年収を上げたい

中小企業の役員報酬はどのように決められるのか?

投稿日:2016年5月6日 更新日:


サラリーマンの憧れは役員報酬をもらって悠々自適に暮らすことと言われるものですが、役員報酬とはどのようなものなのでしょうか。たくさん役員報酬をもらうことができる社長の手取りも気になるところです。詳しく調べてみました。

社員と役員は会社との契約関係に違いがある

役員になって役員報酬をもらうというのがサラリーマンにとってのゴールではないでしょうか。役員報酬に憧れを抱いている人も少なくないでしょう。給与と別でもらえるの?なんて想像をしている人もいるでしょう。

では役員報酬とはどのようなものなのでしょうか。

役員報酬って?

会社で働く内部の人に対するお金の支払い方には役員報酬と従業員報酬(給与)の2種類があります。

  • 役員報酬・・・法人税上の役員にあたる人に対して会社から支払われる報酬のこと
  • 給与・・・会社で働く従業員が労働の見返りとして会社から支払われる全てのもの

となります。つまり、役員になれば役員報酬と給与の両方をもらえるということはないのです。そして役員報酬の場合は毎月同じ金額を受け取るので残業代や諸手当などもありません。これは会社との契約が違うことが理由になります。

役員と社員の立場の違い

役員であっても社員と同様に会社から賃金をもらうのですが、役員の場合は商法上の税務上も社員とは立場が違うのです。社員は雇用契約を会社と結ぶことで会社に勤務しています。これに対して役員は会社と委任契約を結んでいます。

雇用契約は会社が労働に対する対価を報酬として支払う契約であり、委任契約は役員が職務執行の対価として報酬を得る契約となります。

会社の利益が大きく影響

会社を起業すると、さまざまなことをしなければならないのですが、その一つに役員報酬を決めるというものがあります。役員報酬を決めることができるのは社長や役員だけであり、経費の中でも占める割合が比較的高い場合が多いことから、会社の利益計画や納税にも大きく影響します。そしてその結果、会社や役員のキャッシュフローにも影響するのです。

役員報酬の決め方は2種類ある

役員報酬を決める方法は大きく分けて2つあります。1つ目は役員一人一人がライフプランなどを考えて毎月生活する上で、どのくらいのお金が必要なのかによって決める方法です。2つ目は会社の利益計画を元に決める方法で、目標とする利益や予測される利益から決める方法です。

会社の利益から役員報酬を決める場合

中小企業に多いのが会社の利益から役員報酬を決める方法であり、役員報酬は事業年度開始の日から3ヶ月以内に株主総会を開いて毎月一定額、いくら支払うかを決定します。

ですがここで決める時に注意しなければならないのが、予想していたよりも経営がうまく行かずに赤字になってしまった場合でも簡単に減額することはできない点です。役員報酬の一番の問題点でもあり、減額する場合でも事業年度開始から3ヶ月以内と決まっています。

利益を重視するなら役員報酬を上げる?

役員報酬は経費の中でも占める割合が大きいことから、役員報酬の割合が大きくなれば会社の経費が増えるので利益が減り、利益にかかる法人税は少なくなります。そして役員報酬をもらう個人の所得税が増えることになります。

逆に役員報酬の割合が小さければ会社の経費は少なくなり利益が出るので法人税が増えるのですが、個人の所得税は下がるようになります。

年収が600万の社員vs1000万円の社長、個人で使える金額は?

年収1000万円と聞くと高給取りというイメージですが、実は年収600万円の会社員と年収1000万円の社長では個人で使える金額はほとんど変わらないのです。

年収1000万円=手取りではない

年収1000万円もあれば贅沢な生活ができるのでは?と考える人が大半でしょう。ですが社長の場合は年収がたとえ数千万円あっても全て個人で使うことはできません。

社員の場合は給与振込の時点で税金が引かれた状態で振り込まれます。ですが社長の場合は税金を引いていない状態で振込まれるので、社員の分も含めた税金は後払いになるので、まずはこの分を取っておかなければなりません。

税金の金額も何百万という額になるのでたとえ1000万円もらっている社長でも社員の手取りに換算すると年収600万円ぐらいと変わらなくなってしまうのです。

一般的には社長の年収に0.3掛けたものが実質の手取り額と言われており、残りは全て税金や会社の運営に充てるための運転資金となるのです。これを12ヶ月で割ると少し稼いでいるサラリーマン、大手であれば中堅社員ぐらいになるでしょう。

大企業、中小企業で役員を目指すあなた、「差額330万円!大企業と中小企業の年収はなぜここまで違う?」という記事も併せて読んでみてください。

(文/中村葵)

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