職業柄か、SNSやネット掲示板を通じて、匿名の中傷を受けることがある。
こういう話を知人にすると「ま、有名税だな」とか言ってくれるが、断じて僕は有名ではない。
無名の人間なのに、叩かれているから話をしているのだ。こういう無責任なことを言った奴は、許さないのだ。
面倒くさいんだけど、やられっぱなしは癪に障るので、たまにしつこい奴を訴えるなりするんだけど、最近ではそういう被害を、一般の人も受けることが多いと聞く。
顔の見えない何者かに、好き放題に叩かれるのは虫唾が走るというものだ。
そこで今回は、中傷に困っている人のために、内容証明の書き方や、警察への相談の方法などを書いてみたい。
匿名の悪意に対処!警察編
ではまず、警察の頼り方を書いていきたい。
いきなりガッカリさせるようなことを書くけど、基本的にネットでの誹謗中傷では、警察は一つも役に立たない。
ネット犯罪対策課などが発足して久しいが、未だに市井の悪口云々では、彼らはなかなか動かない。
どちらかと言うと、ネット経由で警察が動くには、爆破予告やら自殺予告など、そういう緊急の出動案件でなくば厳しい。
それでも警察を頼るに足る段階というものはある。
そう、それが殺人予告や、傷害の示唆、あるいは自宅周辺の様子についての詳細な書き込みが見受けられる場合である。
最近では、警察の初動が遅れたせいでストーカーに殺されたり、傷つけられたりしてしまうという被害者が話題になることが多い。そのたびに警察は多方面からバッシングされる。
そのため、現在ではこのような案件では、割と親身になってくれる窓口も全国的に随分増えてきた。
自宅周辺の状況についての書き込みに、脅し文句でもセットされていようものなら、流石に重点的なパトロールぐらいはしてくれるはずだ。
頼れるものは頼るに限る。不安なら警察に相談だ!しかもコストもかからない。
匿名の悪意に対処!内容証明編
内容証明という言葉をご存知だろうか。
これは、配達する郵便物の内容を証明する、特殊な送達である。
そのまんまという感じだけど、内容証明は日本国の有する特殊会社の日本中便株式会社が謄本として扱う。
要は債権回収や慰謝料請求などの文書を送る際に、内容を国が証明するというものだ。
法的な拘束力で言えば低いんだけども、インパクトはあるので、これだけでも結構効果はある。
内容証明の利点は、その安さにある。発行だけなら430円しか掛からないので、ローコスト。
その上で、「これから本格的に訴えますよ、出るとこ出ますよ。これはその内容証明が保障する文書ですよ」と揺さぶりをかけることになる。
ちょっと意地悪な文書だけど、そもそもこういうことをする場合、被害者はこちら側なので、遠慮することはないのだ。
ネックなのは、相手の個人情報が分かっていないと、送付もできないという点だ……。
匿名の悪意、どうやって突き止める?
では、自分を誹謗中傷する人間をどうやって見つけるのか。
これが一番難しいところだが、ここを突破すれば、後は裁判なり何なりで、諸々スッキリする。
僕の場合は、あるときSNSで特定のアカウントから攻撃を受けた際に、そのアカウントの投稿を寝る間も惜しんで読みあさり、個人情報を次々にブラッシュアップした。
その上でよく通っている飲食店や、職場をピックアップし、電話で本人を探すことにした。
その結果、意外と簡単に当該人物を見つけ出すことができた。
馬鹿げたことに、この人物は40代の既婚者。
自宅に電話をかけたところ、奥さんが出た。そこで洗いざらい話を通し、後日当該人物に直接謝罪に来させることで手打ちとした。
ついでに内容証明文も送ってやった。
僕を中傷していた人物は、わざわざ新幹線に乗って新潟までやってきて、土下座をした。
流石に土下座をされたら許すしかないので水に流したが、電話代、内容証明と切手代あわせても、1,000~1,500円しか掛かってなかったと思う。
たったこれだけの労苦で嫌な中傷が消えたのなら安いもんだ。
匿名掲示板での中傷を追及するのは難しいが、SNSで誹謗中傷している人物は、馬脚を表しやすい。
もしもあなたがSNS経由での中傷に困っているのなら、さっさとやっつけてしまうべきだ。
(文/松本ミゾレ)