親が通わせたい vs 子供が通いたい習いごと
三井生命保険相互会社が、小学生をもつ親を対象に行ったアンケート調査によると、男子はサッカーや野球、スイミングなど主に体力づくりにつながる習いごと、一方女子はピアノ、バレエなど教養を高める習いごとを選ぶ傾向にあるらしい。
だが、近年男子女子ともに人気の習いごとといえばやはり英会話ではないだろうか。親としては子供に国際化社会において役立つスキルを身につけてほしいと願い、子供たちは英語を話せることをかっこいいと思う。
そんなわけでいまや英会話教室の経営はおいしいビジネスと言えるだろう。
教室によって大幅に異なる月謝と教育理念
ひと口に英語教室と言っても、個人が自宅で開業しているような小規模なものから大手企業が全国展開しているものまで実にさまざま。一般的な月謝は大体次のようになる。
【個人経営の英語教室】
- 月謝 : 4,000円~8,000円
- 教材費 : 実費
- その他 : ハロウィン、クリスマスパーティなどのイベント参加費
【NOVA KIDSや ECCなど大手企業の運営する英語教室】
- 月謝 5,000円~9,000円
- 教材費 3,000円~4,000円
- その他 レベルアップコンテスト参加費用など
【ペッピーキッズ英語教室、ミネルヴァ英語教室など全国展開の英語教室】
- 月謝 地域によって異なる
- 教材費 20万円~40万円 (一括購入)
- 講師の質が学力向上の鍵
私自身が3つの語学学校を経験して痛感したこと
私自身もロンドンに来てから3つの語学学校に通ったが、金額も授業内容も実にさまざまだった。
最初に通った学校はホームスティ費用込みでアカデミック・イヤー(10ヶ月)約150万円。学校は現地の学校と同じで9月に始まり、7月に終わる。1学期、2学期、3学期の終わりには通知表をもらえ、先生との面談もある。季節ごとにイベントがあり生徒間の交流を深めることができ、家に帰ればホストマザーやほかの生徒との会話から着実に会話力をつけていくことができる。
2番目に行った語学学校は月額約20,000円。毎週更新なのでクラスメートは頻繁に変わり特にイベントもない。講師たちは長期旅行でロンドンに滞在している英語を母語とする外国人(オーストラリア人、南アフリカ人など)が多数。生徒のほとんどは就労ビザ取得のために在籍しているので出席率も低い。
3番目に行った語学学校は月額約27,000円。英語教師として勉強中の講師予備軍による教育実習という形式だったので知識はあっても「先生」としての経験がないのが難点。
それら3つの語学学校に行ってみて切実に感じたことは「よい学校選び」がいかに大切かということだ。ロンドンに来たころは英語がさっぱりわからずまともに会話もできなかった私が9ヶ月後には上級クラスに入れたのも良い講師陣に出会えたこと、ともに勉強する良い仲間にめぐりあえたことためだ。
ネイティブ講師であることよりも大切なこととは?
ネイティブ講師を売りにしている英語教室は多い。正しい発音だけでなく文化的背景も学べるという意味でネイティブであることは意味が大きいといえる。
ただこれは小学校高学年以上にのみ言えることで幼児の英語教育にはさほど違いはみられないだろう。小学校低学年以下の子供にはいかに「楽しく」授業が受けられるか、毎週通いたいと思えるようになるかが大事だ。
それにまだまだ集中力も乏しいため、マンツーマンよりはほかの子供たちとともに学べる教室型のほうがいいだろう。
一方、中高生以上にはプライベートレッスンが効果的かもしれない。費用は大体1分100円、1時間で6,000円が相場のようだ。わからないところをピンポイントで説明してもらえるし、発音の矯正にもじっくりつきあってもらえるという利点がある。
絵本などの暗誦をさせ、繰り返し読むことで記憶させる方法、英文法に重点を置いた勉強法、フォニックスと呼ばれる発音法を重視したもの、シチュエーションごとの会話を生徒たちに実際にやらせるドラマ形式など教え方は教室によって異なるが、一番大切なのはいかに「モチベーション」を保てるか。
教室を決める際にはできるだけ多くの英語教室に足を運び体験レッスンや先生との面談を通して「この先生なら大丈夫!」と思える先生にまかせることだ。決して安くはない月謝でも楽しく通えていれば、そこから何かを学び、子供の可能性を伸ばすことにつながるだろう。
(文/森野万弥)