日本中央競馬会が主催する中央競馬は、毎週土日の午前10時頃から午後16時頃まで数多くのレースが開催され、多くのファンが競馬場に足を運んだり、ウインズという場外馬券場で馬券を購入したり、テレビ中継で投票した馬を応援しています。
レース前にはパドックという馬のお披露目場所で状態を確認し、これまでの競走実績を参考にしながら、当たり馬券を予想してマークシートやスマホ、パソコンなどで投票をします。
日本各地の競馬場やウインズで発売されている勝馬投票券(馬券)ですが、儲けることはできるのでしょうか?競馬というギャンブルの視点でお金について見て行きましょう。
中央競馬の年間売上は莫大!
競馬は数多くのファンがいる公営ギャンブルです。昔は年配の人がたむろしているというイメージがあったようですが、最近では若者の割合が増え、デートで訪れるカップルおよび家族連れの来場者も目立ち、とてもクリーンなイメージとなっています。
そんな競馬が多くの人から愛されている様子は、レース開始のファンファーレの熱狂ぶりや、圧倒的な来場者数からも見て取ることができます。
日本中央競馬会の発表によると、平成27年の発売金額は2.7兆円となっており、競馬発祥のイギリス1.19兆円を抑えて世界一位となっています。
法律で定められた売上の内訳
競馬は公営ギャンブルであるため、予想が的中すれば大きく稼ぐことができます。しかし、確率論的にいうと、継続かつ安定的な収入を得るのは難しい方法といえます。なぜなら、競馬には払い戻し率という算定方法があるからです。
日本競馬では、「競馬法第7条」に定められている払い戻し率があり、25%を控除した残りの75%が払い戻されています。つまり、馬券を購入した人のトータル金額の内、25%は控除され、残りの75%が払い戻しに使われるようにオッズを調整しているということになります。
そのため、コンスタントに勝ち続けようと思ったら控除される25%を上乗せした金額分的中させないとマイナスになるということがいえます。やはりギャンブルで稼ぐのは難しいといわざるを得ないでしょう。
控除分は何に使われているの?
控除された25%の内、実は10%が第一国庫納付金という形で納付され、残りの15%が日本中央競馬会の運営費用となります。
しかし、利益が出た事業年度は半分の金額が第二国庫納付金として納付され、畜産振興事業や社会福祉事業にあてられています。
馬券の種類ごとに払い戻し率は異なるの?
ところで、先ほど競馬には払い戻し率があることを紹介しましたが、実は馬券の種類によって払い戻し率は異なります。それぞれの馬券の種類の詳細と、払い戻し率を解説します。
単勝80.0%
単勝とは選んだ1頭が1着に来れば当たりとなる馬券で、最もシンプルな投票の方法です。単勝の払い戻し率は80.0%となっており、日本競馬会のトータル払い戻し率である75.0%よりもやや高めに設定されています。
複勝80.0%
複勝とは選んだ1頭の馬が、3着までに来れば当たりとなる馬券で、初心者向けの投票方法です。単勝よりも当たる確率が高い反面、払い戻し金額は低く、競馬の雰囲気を楽しみたいという人におすすめです。単勝と同様80.0%の払い戻し率となっています。
枠連77.5%
枠連とは、出走馬に与えられた枠番というグループ番号を当てるという方法で、1着と2着の枠を順不同で当てる必要があります。枠連の払い戻し率は77.5%となっています。
馬連77.5%
枠連が枠番というグルーピングされた番号であることに対し、馬連は1頭ごとに与えられた馬番号を当てる方法です。選択した2頭が順不同で2着以内に入れば的中となり、枠連よりも難易度が高いです。払い戻し率は77.5%となっています。
ワイド77.5%
ワイドは選んだ2頭が2頭とも3着までに入れば当たりであるため、馬連よりも難易度が低い方法です。その分オッズも低い傾向がありますが、大穴狙いと同時に保険的に抑えておく人が多い馬券です。払い戻し率は77.5%です。
馬単75.0%
馬単は選んだ2頭の馬が、順番通りに2着までに入らなければならない馬券です。馬連よりも難易度は上がりますが、オッズも高くなることが期待できます。払い戻し率は75.0%となっています。
三連複75.0%
三連複とは、選んだ3頭が順不同で3着までに入らないといけない馬券の買い方で、難易度が高い買い方です。払い戻し率は75.0%となっています。
三連単72.5%
三連単とは、選んだ3頭が順番通りに3着までに入らないといけない方法で、とても難易度が高く、その分高配当を期待できます。払い戻し率は72.5%となっています。
WIN5 70.0%
WIN5とは、1つのレースだけでなく、指定の5つのレースの単勝を全て的中させなければならない馬券の方法で、全て当てるのは至難の技です。払い戻し率は70.0%となっています。
知っていると競馬が楽しくなる豆知識
ここまでご覧になった方は、お金目当てに競馬をすることが投資という面ではものすごく効率が悪いことがお分かりいただけたと思います。
しかし、ギャンブルとしてではなく、スポーツだと割り切って、馬券はほどほどに楽しんでいる人もいらっしゃいます。ここからは、競馬が楽しくなる豆知識を紹介します。
レースにはランクがある
競馬のレースにはランクがあることをご存知でしょうか?
