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2015年10月マイナンバー制度がスタート
2015年10月からスタートする『マイナンバー制度』は住民票のある全国民に対して1人1つの番号を付して社会保障や税、さらに災害対策の分野で情報を効率的に管理する政府の制度ですが、2015年6月時点での認知度はまだ60%しかありません。
反対に認知されていることも一般的なことばかりで、賛否半々と言われるマイナンバー制度ですが、実は大部分の人が「どうでもいい」と思うありさま。
自分もかかわることだというのに少々無関心な点が気になってしまいます。今回はマイナンバー制度の基本と、意外と知られていない注意点などを併せて紹介していきたいと思います。
知ることにより自分が気を付けなければいけないことを知り、さらに今後も政府が導入するであろう様々な制度に対して興味を持つきっかけになればと思います。
マイナンバー制度はいつから始まる?どんな制度?
2015年10月から始まるマイナンバー制度、私たちが実際に使うようになるのは来年2016年の1月からです。10月の開始時点ではみなさんの手元に所属する各自治体から通知が届きます。
マイナンバー制度についてよく知られているのは
- マイナンバー制度は2015年10月から始まる
- マイナンバーは国民1人1人がもつ12桁の番号
- 一度ついた番号は原則、一生涯同じ番号を利用する
- マイナンバーは住所地の市区町村から通知される
逆に知られていないことは
- マイナンバー制度の使用は2016年1月から始まる
- マイナンバー通知後に各自治体に申請すると「個人番号カード」が交付される
- 「個人番号カード」は身分証明書や様々なサービスに使用できる
- 行政機関や公的サービスの利用時に記入する個人情報が減る
マイナンバーの身近な使用機会あげると
- 年末調整
- 印鑑登録
- 確定申告
- 雇用保険/医療保険
- 年金
- 子育て制度
- 銀行など各金融機関の口座開設および管理
ありとあらゆる生活の場面でマイナンバーが利用され、個人情報の大半がマイナンバーで管理されていきます。マイナンバー制度の導入により最近よく目にしていた年金や生活保護などの不正受給のトラブルは激減すると考えられています。ここで「なぜ不正受給のトラブルが減るか」を考えて下さい。
その理由は「税金情報を始め銀行口座の預金額など個人の情報はことごとく管理されるため」です。さてここで気になるのは最近目にしていなニュースが不正受給ネタだけでなく、情報流出ネタも多数あったことです。情報を管理する方は大丈夫?、そう思って当然かと思います。
反対派の最大の理由は「個人情報の流出と悪用が不安」
マイナンバー制度の導入を反対している理由の多くは情報流出に対する不安です。
ここで注意したいのはマイナンバー制度によって情報が一か所で管理されるわけではないことです。この点を知らないため不要な不安を感じる人が多いのです。
マイナンバー制度を導入しても、個人情報は今まで通り各機関が保有します。機関Aで管理している個人情報を機関Bが必要になったとき、その情報が「番号法・別表第二」で定められている情報ならば機関Aは情報提供ネットワークシステムを使用して機関Bに情報を提供します。このような管理方法を分散管理と言います。
個人情報を守るセキュリティは現状のまま維持される
つまりマイナンバー制度が導入されるから新たに不安が増すわけではないのです。個人情報は現状のまま保管・管理、個人情報を守るセキュリティは現状のまま維持されるのです。マイナンバー制度が導入されると各機関が情報を照会しやすくなるという程度なのです。
しかしマイナンバーはその重要度が高く、管理するセキュリティレベルも法律で高く設定されています。そのためマイナンバーを管理する機関や民間企業には厳しいセキュリティを、一段階以上高いレベルの情報セキュリティが要求されているのです。
このように情報セキュリティの保護レベルが上がるのですが、いまだ不安が残るのは当然です。そのためマイナンバーの悪用に対する処罰は厳しく設定されています。
しかし、副収入もへそくりも全部ばれる
ある調査によると日本人の妻のへそくりの平均は384万円とのことです。マイナンバー制度によって銀行口座に収入がいくら来たのかチェックできるようになるため、そんなへそくりは一発でばれます。
へそくりよりも深刻なのは副収入(副業による収入)です。現在のサラリーパーソンの5人に1人が副業やっているといわれていますが、マイナンバー制度により副収入があったこともばれます。
ここで副業が会社に知られてしまうと不安に思った人は安心して下さい。マイナンバーは社会保障、税、災害対策の手続きのために導入されたものです。
国や自治体が企業に情報提供を求めることはできますが、企業がマイナンバーを利用して個人の情報を照会することはできません。もちろん個人もできず、夫が妻のへそくりを調べることもできません。
このように副業が会社にばれることはありませんが、銀行口座の情報が管理されることにより課税対象となる収入を税務署はチェックすることができ、妻のへそくりに回った収入も、副業で得た収入も全て税金対象となってしまい申告しないと『脱税』と思われてしまいます。
また20万円以下の副収入は申告しなくていいと思っている人が多いですが要注意です。世帯によっては申告が必要な場合もあり、知らなかったは通じず『脱税』となってしまうので解らない場合は20万円以下でも申告するようにして下さい。
マイナンバーは他人ごとではない
マイナンバー制度の導入によって税の給付と負担が公平になりますが、私たちの生活が大きく変わることはありません。そのため『関係ない』『どうでもいい』と思っている人が多く、制度の認知度が低いとも考えられます。
しかし個人情報や年金が問題になるように、誰かが悪用するかもしれないものです。マイナンバーは全員に付与されるものであり、マイナンバーについて認識が甘い点を悪用する人はついてくるはずです。マイナンバーについて知ることが自分の身を守ることに繋がるのです。
(文/高橋亮)
個人情報のセキュリティは?
