40代後半から50代に掛けて、順調に出世した社員には経営幹部になるチャンスが訪れます。この年代は事業部長で止まりか、役員に出世するかという状況ですが、そもそも役員の平均年収はどれくらいなのでしょうか。
中小企業の役員の平均年収は613万円?
日本国内にある資本金1億円未満の法人の平均年収から推計すると、役員の平均年収は613万円と言われています。これは、赤字企業の経営者や非常勤の役員も含まれているため、正確な金額とは言えません。
しかし、サラリーマンの平均年収が412万円の時代において、少なく見積もっても200万円は上回る計算です。
役員の平均年収を明らかにするために、企業実務サポートクラブ『最新調査に見る「役員報酬・賞与」の傾向分析』を見てみましょう。専務は1188万円、常務は1080万円、取締役876万円というデータがあります。このことから考えると、中小企業の役員は1000万円前後の報酬を得ていると考えてよいでしょう。
さらに、社長を任されるようになると、年収3000万円も夢ではありません。従業員300人未満でも、役員報酬は平均3109万円と言われています。
年収1000万円オーバーは、わずか5%にも満たない狭き門です。年収3000万円の層は1%未満しかいません。しかし、中小企業であっても役員クラスなら達成できるので、出世が夢ならぜひともチャレンジすべきゾーンだと言えます。
【関連記事】「差額330万円!大企業と中小企業の年収はなぜここまで違う?」
役員昇進するための3つのポイント
経営者や経営コンサルタントから見ると、役員に昇進させたいビジネスパーソン像は明確です。ここでは、役員候補の社員に共通する人材のタイプを考えてみましょう。
リスク管理ができるタイプ
グローバル化によって海外の企業が日本国内へ押し寄せる現在、リスクを取ったりチャレンジしたりする精神は欠かせません。しかし、リスクを考えずに新規事業へ飛び込むだけではなく、最悪のケースを想定しながら、リスクを取ってチャレンジするだけのリスク管理能力が必要です。
常に安定した結果を残すタイプ
ひとつのプロジェクトで大きな業績を残した人よりも、トータルで成績を残した人のほうが役員になれる可能性は高いです。経営は博打ではないので、安定的に結果を出すことが求められます。常に計画的に業務に取りかかるスキルがある人材は強いと思います。
自ら問題発見と解決ができるタイプ
経営者や役員は、誰かに問題点を指摘してもらう機会が少ないです。そのため、常に自分自身で問題を発見し、解決することが求められます。新入社員でも必要なスキルと言えますが、役員は高い次元で達成しなければなりません。
経営状況で役員報酬額は決まる
役員報酬は会社経営の状況に基づいて決めることが多いです。役員報酬控除および税引前の会社の利益と経営者の意向を考え、中小企業の役員就任時に得られる利益を予想してみましょう。
利益が年間2600万円以上の場合
2016年現在、給与所得控除額の上限は年収1500万円に定められました。そのため、所得税で給与が減ることを考慮するなら、年収1500万円以内に抑えつつ、上限を目指して役員報酬をもらうのがベストだと言われています。
利益が年間600万円以下の場合
年間で残っている利益を12等分し、全額役員報酬をもらうようにしましょう。最大でも月額50万円を下回る計算になります。役員報酬600万円(税率21~22%)、税引前利益600万円未満にかかる法人税(税率21~22%)のため、役員報酬に充てたほうがよいと言われています。
経営者は税金対策を考えながら役員報酬を設定しています。上記のような理由から役員報酬自体は抑え、「生命保険」や「退職金」、「社宅家賃」といった福利厚生制度で、役員に還元してくれるかもしれません。実際にもらえる金額になるとは限りませんが、ひとつの可能性として抑えておきましょう。
出世が夢ならやっぱり役員
今の時代、出世を夢見るサラリーマンは少なくなったかもしれません。ワークライフバランスを大切にする人も多いと思います。
これは、高いレベルを目指したいと考える社員にとって、ライバルが少なくなったという意味ではチャンスなのです。
中小企業でも1000万円以上の収入が期待できるので、ぜひ役員を目指してみてください。
(文/三堂有人)
合わせて読みたい