9月もまだまだ中旬。「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますから、蒸し暑い日はあともうちょっと続きます。蒸し暑かった日の仕事が終わったあとに飲むビールの最初の1杯目ほど美味しいものはこの世にありませんよね。私も仕事を終えて最初のビールを飲むたびに、「この1杯のために生きている」と心の底から感じます。
もちろん、ワインも日本酒も焼酎もウイスキーも素晴らしいですが、ビールはお酒の王道だと私は勝手に思っています。日本には「とりあえずビール」という言葉が昔からあるように、それだけ多くの人たちに愛され続けているお酒なのです。
そんなビールも、いつも私が飲んでいるような、居酒屋の生ビールばかりではなく、もっといろいろなビールが飲んでみたいとGoogleで検索してみましたら、渋谷にいい感じのお店を見つけました。
見てください、このビールサーバーの壮観なこと!ビール好きにとってはもうこれだけでヨダレものです。ここは渋谷区宇田川町にあります、「Mikkeller Tokyo」というバー。しかも先月の8月22日にオープンしたばかりなのだとか。Mikkeller(ミッケラー)自体はデンマーク発のもので、創設者であるミッケル・ボルグ氏はもともと科学の教師であり、その独特の考えから個性的なビールをつくりだしています。
店内の内装もバーでありながら、まるでカフェと間違えそうなほど明るい雰囲気で、入り口にはドアもなく気軽に足を踏み入れることができます。
注文はカウンターでキャッシュオンになります。しばし、この黒板の前にたたずんで、最初の1杯目を何にしようか悩みましたが、最初の来店ですのでまずは1番目からということで、1番目の「American Pale Ale」の大きいサイズ(950円)から飲んでみることにしました。
【この記事の目次】
1杯目 No.1「American Pale Ale」
大きなグラスになみなみと入れてもらったビールを手に、こぼさないように私は慎重にカウンターから席へと移りました。席に座り、まずは写真を撮ってから、まずはその赤い色のビールをしばし眺めながら、どんな味がするだろうと想像を拡げました。
いざ、ビールをこぼさないようにゆっくりと口に運び、記念すべき最初の一口を味わってみました。Wow!!最初にくる味はフルーツカクテルかと思うほどフルーティーな酸味が口の中に拡がったのですが、ひと呼吸おいてから訪れる後味の苦味が心地よく口の中に残り続けました。
正直、飲む前は見た目の赤い印象から、おそらく口の中に酸味がずっと残るであろうと想像していましたが、この後味の苦味の威力がすごくて、次のひと口にスムーズにいけるのでした。
かくして、私は最初の1杯目を飲み干すのにそれほど時間を要すことはありませんでした。
2杯目 No.12「Running Club」
最初の1杯目で幸せな気持ちになれた私は、だんだんと景気がついてきまして、2杯目は勘で良さそうなビールを選んでみようと思いました。
再び黒板を前に、しばしその並ぶ字面に視線を走らせておりましたら、「Running Club」というなんともキャッチーな名前が目にとまり、今度は小さいサイズ(550円)で注文してみました。
再びこぼさないように注意しながら席に戻り、口に運んでみました。これはおそらく、「飲みやすさ」という観点からみればこのバーで一番のものでしょう(まだ2種類しか飲んでませんが)。そのくらい、サラッとした口あたりにクセのない味わいがあり、特に強い主張もなく喉から胃へとビールが流し込まれて行きました。
かといってつまならい味というわけではなく、必要十分な後味もきちんと残ります。ビール自体の色も白くて清潔な印象があります。王道に近いビールかもしれません。この調子で、私は2杯目もペースが遅くなることなく気づいたらそのグラスが空になっていたのでした。
3杯目 No.14「Gueuzerie Tilquin」
いままで味わったこともないビールの味を2杯も連続で堪能してしまった私は、すっかりほろ酔いモードに入ってしまい、あと1杯だけ飲もうということで、最後の注文をするためにカウンターへと向かったのでした。
時間は18:30ごろ。仕事帰りの客が結構な人数入り始めており、私もその列の後ろに並びました。列のなかには1人で来る人、男女数名のグループ、外国人2人などがいて、みながそれぞれのスタイルでそれぞれのビールを選んでいました。
すっかりいい気分になった私は、最後に半分ネタとして「この中でもっとも高価なビールを飲んでみよう」と思うのでした。再び黒板に目をやって見つけたのは14番目の「Gueuzerie Tilquin」。何と読むのかも分からず、どんなビールなのかもさっぱり分かりませんでしたが、価格は間違いなく一番高かったので、迷うことなく注文したのでした。
はい、この小さいグラスでお値段1杯1,600円です(笑)。私もこういう取材でもないと絶対に注文しないでしょうから、良い記念になりました。しかし1杯1,600円ですよ?これは心してひと口ひと口を確かめるように味わわないともったいなくて仕方ありません。
しばしグラスの中で琥珀色にきらめくビールを見つめ、その味のほどはいかにと想像をめぐらせましたが、もう想像するよりも飲むしかないと決め、いざ口の中へ流し込んでみました。
Oh……、月並みですが「上品」な味わいです。本当に、素直にこの言葉が頭に浮かびました。値段が1,600円であるという脳内フィルターが作用していたのかもしれませんが、その味は間違いなく上品のひとことに尽きました。
そしてまるで赤ワインを飲んでいるかのような味わいで、キュッとした酸味が舌の奥にフワーッと拡がっていくのを感じました。例えて言うなら、何か自分にプチごほうびを与えたいときに、この1杯だけを飲みにくるというのもありなんじゃなかろうかと思いました。
ビール好きなら一度は必ず足を運ぶべき
私が店を出るころには、すでに多くのビールを愛する人たちで、店内は埋めつくされていました。本当ならバーテンにビールについてのうんちくを聞いてみたかったところですが、それはまたの機会にすることにします。
店内はにぎやかではありながらも、居酒屋のような騒々しさはなく、クラブのようにやかましい音楽が大音量でかかっていることもなく、まるでカフェのような居心地のよさがあります。この雰囲気は本当にビールの味を味わいたい人ならきっと楽しめるはずです。
お仕事帰りのちょっと1杯に、たまにはこういう選択肢も良いかもしれませんね。
【Mikkeller Tokyo】場所: 東京都渋谷区宇田川町37−10 営業時間: Tel: 03-5738-7186 |
(文/HOW MATCH編集部)