2020年に引き続き、コロナ禍にある2021年。今までの当たり前が様変わりしていく中、特に変わった点として多くの人が挙げると思われるのが、家で過ごす時間が増えたという点でしょう。
そんな中、2021年3月11日で東日本大震災から10年という節目を迎え、住まいの防災対策について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。
そんな方たちに知っていただきたい情報が「グリーン住宅ポイント制度」についてです。
グリーン住宅ポイント制度を利用すべき理由
グリーン住宅ポイント制度とは、国土交通省が施行した住宅投資を促進させるための制度です。住宅投資を活性化させることで、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けた経済の回復を狙った施策です。また、エコを意識した住宅を増やすことによってグリーン社会に近づくこと、さらに地方創生を進めることも目的としています。
なお、この制度が適用される条件のひとつは、2020年12月15日~2021年10月31日(前倒しになる可能性あり)の対象期間に、「工事請負契約」または「不動産売買契約」を締結した場合です。
では、この制度の利用者にはどのようなメリットをもたらすのか、特に防災に関わる部分に重点をおいて確認してみましょう。
住宅投資でポイントがもらえる
グリーン住宅ポイント制度の1番の特徴は、条件に合った住宅投資をすれば、ポイントがもらえる点です。
その条件はざっくり言うと以下になります。
- 一定の省エネ基準を満たす省エネ性能を持つ住宅を建てる・新築住宅を購入する
- 災害リスクが高い区域からの移住、東京圏の対象地域からの移住などの理由で既存住宅を購入する
- 断熱改修やエコ住宅設備の設置を目的とするリフォーム工事
- 全戸が賃貸用の共同住宅等で、トップランナー制度に適合する建築物を建てる
それぞれ、さらに細かい条件がありますが、防災対策に関連する部分をピックアップして紹介します。
新築住宅の建築・購入
新築住宅の建築・購入のケースでは、ポイント発行申請の必須条件は省エネに関するもののみです。
ただし、ポイント加算の条件として、災害リスクの高い区域から移住するための住宅という項目があります。
災害リスクの高い区域とは、土砂災害特別警戒区域(土砂法に基づく)と、建築禁止災害危険区域(建築基準法に基づく)を指します。
これらの区域に移住前の住宅が立地していて、移住先の住宅は立地しないことが証明されれば、30万もしくは60万ポイントを追加で受け取ることができるのです。
災害の被害を受ける可能性が高い場所から住まいを変えることは、大きな防災対策といえるでしょう。
ちなみに「多子世帯が取得する住宅」などに該当する場合もポイントが加算されます。
既存住宅の購入
既存住宅(中古住宅)の購入については、ポイント発行申請の必須条件の選択肢に、上記と同様の「災害リスクの高い区域から移住」があります。
リフォーム工事
リフォーム工事の場合、ポイント発行申請の必須条件となる工事と併せて行うとポイントが付与される項目に「耐震改修」があります。
この耐震改修の対象工事は、旧耐震基準で建てられた住宅を、現行の耐震基準に合わせるために行うものとなります。耐震改修をしたことがわかる証明書を提出すると、1戸あたり15万ポイントがもらえます。
賃貸住宅の建築
賃貸住宅建築については、ポイント発行条件に防災対策に関するものはありません。
なお、ポイント発行条件にある「トップランナー制度」とは、建築物省エネ法に基づいた制度です。制度の中の賃貸住宅に係る基準に適合する住宅であることが要件となります。
ポイントで追加工事ができる
条件を満たし、得たポイントが何に使えるのかというと、第一に追加工事です。
ただ、どんな追加工事にでも使えるというわけではなく、こちらも条件があります。
大きく分けて2つの条件があり、そのひとつが「新たな日常」に資する追加工事です。
工事内容のジャンルは以下の5つです。
工事内容のジャンル |
詳細 |
ワークスペースの設置 |
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空気環境向上工事 |
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菌・ウイルス拡散防止工事 |
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音環境向上工事 |
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家事負担軽減に資する工事 |
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そして、もうひとつの条件が「防災に資する追加工事」になります。
