2020年の東京オリンピックに向けて東京周辺の住宅価格は上昇が続いています。また、近年はリノベーションと呼ばれる中古物件の再利用が人気を集めており、リノベーション前提で中古戸建て購入するほどです。
しかし、先進各国でコンパクトシティ化が叫ばれている現状も無視できません。
インフラの整備費用や交通弱者の問題を考えると、コンパクトシティのほうが理にかなっているでしょう。実際に日本でも一部の都市でコンパクトシティ化を政策に取り入れていますね。
そしてコンパクトシティ化という一極集中が進むと避けられないのは住宅が余ること。その前兆がすでに現れ始めています。
いずれは日本の地価は下落するか
オリンピックや北陸新幹線による地価の上昇はニュースでも取り上げられていますが、地価の下落はあまり話題になりません。実際に今のところは一部にしか下落は見られず、全体でいえば若干の上昇です。
しかし日本は高齢化社会という大きな問題に直面しており、人口減少とともに地価は下落すると言われています。これは需給を考えれば当然のことであり、なんらかの対策を打ち出さないかぎりは十中八九地価の下落はおきるでしょう。
また、2015年5月に施行された「空き家対策特別措置法」も記憶に新しいですね。
この特措法は増えすぎた空き家を減らす、もしくは管理を促すためのものですが、この特措法が施行されたこと自体が日本の現状を物語っているのです。
賃貸価格の下落が止まらない
実は2002~2003年頃の賃料をピークにすでに下落は始まっており、今のところは緩やかな低下ですが一部では大幅な低下もおきています。
近年の住宅業界は外国人投資家や富裕層向けの物件が好調だったことでプチバブルがおきていました。しかしその勢いも陰りを見せ始め、売れ残る物件も出始めています。
そして売れ残った分譲物件は悪あがきとして賃貸化しますが、売れ残っている時点でなにかしらの問題があるわけで。結局は賃料を下げることになり、その下落幅は都心の40万円の物件が20万円まで下がるほどです。これが一部の大幅下落の正体ですね。
また、全体的な賃料の低下はデータだけではなく、物件情報を確かめてみると実感できます。
ちょうど私が10年前に家探ししていた駅の物件情報を確認したのですが、驚くほど物件があふれていました。そして戸建てタイプの賃貸が増えていたのも興味深いです。おそらく特措法の施行で賃貸化させた方が多いのでしょうね。
このように住宅の飽和による賃料の低下はおき始めています。
バブルが弾けても賃料が下がらなかった?
賃料の減少は始まったばかりですが、今後どこかのタイミングで一気に下落することも考えられます。
そもそも日本の賃料はバブル期に大幅に上昇して以降、ほぼ横ばいという異常な状態でした。本来であればバブルが弾けたと同時に下落してもおかしくなかったはずですが、木造から非木造への切り替えによって低下がおきなかったのです。
しかし非木造住宅が増えた現在では耐用年数も向上しており、建て替えの必要性も減っています。そしてこの状況下でいまだに新築が増え続けているのですから、間違いなく賃料低下に繋がるでしょう。
また、賃料低下がおきていれば借りることができたはずの低所得者層が、脱法ハウスやシェアハウスといった格安物件に流れているのも賃料低下の原因の1つでしょうね。賃料の低下がおきないことで需要を絞ってしまったわけです。
地震大国日本で住まいとは
個人的には地震大国の日本において持ち家というのは不適切だと考えています。
近年は100年コンクリートのような高性能な建材も登場していますが、そもそも地震の危険にさらされている日本で長期間同じ家に住み続けるのはリスクと言えるでしょう。
つまり持ち家志向が薄れ始めている現状というのは、当然の流れではないでしょうか。
もちろん持ち家には賃貸にない様々なメリットもありますが、その根底に憧れがあったことは否定できませんよね。
しかし地震大国の日本において、その憧れはリスクへと変化することになるでしょう。持ち家を買ってしまえば、いつかは建て替えか格安で手放すことを迫られるのです。
それなら始めから賃貸に住み、定期的に新しい物件に移り住んだほうが楽だと思いませんか?常に最新の耐震技術のもとで生活できますし、賃貸なのでフットワークも軽いでしょう。
今こそ住まいのあり方を考え直すチャンスかもしれませんね。
(文/kaztel)