お給料が増え、年収がアップすればだれでもうれしいものですね。でも、確定申告の時期になると心配になることがあります。それは、年収がアップした分だけ税金の支払う金額も増えるということです。
ほんの少しの差で税金を何十万円も多く支払わなければならないとなると、ちょっと損した気分にもなりますね。
年収1000万円なら支払う税金はいくら?
支払う税金の金額は、扶養家族の有無、控除される金額などによって異なります。ここでは、所得税を一番多く支払わなければならない条件に合致してしまう、独身(扶養家族なし)40代(介護保険料の支払い不必要)で年収1000万円の人を例に挙げて考えてみましょう。
この人の年収1000万円の内訳を月額給与625,000円+年2回の賞与(1回が2カ月の給与分で125万円)だとします。まず健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを合計して月々約90,000円と仮定します。
月々90,000円とすると年間で108万円になります。さらに、賞与分からも保険料が引かれるので、9万円×4か月分がさらに引かれます。
年収1000万円から、保険料の合計である144万円を控除した額は856万円。それに対する所得税を算出します。所得税の計算の仕方は、下の表をみてくださいね。856万円に対する所得税は23%ですから、給料に対して支払う所得税額は196万8,800円となります。この額が源泉徴収として引かれます。
年収1000万円の手取り金額はいくらになる?
上のように計算した結果、年収1000万円の40代独身の場合の手取り金額はザッと計算して659万1,200円ということになります。
年収が高いと、それに比例して所得税や保険料なども高くなってしまいます。その結果、手取り金額は340万円以上も少なくなってしまうんですね。しかし、これはあくまでも一例であり、扶養家族がいる場合には控除金額も変化するため、実際支払う税額はこれよりも少なくなると予測できます。
下に、国税庁のホームページから抜き出した「所得税の速算表」を掲載しますね。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4.000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円×0.23-636,000円=974,000円
平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。
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年収1000万円だと損する分も多くなるのか?
確かに、所得が上がれば上がるほど税金や保険料で引かれる分が多くなりますね。実際、国の納税額中48.9%が年収1000万円以上の人による納税額だといわれています。
それでも、所得が多ければそれだけ手取り金額も増えるのですから、それを損というのかどうかは考え方しだいでしょう。所得税の金額を下げようとして給料を減らした結果、手取りが多くなるということもないようです。
高年収だと児童手当がもらえないことも
しかし、高収入だと確かに「ちょっと損だ」と思えることも、世の中には存在しています。例えば児童手当。児童手当とは、中学生以下の子どもがいる家庭に支給される手当です。少し前までは「子ども手当」と呼ばれていましたね。
一般に、児童手当は子ども1人につき10,000円から15,000円もらえるのですが、年収960万円以上の高所得家庭には支給されません。その代わり「特例給付」として子ども1人当たり5,000円をもらえるのですが、それでも、他の家庭より10,000円少ないことに少しガッカリする気持ちも分かります。
まあ、そもそもそれだけ稼いでいるということなので、それを「損」というのかどうかは考え方次第ですね。
(文/河原まり)
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