詳細は後述します。
ポイントを商品と交換できる
発行されたポイントの第二の使い道は商品との交換です。
(ただし、賃貸住宅建築の場合は商品との交換はできません)
交換対象商品が2021年(令和3年)3月29日に公表されました。
https://goods.greenpt.mlit.go.jp/apl/public/viewCategoryTop
交換商品の募集は続いており、提供する事業者に向けて公示されている商品のテーマは以下の通りです。
- ウィズコロナに伴う「新たな日常」に役立つ商品
- 商品が生まれるまでの工程が省エネ・環境配慮に優れている商品
- 高齢者が暮らしやすい環境づくりに役立つものも含む健康関連商品
- 子供もしくは保護者が使う子育て関連商品
- 家事負担軽減につながる商品
- 地場産品など地域振興に役立つ商品
そして、もうひとつが「防災関連商品」です。
現状わかっている詳細は後述します。
追加工事で防災対策をする
それでは「防災に資する追加工事」について詳しく紹介します。
工事内容のジャンルは「地震対策」「水害・台風対策」「断水・停電対策」の3つです。
詳しい工事内容はそれぞれ以下になります。
工事内容のジャンル |
詳細 |
地震対策 ※躯体(壁や梁、床などの建物の骨組)関連の耐震対策は除外 |
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水害・台風対策 |
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断水・停電対策 |
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詳しくはグリーン住宅ポイント事務局「追加工事交換について」を参照
https://greenpt.mlit.go.jp/additional-construction/
では、具体的にどのような工事があるのか例を見てみましょう
地震対策(家具固定器具の設置)
DAIKENは地震対策のひとつ「家具固定器具の設置」関連の追加工事に使える製品として、耐震ロック付きの収納家具を紹介しています。
強い揺れを感じると扉にロックがかかり、収納物の飛散による二次災害を防げるというものです。
元々ある収納に別で耐震ロックをつけるのは手間がかかるし、強度にも不安があるという方は、ポイントを利用して、強度に安心感があるロック付きの製品を設置してはいかがでしょうか。
https://www.daiken.jp/product/contents/greenpoint/earthquake.html#goods06
台風対策(窓ガラス飛散防止)
YKK APは2021年3月2日のプレスリリースで、グリーン住宅ポイント制度のポイントと交換可能な追加工事について、対象製品を公表しました。
その中で、台風対策のひとつ「窓ガラス飛散防止」に該当する製品として、シャッターを挙げています。シャッターを設置すれば、台風で飛んできたものが窓ガラスを割るのを防げます。強度の優れたものを選べばより安心でしょう。
ほかにも、雨戸、外付けブラインド、飛散防止タイプの窓ガラスの設置もポイントと交換できる追加工事としています。
「グリーン住宅ポイント制度」対象製品公表 ~ 「新たな日常」 「防災」 に対応した追加工事へポイント交換可能 ~
停電・断水対策(太陽光発電・雨水タンク)
同じくYKK APでは、停電・断水対策関連の追加工事対象として、屋根にソーラーパネルがついたカーポートを紹介しています。
また、雨水タンクを設置したカーポートも例として挙げています。
住まいの一部ともいえるカーポートに施す追加工事もポイントの交換対象になることを知っておきましょう。
商品で防災対策をする
ポイントの交換対象商品として「防災関連商品」があります。
災害が発生した際に、
- 被害を防いだり、抑えたりする
- スムーズな避難ができる
- 生活手段を確保したり、維持したりする
といったことに役立つであろう商品です。
商品例は以下の通りです。
- 防災ラベルを取得している寝具やカーテンなど
- 消火器やガス警報器など
- 耐震マットや固定ワイヤーなど
- 非常用持ち出し袋や簡易トイレなど
- 電池類
- 非常食
現在公表されている商品は以下よりご確認ください。
https://goods.greenpt.mlit.go.jp/apl/public/viewCategoryTop
まとめ
災害はいつ起こるかわかりません。
新居を手に入れる際、つい外観や内装、家具にこだわりがちですが、防災対策がされていないと住む人の命を危険にさらす可能性もあるのです。
グリーン住宅ポイント制度の利用をきっかけに、住まいの防災に力を入れてみてはいかがでしょうか。