副業にも確定申告は必要
「確定申告」というものは、自営業などの一部の方が必要なものとしてイメージ付けられている人も少なくありません。
実際、会社勤めの方は給料から所得税が引かれ、年末調整で差額を調整しているので、わざわざ確定申告を行う必要がありません。
しかし、それはあくまでも「収入が1社の給料のみ」の場合に限定されます。つまり、今まで会社の給料だけもらっていた人が副業を始めた場合、それは「収入が1社の給料のみ」という場合からは除外されますので、確定申告の対象となります。ただし、全ての場合でそうだとも言い切れませんが。
確定申告をしないと?
さて、確定申告をしないとどうなるのでしょうか。簡単に言えば「脱税」です。収めるべき税金があるにも関わらず、その根底たる所得を申告せず放置していることは、納税の義務を果たしていないことであり、罰せられることになります。
具体的には、確定申告を怠ったことに対する追徴金である「加算税」、納税期限である3月15日(確定申告の期間は、所得計算期間の翌年の2月16日~3月15日)を過ぎて完納していない場合に対する利息分である「延滞税」として、それぞれに本税に対して数%が追加で必要になります。
要するに、確定申告で支払うべき金額が増えてしまうということになるのです。
罪に問われるケースも
上記のパターンでは、本税に対する加算税が課せられるだけでしたが、意図的に納税の義務の存在を隠蔽した場合等には罪に問われることも考えられます。
「故意の申告書不提出による脱犯」という罪に問われ、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金という罰則規定があります。
かつては企業に対してのみ作用していた、いわゆる「マルサ」ですが、近年はインターネットを媒介とした多額の所得の発生が容易になったことで、確定申告が必要な人が増えたにも関わらず意図的に租税逃れをしようとする人が絶えず、新しく故意の無申告犯を創設するに至ったのです。
副業は必ず確定申告が必要?
副業をしているとはいえ、必ずしも確定申告が必要になるというわけではありません。副業収入は、その多くが「雑所得」の扱いとなります。
雑所得は事業所得と同様に「経費を所得から差し引ける」という特徴があります。また、給与所得以外の雑所得が年間で20万円以下の場合には確定申告が不要なのですが、所得が20万円を超えていても、経費を差し引くことで20万円以下になる場合には確定申告は不要となります。
しかし、この図式は必ずしもすべての副業で適用されるわけでもありません。例えば、「FX」での所得は雑所得に該当しますが、「先物取引に係る雑所得」に準じて確定申告が必要になりますし、週末のアルバイトは「従たる給与」としての確定申告が必要になります。
また、業種ごとに何が経費として認められるのか、そもそもに経費が認められる業種なのかも異なります。
分からないことは国税庁のWebで調べよう
というように、「副業の確定申告」と一言に言っても、副業の業態がここ数年で多様化したことによって複雑になっています。場合によっては20万円という垣根が機能しないこともありますので、「自分は確定申告しなくても平気」と思っていても実は確定申告が必要であり、加算税や勤め先との余計なトラブルの原因となる可能性もあります。
なので、自分の副業収入がどういった扱いを受けるべきなのか、きちんと調べる必要があります。国税庁のホームページでは、確定申告に関する情報が細かく掲載されています。
所轄の税務署に確定申告をする際も、不明な点はきちんと確認し、後になって余計なトラブルの種とならないようにしておくことがお勧めです。
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(文・高橋亮)