どうしても負いきれないほどの借金は、夜も眠れないほどのストレスになるものです。借金返済のために仕事を見つけようとしてもうまくいかず、それに追い打ちをかけるように催促の電話がかかってきます。
そんな日々は精神的にも身体的にも悪影響を及ぼします。健康を壊してしまう前に自己破産などの債務整理を検討しましょう。
自己破産とは?自己破産の意味
早速、自己破産が家族や仕事に及ぼす影響、また、自己破産のメリット、デメリットについてみていきましょう。
まず理解しておきたいのは「自己破産」の意味です。「自己破産制度」とは、借金の返済に苦しむ人が、自ら申し出て破産し、借金を免除してもらう制度です。
自己破産が認められると借金は全額免除されますが、代わりに資産も失うことになります。
自己破産するための条件
自己破産は誰でもできるわけではありません。自己破産が認められるには借金返済能力がない状態であることが条件となります。そこが、任意整理や個人再生と大きく異なる点です。
任意整理や個人再生は、借金がすべて免除されるのではなく、減額されるにすぎません。それなので、安定した収入があることが条件となっています。
しかし、自己破産の場合、「経済的に限界」の状態で、最終手段としてとる方法なので、安定した収入がない方が利用しやすいのです。
一般的に「自己破産」といえば、数千万円以上の大きな借金の場合に適用されるイメージがあります。しかし、自己破産の条件として借金金額の制限はありません。借金額がたとえ200万円以下でも、本人に支払い能力がないことが認められれば自己破産できます。
ちなみに、奨学金の返済ができなくなった場合にも自己破産という手がとられることがあります。
自己破産のメリット・デメリット
「自己破産」というと、財産が何もかもとりあげられてしまい、住む場所も無くなってしまうようなイメージを持っている人もいます。しかし実際にはそんなことはなく、財産をいくらか残すことができます。
つい誤解しがちですが、「自己破産」は借金返済ができなくなった人を制裁するためのものではなく、あくまでも助けるための制度。それを踏まえたうえで、ここでは自己破産のメリット・デメリットについて考えてみましょう。
自己破産のメリットとは?
自己破産の大きなメリットは、借金の返済が免除されることです。2,000万円、3,000万円という莫大な借金も、自己破産によって逃れることが可能です。また、借入先からの催促が止まるので、心安らかな毎日を送ることができるでしょう。
任意整理や自己再生の場合は安定した収入が条件になっているのに対し、自己破産は安定した収入がなくても申請できます。
自己破産のデメリットとは?
自己破産のデメリットには、
- 官報に掲載されること
- ブラックリストに載ってしまうこと
が挙げられます。よって、5年~10年の間は新たなローンを組んだり、一切の借入が不可能になったりします。
しかし、そのことによって借金する習慣を断つことにもつながるので、これは逆にいいことなのではないでしょうか?
また、自己破産のデメリットとして
- マイホームを手放さなければならないこと
- 預貯金の差押えがあること
が挙げられます。とはいっても、住む場所が無くなってしまうわけではなく、賃貸に住んでいる場合は家賃によってそのまま住み続けることができます。預貯金の差押えも、すべてが差し押さえられるというわけではなく、99万円まで残すことができます。
さらに、職業制限というデメリットもあります。自己破産をすると、一定の職業に就けなくなります。自己破産者が就けない職業には、
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
などの「士」が付くもの、
- 公証人
- 宅地建物取引業者
- 質屋
- 風俗営業
- 警備員
- 建設業者
などが挙げられます。
現在こうした職業に就いている場合、自己破産すれば職を失うということになります。それを避けたい場合、自己破産よりも個人再生を選んだ方がいいかもしれません。
最後に付け加えたいこととして、自己破産すると借金返済の責任が連帯保証人に移ります。自己破産に至ってしまったことはどうしようもないですが、ここはせめても誠実な態度で謝罪をする必要があるでしょう。
自己破産した後の生活は
自己破産に関連して気になるのは自己破産をした後の生活についてですね。自分や家族の未来にどんな影響が及ぶのか心配になるものです。多くの人が抱く疑問についてひとつずつ見ていきましょう。
結婚を考える恋人、家族や同居人にバレる?
自己破産をすると、マイホームに住んでいた場合手放さなければなりませんから、当然同居人にはバレることになるでしょう。しかし、もともと賃貸に住んでいたのであれば場合によっては住み続けることができ、ほのめかさない限り同居人にもバレないでしょう。
専業主婦が自己破産する場合、いろいろな名義が夫になっていることが多いため、夫には話さなければならないでしょう。というより、自己破産のような重大なことは、配偶者や結婚を考える恋人には言っておいた方がいいでしょう。
現在の会社にバレる?
