人間、一番の幸せは健康でいることだ。いくらお金持ちでも、健康を損なえば人生は思うように楽しめない。子供が風邪を引いたらプールの授業を見学するように、たとえば三大成人病を患えば、お酒やおいしい食事まで我慢しなくてはならなくなってしまう。
そうならないためには、まずは自分の体を健康に維持するため、日々の生活を律する必要があるだろう。
しかし、成人病の中でも、脳卒中や心筋梗塞は、あるていど日々の生活に気をつけることで予防はできるが、がんとなるとそう上手くいかない。がんは日本人の死因の、常に上位を占めている厄介な病だ。みなさんも、がんで過酷な闘病を強いられた知人や、がんで命を失った親戚に覚えがあるはずだ。
がんに対抗するには、早期発見、早期治療、そして何より、定期的な検診。これに勝るものはないだろう。あらゆる病気に言えることだけど、日ごろから疾病リスクを考慮しておけば、いざという時に焦ることもない。
がんの治療費はかなりの負担になる!
これは僕の親戚の話なんだけど、長年健康が取り得だったような60代の叔父が、口腔がんに侵されてしまうという事態に見舞われた。発見が遅れたため、放射線治療ではがん細胞を殺しきれず、結局手術を経てしゃべることができなくなってしまった。
しかも最悪なことに、この叔父、無保険状態だったことが後になって発覚。結局、親族全員でカンパをして、なんとか一命は取り留めたものの、言葉を出せないこの叔父の落ち込みっぷりや半端ではない。保険証があれば、3割負担で済んだのに……。
ところで、がん治療を3割自己負担を基準にした場合、平均的な費用はいくらぐらいになるのだろうか。がんを治療する箇所にもよるんだけども、うちの叔父の場合、入院費総額は600,000円ぐらいだったと思う。そのうちの3割負担だったら200,000円を切るぐらいで済んだ。
そんな時のための高額療養費制度
まあ、このご時世、がん治療はたとえ保険証があっても相当な負担になる。治療にはまた種類ごとにコストがかかるし、なんだかんだで物入りになる場合が多いのが実情だろう。
だからそんな不都合を解消するために、高額療養費制度がある。これが適用されるので、実際にはこの半額以下が月の負担額と考えても良い。仮に叔父が健康保険加入者だった場合、毎月の治療費は80,000円ぐらいだっただろうか。
特殊ながんの治療は、家族全員で支えることも重要。
そういえば、僕の祖父もまた、がんでこの世を去った。祖父の場合は入院、通院のどちらかを絶えず繰り返していたので、家計は常に火の車だった。しかも、ちょっと珍しいタイプのがんだったので、治療にも先進医療を用いた。
この先進医療がまた曲者で、保険適用外。なんだかんだ、この治療を1セットで2,500,000円ほどは飛んでいった。これにはさすがに家族全員、祖父も含めて大爆笑だった。
しかし先進医療というだけあって、この治療のおかげで祖父の寿命は、間違いなく1年は延びた。プラシーボ効果もあっただろう。
だけどまあ、先進医療はなかなか敷居が高い。うちのような貧乏一家は、選択するにもかなり勇気がいる。
健康診断は必須!プラスがん保険で二重の備えを
入院と通院でそれぞれに負担が発生するがん治療。そもそもがんにならないまま生きるということが、現代社会では難しい。このため、重要なのは早期発見だ。
そのためには健康診断を毎年欠かさず行うこと。それでも不安なら、半年に一度でもいいだろう。早期発見、早期治療で、医療コストは間違いなく抑えられる。
定期的な健康診断で、がんのリスクに立ち向かえるのだから、定期的な検診の重要性は、説くまでもない。
現代においては、もう「がんは患うもの」という認識のもとにいたほうがいいかも知れない。最近では、先進医療についての特約も用意されたがん保険も存在している。検診と保険。この2つの要を常に備えておけば完璧だ。
(文/松本ミゾレ)