このランクを知ると、普段テレビなどで放送されている有名レースの出走馬たちがいかにエリートであるかが分かります。実は競走馬は2歳でデビューします。しかし、毎年約6,000頭から8,000頭もの競走馬が産まれるため、2歳になると数多くのライバルとの戦いが待っているのです。
デビュー戦である新馬戦の後は、獲得賞金に合わせて未勝利戦、500万クラス、1,000万クラス、1,600万クラスと昇級し、一人前の馬と認められるのはオープンクラスに上がってからとなります。実は一人前になるためには、これだけの序列の中でしのぎを削らないといけないのです。
見事オープンクラスになったら、その中でも重要度の高いレースとして重賞競走というものがあります。重賞競走にもG3、G2、G1という格付けがあり、最高ランクであるG1に勝つことを全ての競馬関係者が目標としているのです。
主要レースの格式は野球にたとえると分かりやすい
G1は年間で20以上のレースが行われているため、それぞれのレースがどれほどの格式のレースなのか分からないという人がいらっしゃいます。でも、競馬のレースは野球でたとえるとすごく分かりやすくなります。
馬がデビューする2歳を中学生とし、主要レースを以下にまとめてみました。
競馬の主要G1レースを野球にたとえたら
《2歳・・・中学生》
朝日杯フューチュリティーステークス(中山競馬場) | 中学生野球全国大会 |
《3歳・・・高校生》
皐月賞(中山競馬場) | 春の甲子園 |
ダービー(東京競馬場) | 夏の甲子園 |
菊花賞(京都競馬場) | 秋季大会 |
※皐月賞・ダービー・菊花賞は3冠レースといわれ、一生に一度しか出れません
《4歳以上・・・プロ野球選手》
大阪杯(阪神競馬場) | セパ交流戦の優勝決定戦 |
天皇賞・春(京都競馬場) | 日本シリーズ |
天皇賞・秋(東京競馬場) | 日本シリーズ |
宝塚記念(阪神競馬場) | オールスター |
有馬記念(中山競馬場) | オールスター |
ジャパンカップ(東京競馬場) | 日米野球 |
あくまでもイメージではありますが、このようなすみ分けをしてレースを見ると、どれくらいのレースなのかがお分かりいただけるかと思います。
まとめ
公営ギャンブルである競馬は、日本中央競馬会が主催しており、その払い戻し率は法律で決まっています。
胴元である日本中央競馬会が25%の控除をしてオッズを調整しているため、長い目で稼ごうと思うと、25%を上乗せして稼がなければならず、お金を稼ぐためだけに競馬を行うのは効果性が低いでしょう。
あくまでも、スポーツ感覚で楽しみ、その余興として馬券を購入する程度が望ましいと思います。
投資商品で払い戻し率が75%だとすると、かなり元本割れをした商品となりますので、競馬での出費はアミューズメントパークでの出費だと割り切るのが望ましいのではないでしょうか?
(文/田中英哉)