最近はどんなWebサービスでもアカウント作成が必要です。「アカウント作る意味あるの?」というようなサービスでもなぜかアカウント作成することになります。さらにスマホの普及によってWebサービスが爆発的に増えているため、どんどんアカウントが増えていきます。
絶賛増加中のアカウントですが、アカウントへのログイン情報の値段はいくらだと思いますか?
マイナンバーの価値は5,568円
セキュリティでおなじみのトレンドマイクロが行った調査によると、マイナンバーの価値は5,568円との結果になりました。これは「個人情報を入手するために信頼できる会社はいくら支払うべきだと思いますか?」という質問の回答を平均化したものです。なんとも微妙な金額ですね。
実際にはアメリカの社会保障番号ことを指しているので日本のマイナンバーのことではありませんが、性質的には同じものですね。
1人の情報に5,000円と考えると高いかもしれませんが、ログインに必要なパスワードが7,584円で1位、健康状態が5,983円で2位であることを考えると安いといえるでしょう。ちなみに氏名は389円、電話番号は586円、住所は1,288円となっています。
このように個人情報は種類によって価値が異なります。しかし今後は価値が大きく変わるかもしれません。
IoTの時代が来る
IoT(Internet of Things)=モノのインターネット、つまりあらゆる家電や機器がインターネットに接続されることです。IoT化はすでに始まっており、テレビやプレーヤー以外にも様々な家電や住宅設備がインターネットに接続され始めています。
しかしインターネットに接続するということは、利便性の向上と同時にリスクも抱えます。最近ではインターネットに接続可能な車がハッキングされる危険性が話題になりましたね。
このようにIoTは常にリスクを抱えています。もちろんメーカーは少しでもリスクを下げるためにあらゆる対策を施すでしょうが、インターネットにおけるセキュリティがイタチごっこであることは時代が証明しています。
そして冒頭の話に戻りますが、すでにインターネット上の個人情報はかなり重要度が高くなっています。中にはお金に関わる個人情報もあるため当たり前ではありますが、氏名や住所などとは比較にならないほど価値が上がってしまいました。
しかし現状アカウント情報を適切に管理できている人は少ないと言えるでしょう。それは各サービスで決まり文句のごとく表示されている「他のサイトと同じパスワードは使用しないでください」の一文から窺えますよね。
ただ、同じパスワードを使用するなと言われても増えすぎたアカウントすべてを違うパスワードにするのは至難の業です。
そこで使いたいのが「パスワード管理サービス」です。
自分で管理するのは不可能
一部サービスだけでアカウントが必要な時代ならともかく、ほぼすべてのサービスでアカウントを作る現代ではすべてのログイン情報を把握するのは不可能です。それこそ同じにするしかありません。
しかし「パスワード管理サービス」を使えばすべてのサービスで異なるパスワードを設定することが可能です。実際に私が使っているのはLastPassと呼ばれるサービスで、年間12ドルで多機能なサービスを利用できます。
文字種や文字数を指定したパスワード生成からスマホとPCの連携、セキュリティレベルのチェック、自動入力などかなり使い勝手のいいサービスです。
とはいえLastPassの使い勝手はどうでもいいですね。重要なのはログイン情報の管理を外部に任せるという点です。
たしかに個人情報の中でも極めて重要なログイン情報を他者に知らせるのは危険でもあります。しかし同じパスワードを使い回すほうが遙かにリスクが高いのです。1つでも漏れればすべてのアカウントにログインされますからね。
もちろんパスワード管理サービスから漏れるリスクもありますが、どのサービスもセキュリティ自体が商品なので自分で管理するよりも遙かに安全でしょう。
セキュリティは自分だけの問題ではない
今後、IoT化が進むとあらゆるモノにインターネット上から攻撃を受けるリスクが発生します。もちろん実際にトラブルにまで発展することは少ないかもしれませんが、家電や車といった命に関わるモノもあります。
また、セキュリティは決して自分だけの問題ではありません。近年は乗っ取られたアカウントから別のアカウントに対してウィルスが送信されることも多く、2次3次の被害が増えつつあります。
つまりインターネット上の個人情報は加速度的に重要度が増しているわけです。同じパスワードを使い回すのは本当に危険ですので、一度見直してみてはいかがでしょうか。
(文/kaztel)