住宅ローンを組むときに悩むのは金利の選択で、変動金利にするか固定金利にするか悩む人は多くいます。現在の変動金利の相場は0.5~0.7%、固定金利の相場は1.5~2.0%程度です。
金利が低いけれど、10年後20年後の金利が分からない変動金利。金利が上昇するとどうなるのか、それを考えずに「みんながこうだから」と住宅ローンを借りることは大変危険です。
金利の変化に耐えられる?
過去20年の金利の変動から見ると変動金利の場合は6.0~6.5%まで上昇する恐れがありますが、金利が最も高かったのはバブル期で、人口も減っている今の日本では高度経済成長期からバブル期の金利(約6.0%)まで金利が上昇することはないだろうと考える専門家は多いです。
さて10年後に金利が上昇すると毎月の返済額がどうなるか、シミュレーションしてみました。
【試算条件】借入3000万円、金利1.0%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし
金利の変化(金利) |
毎月の返済額 |
変動前に比べて毎月の返済額がどうなるか |
金利変動なし(1.0%) |
84,686円 |
0円 |
1.0%上昇(2.0%) |
95,243円 |
+10,557円 |
2.0%上昇(3.0%) |
106,810円 |
+22,124円 |
3.0%上昇(4.0%) |
123,732円 |
+38,046円 |
4.0%上昇(5.0%) |
148,448円 |
+63,762円 |
5.0%上昇(6.0%)←バブル期同等 |
195,003円 |
+110,317円 |
「金利が5%上昇するとそんなに増えるの!?」とびっくりしたでしょうが、それは今の給料をベースに判断したからです。金利が6%になるバブル期が再び訪れたなら給料も増えているはずです。
年収に対して買える家の値段
大切なのは住宅ローンの返済負担率です。返済負担率とは年収に対する住宅ローンの返済額(1年間の総額)の割合で、平均的に25%が標準とされています。前述した試算条件で年収ごとの返済負担率は次のようになります。
【試算条件】借入3000万円、金利1.0%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし
年収 |
金利1.0%の返済負担率 年間返済額:1,016,232円 |
金利6.0%の返済負担率 年間返済額:2,340,036円 |
300万円 |
33.9% |
78.0%(返済困難) |
400万円 |
25.4%(標準) |
58.5%(返済困難) |
500万円 |
20.3% |
46.8%(やや返済困難) |
600万円 |
16.9% |
39.0% |
700万円 |
14.5% |
33.4% |
800万円 |
12.7% |
29.2% |
返済負担率が45%を超えると返済がやや困難になります。50%を超えるとクレジットカードやカードローンの審査には通らない状態になり、ローンの借り換えもできずマイホームを手放さなくてはいけなくなるかもしれません。
最悪の場合の備え
住宅ローンを組むとき、一番避けなければいけないことは「住宅ローンの返済ができずにマイホームを手放すこと」です。住宅ローンでは現在安い変動金利を選択しつつも、万が一金利が上昇しても返済できる金額を借りることが大切です。目安は返済負担率20~25%です。
年収400万円で2400万円を借り入れた場合、返済負担率は20.3%です。今までの仮定と同じように10年後に好景気になり金利が6%になった(年収も500万円に上昇)と仮定すると、返済負担率は37.4%になります。
返済負担率37.4%は新規の住宅ローンの審査にも通るレベルなので、返済は継続可能となりマイホームを手放す必要はありません。
このように最悪の場合に備えて借入金を考えることが大切です。
変動or固定?金利は最後まで悩むもの
住宅ローンは長いスパンで返済するものなので、今だけでなく10年後、20年後の金利上昇のことを考えておく必要があります。但し、先を不安視するあまり安かろう・悪かろうの住宅に住むことはおすすめしません。一生に一度の買い物なので、妥協できない部分はきっちりキープするべきです。
楽観視は良くない、不安視は良くない、だからこそ多くの人が住宅ローンの金利選択は悩むのです。多くの銀行から住宅ローンの説明を受け、あなたも十分悩んでください。未来は誰にもわかりませんので、他人の意見に左右されず参考程度に収め、最後は自分で決めることが大切です。
(文/高橋亮)