ADHD(注意欠如多動性障害)という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
ひょっとするとアスペルガー症候群や広汎性発達障害という名前はお聞きになったことがあるかも知れませんが、それらとともに、発達障害の1つとして数えられています。
ADHDの人は周りの人から見ると、ちょっと変わっていると思われるケースもあり、一般企業の会社員として働いている場合、職場でのコミュニケーションが上手く取れなかったり、協調性がないように見えたりして、人間関係に支障をきたす可能性が高いようです。
自分自身では気づいていない場合もあり、対策が取りにくい傾向にある人もいらっしゃいます。しかし、能力が低いわけではないので、適職につくことで問題なく社会生活を送っている人もいらっしゃいます。
この記事では、ADHDの人に関する仕事について紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
ADHD(注意欠如多動性障害)ってなに?
ADHDは、先天的な要素が大きいため、専門家に発達障害者であることを診断され、治療を受けたとしても、根治するというものではありません。
ただし、対処法はありますので、上手に付き合っていくことはできるようです。ADHDの人たちの症状は、
- 注意欠落(集中力に欠ける)
- 衝動性型(じっとしてられない)
- 多動型(何も考えずに行動してしまう)
の3つのパターンに分かれます。詳しい症状は専門家の関連記事に委ねますが、職場での業務や作業という意味では、特に集中できないことによる弊害があります。
ADHDだと仕事上困ることがある
子どものころからADHDと自覚している場合には、学習障害もあったかと思いますが、大人になった場合は、仕事上での支障が出るケースが多いのです。そのため、障害者雇用枠という方法で職業を選択している人もいらっしゃいます。
逆に、障害者枠ではなくても、自分に向いている職場環境で活躍している人もいらっしゃいますので、どのような職種や業種を選ぶかも重要な要素だといわれています。
ADHDで働いている人は実は大勢いる
ADHDの人がどれくらいいらっしゃるのか、具体的な統計は取られていないようですが、そもそも自覚がない人も多いため、かなり多くの人が就職していると考えられています。
ADHDの人は注意欠落(集中力に欠ける)、衝動性型(じっとしてられない)、多動型(何も考えずに行動してしまう)と紹介しましたが、いいかえると積極性や柔軟性と捉えることもできます。
そのため、ADHDの特徴を長所として活かして働いている人もいらっしゃるようです。ちなみに、幕末の志士として知られる坂本龍馬もADHDとの噂があり、その有能さの仮説としてしばしば紹介されています。
ADHDの人の職場あるある
ADHDの人は適職につくことで能力を発揮している人がいらっしゃると解説しましたが、一方で職場でうまくいかずに悩んでいる人もいらっしゃるようです。
では、具体的には職場でどのようなマイナス要因があるのでしょうか?ADHDの人の中でよくある職場でのマイナス要因について、詳しく見て行きましょう。
ミスの悪循環に陥る
ADHDの人の職場での特徴として、ミスの悪循環にハマってしまうということがあります。たとえば注意散漫であることを指摘されても、また同じミスをしたり、指摘されたミスとは違うところでミスをするのです。
その結果、さらにミスを指摘される結果となり、何度も同じミスや似たようなミスを繰り返すこととなってしまいます。
仕事に対する周囲の信頼を低めることによって、ミスへのプレッシャーが増大し、だんだん仕事が嫌になっていくことで、またミスを誘発してしまうのです。
特に、自分がADHDであることを自覚していない場合には、仕事に対する能力が低いと勘違いしがちであるため、時には自分を攻めて鬱などを引き起こすこともあります。
メモや記録が意味をなさない
記憶を支援する方法として、一般的にはメモを取ることが有用だと考えられていますが、ADHDの人はメモを取ったとしても、メモを取ったことを忘れてしまったり、どこにメモをしたかを忘れた結果、メモの意味がない状態となることもあります。
言われた言葉を全てメモして、大事なところが分からなくなったり、メモを取っていることに集中しすぎて、相手の話している内容が分からなくなる場合もあります。
人の話しや怒られた内容などを記憶していない
ADHDの人は、人の話している内容を記憶していないケースが多いようです。特に営業職の場合は、顧客の話しを聞いていないと直接的に業務に支障が出るため、窮地に立たされた経験をした人もいらっしゃいます。
また、怒られた内容を覚えていないケースもあります。怒られたという事実は覚えていても、どうして怒られたのかという原因を忘れているため、また同じ理由で怒られることもあるのです。
関連記事
ADHDの人の職業適性を教えて!
ADHDであるがゆえに、今の仕事がうまく行かず、転職を考えている人もたくさんいらっしゃることと思います。
でも、たとえ転職したとしても、また同じ経験を繰り返すことになる可能性もありますよね?ADHDの人が就職や転職をする場合には、どういう職業が良いのか、慎重に吟味する必要があるでしょう。
ここでは、ADHDの人にはどのような職業が向いていて、どのような職業が不向きと考えられているのか、具体的に紹介します。
ADHDの人に向いていないと言われている職業
まずは向いていないと考えられている職業から見て行きましょう。ADHDに向いていない職業だと考えられているのは、ケアレスミスが起こりやすい作業や、ミスをしたら取り返しがつかないことになる職業、周りに対する高いレベルの配慮が必要な職業があげられます。
たとえば事務や経理などはケアレスミスが多いと仕事になりませんし、医師や運転士の場合には人命に関わるため危険です。教師や保育士などは高水準の配慮が必要であるため、これらの仕事は不向きだと考えられています。
ADHDの人に向いていると言われている職業
逆に、ADHDの人に向いている職業だと考えられているのが、創造性を発揮する職業です。
たとえばデザイナーやカメラマン、美容師などがあげられます。ほかにも販売員、営業も向いているといわれています。
販売員や営業はADHDの程度にもよりますが、顧客にいわれたことだけをやる御用聞きのような営業よりも、提案型の営業や、ソリューション営業(自社商品以外の知識やサービスを付加価値とした営業)が向いています。
ただし、向いている職業かどうかはあくまでも目安で、興味がある職業につくこともADHDの人にとっては大切なことだともいわれています。
まとめ
ADHDは発達障害の1つで、本人に自覚がある場合とない場合があります。いずれの場合も、周りから変わって見られる可能性があったり、仕事の遂行上ミスなどが重なって有用に見られなくなる可能性もあります。
特に、不向きな職業についてしまった場合には、ミスの連鎖反応や悪循環に陥る傾向があるため、早めに転職することが良いでしょう。その場合には、一般的にADHDに向いているといわれている職業の傾向を参考にしながら、自分自身が興味を持てる仕事につくことがオススメです。
ADHDと上手に付き合いながら、社会で活躍している人も多いようですよ。