いよいよ施行されたマイナンバー法案。
自治体にもよるが、概ね全国的には10月下旬頃から、順次国民1人ずつに振り当てられた12桁のナンバーが郵送されることとなる。
アメリカなど、一部先進国では既に同様の管理は行われてきたところであるが、まあそうは言っても政府もマスコミも、国民に対してマイナンバーについての認知徹底に全力を挙げたかと言えば、答えはノーだ。
いささか性急にも思える今回の動きだが、まあ施行された以上は後の祭り。文句を言っても仕方がない。
マイナンバーは今後、納税や保険の支払い額の確認などに活用され、数年以内にインターネットでそれら納付状況を確認できるようになる。
一方でナンバーが流出した場合には、個人情報がまさに丸裸になってしまう。
漏洩リスクについての説明と注意喚起は、今後も行政主導で行われていくはずだが、個人間でもしっかりと漏洩を防ぐ管理方法について話し合っていく必要があるだろう。
今後は生活必需品の購入代金のうち、2%が還付される!ただし…
さて、管理が面倒なこのマイナンバー。
使いどころによっては、私たちの生活を、若干助けてくれるようだ。
マイナンバー制度の本格的な導入が控えているこの段階でまだ本決まりではないのもおかしな話だが、今後増税時に、世帯によっては生活必需品の購入の際に、2%の還付が行われる見込みがあるという。
ニュースでも報道されたので、既にご存知という方もいるだろう。
例えば食品、消耗品などの生活に密着した、どの世帯でも購入しなければならない商品を、年に200,000円分購入すると、4,000円の還付を受けることができるというわけだ。
額にすると小さいが、これでもないよりはマシというもの。
戻ってきた4,000円で、翌年度の生活必需品の購入代金に繰り越せば、わずかだが負担が減ることとなる。ではこの還付が適用される世帯の条件とは何なのだろうか?
還付適用世帯って?肝心の還付金の受け取り方法は?
さて、還付登録と還付の仕組みについて説明していきたいのだけども、馬鹿げたことに現時点でもほとんどなにも決まっていない。
というのも、この還付が適用されるのは、今後消費税が10%に引き上げになって以降のことなのだ(恐らく10%引き上げと同日に施行)。
適用世帯については、恐らく年収3400万円以下の世帯ぐらいが該当するんだろうけど。
そんなわけなので、還付金の受け取り方法も未だにしっかりと決まってすらいない。
もっと馬鹿げているのは、たった数千円の還付金を受け取るために必要な手順とリスクの多さだ。
なんでも、現段階で想定されている還付金を受け取るための手順は、店頭でマイナンバーカードを提示する、あるいはカードを端末にタッチさせるというもの。
……お粗末ったらない。
(注:2015年12月現在、還付金の受け取り方は再検討中)
マイナンバーは個人情報がほぼ全て詰まった、絶対に紛失してはならないもの。
それを毎度の買い物のために持ち歩くのでは、紛失の機会をみすみす増やすようなものでしかない。
この点については、今のうちに練り直しをしておかないと、将来大変なことになるのは分かりきっている。
とかく、それほどまでのリスクを負う必要があるのであれば、還付額は2%ではなく、実質消費税のかからない10%還付にしたってまだ足りないぐらいだ。
どうせ低所得世帯向けの施策なんだし。
おわりに
色々と不満点ばかり書いたが、要は低所得世帯にとっては、消費税増税後も現状の8%の消費税がかかったお買い物が、生活必需品の購入でのみ適用されますよ、とそういうことに変わりはない。
だから該当する世帯にとっては、手間とリスクこそかかるものの、還付金は絶対にもらえることとなる。
とにかく現状の案ではお話にならないため、どこかでメスが入るはず。
改善案に期待しておきたい。
(文/松本ミゾレ)