているのかわからない方でも、「みんなの生命保険アドバイザー」では、保険のプロが丁寧にコンサルタントしてくれます。
保険料を安くしたい。保障内容を充実させたい。老後の資金は大丈夫?と心配な方はもう一度保険を見直しておきましょう。
必要経費は生活費だけではない
その後、家のリフォームとバリアフリー化工事で500万円、車の買い替えに300万円、旅行に100万円使ったとしましょう。貯蓄は一気に1150万円まで目減りしてしまいます。
それでも、65歳以降年間40万円の赤字であれば、28年以上過ごせる計算ですが、どちらかが病気になったり、介護が必要な状況になれば、余裕はすぐになくなってしまうでしょう。それに、夫に先立たれた場合も、妻が受け取れる年金額は当然これよりも低くなってしまいます。
例え、ある程度の貯蓄があったとしても、老後破産のリスクがなくなるわけではないのです。日頃から、特別支出を頭に入れた資金計画を行い、無計画な贈与や散財をしないようにすることが大切です。また、イザという時に頼れる公的制度を予め調べておくことも大切です。
(文/平野恵子)