自己破産しても、基本的に会社にバレることはありません。しかし、場合によってはバレてしまうことがあります。
例えば……。
- 自己破産による職業制限に当てはまる職業に就いている場合
- 会社から借金している場合
- 退職金見込額証明書の作成を会社にお願いするとき
などです。
携帯電話は解約しなきゃダメ?
自己破産をしても、携帯電話自体がとり上げられてしまうということはありません。
しかし、携帯電話の使用料金に滞納がある場合、これも「借金」として手続きに含める必要があります。自己破産が認められると、合法的に通話料を「踏み倒す」ことができることになります。
これは、自己破産する本人にとっては助かる話ですが、電話会社としてはうれしくありません。そこで、解約手続きへと話が進む可能性も出てきます。
クレジットカードや生命保険は解約になるの?
まずクレジットカードについてですが、自己破産の手続きをすると、1円でも残債のあるカードはすべて解約となり、使えなくなります。残債のないカードは手元に残すこともできますが、それも次の更新までのことです。
生命保険については、解約返戻金見込み額が20万円を超えていなければ解約する必要はありません。解約返戻金の見込み額が20万円を超えるようであれば解約となります。
海外旅行に行けない?
自己破産をすると海外旅行が制限されるというのは誤解です。自己破産をしても海外旅行に自由に行くことができます。ただし、自己破産の手続き中は、長期住所地を離れるにあたり許可を得る必要があり、その意味では長期の海外旅行は行きにくいでしょう。
戸籍に載る?
自己破産の事実が戸籍に記載されることはありません。これは今後結婚を考える独身の方にとってはとくに気になる部分でしょう。
自己破産は戸籍に載らないので、将来の結婚相手や家族にバレることはありません。
将来子供に与える影響は?
自己破産の事実が戸籍に残ることはありませんし、ローン申請やクレジットカードの申請時に戸籍を調べることもありません。
ローンやクレジットはあくまでも個人的なことであり、家族とは関係ないため、自己破産することで子供や配偶者、家族のライフイベントに影響を与える、ということはないでしょう。
選挙権を失う?
自己破産者は選挙権がない、というのもよくある誤解です。自己破産をしても選挙権や人権にはなんら影響は及びません。
資格を失う?
自己破産すると、上記でも述べたように職業制限があります。それに伴う資格も制限されます。
まずは専門家に相談してみましょう
借金問題は一人で悩んでいても悩んでいる分、借金が増えていくだけで何も解決しません。自己破産を考えているのであれば、債務整理を得意としている弁護士事務所に相談しましょう。
まずはこちらの「借金減額シュミレーター」で自分の借金がどれくらい減額されるのか調べてみるのがよいかもしれません。債務整理無料診断シミュレーターはこちらからどうぞ。
最近では債務整理の相談は無料で受け付けている弁護士事務所も多いのですぐに相談することをおすすめします。
債務整理の方法について
自己破産は債務整理の一種で、自己破産以外にも任意整理や個人再生などがあります。しかい、まったく支払い能力がないと判断される場合、任意整理や個人再生は選べません。これらは安定した収入がある場合にのみ利用できる手段だからです。
安定した収入が無く、自分で借金の返済ができない場合、自己破産を選ぶのが最善だと考えられます。
おわりに
自己破産は、借金の返済に苦しむ人が、破産を申し出て自分の財産を借金の返済に充て、残りの借金返済が免除されるという制度です。
自己破産をした後はクレジットカードを含む一切の借入ができなくなったり、マイホームを手放さなければならなくなったり……、といったデメリットはあるものの、莫大な借金から逃れられるというのはありがたい話です。
まずは手始めに、債務整理を得意としている弁護士事務所の無料相談を活用してみるのはいかがでしょうか?
まとめ
- 「自己破産」とは、借金の返済に悩んでいる人が自分から破産を申し出て資産を借金の返済に充て、残りの借金が免除される制度。
- 自己破産の条件は、借金の返済能力がない状態であること。
- 借金額にかかわりなく自己破産できる。
- 自己破産すると借金が免除される。
- 自己破産するとマイホームを手放さなければならず、ブラックリストに載り、就ける職業が制限される。
- 自己破産をすることによる、自分の結婚や子供の将来に対する影響はそれほど心配する必要はない。
(文/河原まり)