2015年3月、今年も米誌フォーブスが「世界長者番付」を発表しました。
今年は世界的な株高が影響し、資産10億ドル以上の富豪(ビリオネア)は、統計開始以来過去最多の1,826人を記録。第1位は米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツで、総資産は792億ドル(約9兆5,000億円)でした。
しかし、「ビル・ゲイツの総資産は大したことない……」筆者がそう感じてしまった理由についてご紹介します。
約10兆円の資産は国家予算に匹敵!
ビル・ゲイツの総資産は、私たちの暮らしの中でどの程度の価値を持っているのでしょうか。まずは、約10兆円の資金について見てみましょう。
まずは日本政府が発表した「平成26年度一般会計歳入総額」のうち、法人税による収入は10兆180億円でした。これは、歳入総額の約10%を占めるため、ビル・ゲイツが10人無償で総資産を提供できれば、日本は1年分の国家予算がまかなえることになります。
ちなみに、2012年の統計ですが、アルゼンチン・ギリシャの国家予算は9兆円台でした。
ビル・ゲイツの総資産を語るには、国家予算の話を持ちださなければなりません。ちなみに、筆者が暮らす静岡県の平成27年度一般会計歳入総額は1兆2,397億円。ビル・ゲイツの総資産のうち10分の1程度で、十分まかなえることになります。
集めてみました!10兆円でできること
ここまでで、ビル・ゲイツの総資産がどの程度の規模なのか、ある程度想像していただけたと思います。次に、約9兆円から10兆円の資金の使い道について見てみましょう。
2027年開業予定のリニア中央新幹線は、東京(品川)-名古屋間を最短40分で移動できる新幹線です。さらに、2045年を目標に大阪までの延伸工事も予定しています。総工費は大阪開業までを含めると、ビル・ゲイツの総資産である約9兆円に上る見込みです。
さらに、2050年の完成に向けて、大手ゼネコン・大林組が研究中の「宇宙エレベーター」も、およそ10兆円で建設可能。宇宙エレベーターとは、ケーブルで地球と静止軌道ステーションをつなぎ、往来ができるシステムです。このことから、10兆円は、大気圏を突破し、遥か宇宙にまで行ける金額だと言えます。
ちなみに、10兆円を使ってこんな大人買いも。
- 今何かと話題の新国立競技場48個(1個2500億円)
- 東京ディズニーランド52個(1個1800億円)
- 東京スカイツリー146個(1個650億円)
と、国民から期待が集まるビッグプロジェクトをいくつも実現できます。もはや、日本国内でできないことはない……まさに、ビル・ゲイツの総資産は「巨万の富」と言えそうです。
ビル・ゲイツでもムリ!日本の“アレ”はやっぱりヤバい!?
ここまで、ビル・ゲイツの総資産が壮大なスケールであることをお伝えしました。しかし、日本にはビル・ゲイツの力ではどうしようもできないほど、大きな規模で動いているお金があります。それが、国や地方が発行している長期債務残高……私たちの国が抱えている借金です。
平成26年現在、国・地方を合わせた長期債務残高は1009兆円。すでに、ビル・ゲイツの総資産の106倍に当たるのですが、平成27年度末には1035兆円になると言います。つまり、26兆円=ビル・ゲイツの総資産2.7倍分の借金が増える見込みです。
ちなみに、ビル・ゲイツの総資産は、日本が抱える借金の利子1年分に相当します。つまり、彼が「日本の借金返済のため」と、総資産を全額寄付しても借金の元本は一切減らず、利子しか返済できません。
Windowsパソコンを発明し、私たちの生活にイノベーションを起こした天才でさえ、日本の借金からすると、「焼け石に水」程度の金額しか持っていないのです。
ビル・ゲイツの財産をさまざまなモノと比べてみましたが、日本の借金がどれだけ膨らんでいるか分かると思います。もはや、私たちの力では返済不可能かも!?
(写真/Paolo Bona / Shutterstock.com)