年収300万円時代に突入している日本
年収300万円時代というのは日本経済ではよく使われる言葉です。
現代の日本社会は経済発展を続ける一方で賃金は下がり続けており、やがて日本国民の年収は300万円程度になると言われています。実際に1990年以降は日本国民の年収は下がり続け、戻ることなく現在にいたっています。
平成26年現在では、年収300万円以下の人口が全給与所得者の4割を占めているのです。
年収300万円以下の人口が4割に!
4割と言いましたが正確には40.9%です。つまり日本の労働人口の40.9%は年間の収入が300万円以下であるという結果なのです。
代表的な理由はやはり不況です。この不況によって経済活動自体が衰えていることに加え労働者層にも変化が見られます。非正規社員やパートタイマーなどの労働者が増加し、熟練労働者に代えて海外から来た外国人を雇用することによって人件費が下落したことが大きく影響しているといえるでしょう。
また急激な高齢化が進む中、現役を退いた高齢者が増える一方で子どもの数は少なく、生産労働人口がどんどん減少し労働力不足に陥っていることも理由のひとつです。
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日本の貧困率は世界第4位!
GDP(国内総生産)というのは、その国がどれだけ豊かであるかを数字で表す指標です。そのGDPで、日本は世界第3位となっています。
ですが、OECD(経済協力開発機構)の貧困率の調査では、日本は発展途上国と同等かそれ以下の、世界第4位となっているのです。なんだかとても矛盾しているように見えますね。
貧困率が世界第4位となった背景にはワーキングプアの増加、母子世帯の増加による世帯年収の格差などが挙げられるのですが、実は統計によると、母子家庭や父子家庭の貧困率では日本は世界第1位なのです。
サラリーマン世帯が貧困化!
このように日本でも確実に広がっている貧困ですが、現在では、中間層と呼ばれる一般的なサラリーマン世帯までもが貧困層へシフトチェンジし始めています。
年収600万円でも貧困?
年収600万円という数字は一見して十分な年収に見えます。結婚をして家族を養い、ある程度の文化的娯楽を楽しむには十分な給与に思えます。ですが実は年収600万円でも家計はギリギリという家庭も少なくないのです。
例えば一戸建てに家族と住む年収600万円のサラリーマン世帯の場合、年収600万円の中から税金や社会保障費を除くと450万円程度です。そこから住宅ローン(150万円)、生命保険(50万円)、保護者として子どもに平均的な教育水準の教育を受けさせる場合に必要となる学費や教育費(150万円)を引くと、残りは100万円。 この残り100万円の中から食費や雑費、交際費や燃料費などを捻出しなければならないと考えると、貧困の理由もわかりますね。
例えば世帯人数が4人の家族が年間100万円で暮らして行かなければならないとなると、生活費はギリギリ、もしくは赤字でしょう。一方、年収400万円から500万円の生活については「年収400万円と500万円とで生活レベルはどう変わるのか?」という記事にも詳しく書いてあるので読んでみてください。
子供の貧困、誰が悪いのか?
日本の子供の貧困率は先進国の中でも最悪のレベルにあると言われています。全国の平均所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合は過去最悪で、今では6人に1人が貧困に直面しているのです。
実際、子供の貧困はかなり深刻で、学校給食が唯一の食事という子供や保険証がないため病気や怪我で病院に行けない子供、家庭崩壊からホームレス同様の生活を送っている子供など、心が痛くなる話が現実にこの日本で起こっています。
また、これが原因で高等教育どころか義務教育における教育機会さえ失っている子どもたちも少なくないのです。子供の貧困は教育格差の原因のひとつ、日本にとって大きな社会的損失ということができます。
子供の貧困にはさまざまな理由がありますが、中でも問題になっているのが母子家庭や父子家庭の貧困です。日本はこの分野で、世界1位の貧困率を記録しています。
特に一人親の場合は、なかなか貧困から抜け出せないのが現状です。中には親の離婚で子供に苦労をさせてと感じる人もいるでしょう。ですが離婚の原因にはさまざまなものがあり、シングルマザーの7割が配偶者からDVを受けていたという調査結果もあることから、一概に親のわがままが母子家庭や父子家庭を作り出しているとは言えないのです。
加速する日本の格差社会!
高度成長期以降、次々に発展と成長を重ね、世界でも有数の経済大国となった日本ですが、国民の間の経済格差は徐々に浮き彫りになりつつあります。親の世代が貧困となればその子供たちも貧困から抜け出せない状態になり、貧困格差は今後ますます激しくなっていくことが予想されます。
富裕層と貧困層が激しく二極化?
貧困率は世界第4位となっている日本ですが、不思議なことに日本では毎年新しい億万長者が生まれています。平均所得はこういった一部の億万長者の影響で底上げされてしまうことから、平均所得や平均年収の中央値だけを見ると、日本人は全体として、一見豊かな生活を送っていると思ってしまうのです。
しかし、実際には日本国民の6人に1人は平均所得の半分以下で生活をしており、平均所得の基準に満たない収入の貧困層が、かなりの数で存在しているのです。また生活保護受給者として社会保障制度による支援や援助を受けている人たちも増加しています。それなのに億万長者は毎年生まれている。とても矛盾した話です。
高所得者の取り分が増えれば増えるほど中間層と貧困層の差がなくなっていきます。中間層が消滅することで、貧困層は更に増加する可能性が高くなります。このため今後ますます、富裕層と貧困層が激しく二極化することが安易に予想されます。
格差が進む日本の未来は?
所得格差が広がり、富裕層と貧困層が激しく二極化することによって日本人の未来はどうなってしまうのでしょうか。
もちろん考え方によっては、成果を出すために活動した人たちが正当に評価される平等な社会と捉えることもできます。格差には正社員と非正規社員の待遇の格差、大都市と地方の人口の格差などもあり、国家の中である程度の格差が生じるのはやむを得ないものと思う人もいるでしょう。
国でさえ格差が拡大しているという事実に対して「格差に関する指標はさまざまであり、格差が拡大しているかどうかは一概には申し上げられない」と答えているのです。とは言っても実際に貧困の格差が進むことによって起こる問題は多くあります。
- 若くして子供を産んだものの生活能力がなく貧困に陥り子供への虐待が増える
- 雇用や収入の不安定さから結婚をする人が減り、少子化が進む
- 経済的な問題から勉強をすることができない子供たちが社会に出ることで日本の生産力は低下する
これらはすでに起こっている問題の一部ですが、今後ますますこういった問題は深刻化し、働いても働いても生活が楽にならないという状況は更に悪化していくでしょう。