債務整理をすることで、余計に支払っていた利息を取り戻せたり、借金額を減額できたりします。
債務整理には「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」などがありますが、どれも自分だけで行うのは複雑すぎ、無理があります。この方面での法律に関する専門知識も必要になってきます。ですから、どの方法で債務整理をするにしても、弁護士や司法書士などの専門家の力を借りる必要が出てきます。
そこで心配になるのが、弁護士費用など、債務整理にかかる費用ですね。ただでさえ借金の返済に頭を抱えているうえに、債務整理でさらに莫大な出費を抱え込むのは避けたいことです。以下、債務整理にかかる費用についてお話します。
【この記事の目次】
債務整理費用の相場はどのくらい?
債務整理にかかる費用は、債務整理の種類によって異なります。任意整理の場合、債務整理を行っている事務所に依頼し、弁護士や司法書士に費用を支払う形になります。その場合、弁護士、司法書士に支払うものは以下の費用です。
着手金 | 弁護士費用として、最初に支払わなければならないものです。これは受任時に支払うもので、債務整理が成功したかどうかには左右されません。相場は債務先1件につき3万~4万円です。 |
報酬金 | 債務整理が成功すれば、その成果に応じて支払うことになる費用です。報酬金には基本報酬額、減額報酬額、過払い金報酬が含まれます。相場は債務整理で成功した金額の1割~2割程度です。 |
過払い金返還報酬金 | 過払い金を回収できた場合、その中から1~2割程度を「過払い金返還報酬金」として弁護士に支払います。 |
手数料 | 債務整理全般の、事務処理にかかる手数料です。目安は5,000~3万円。 |
自己破産の平均目安は30万円~50万円。個人再生の場合は40万~60万円が平均目安となります。
弁護士と司法書士でココが違う
ところで、債務整理で専門家にお願いしたいとき、弁護士と司法書士とでどんな違いがあるのか疑問に思うものですね。弁護士と司法書士とで、扱える内容と費用にどんな違いがあるのか比較してみましょう。
本来、弁護士の仕事とは、身の回りのトラブルについて法律に基づいたアドバイスをし、必要とあれば代理人として相手方(消費者金融など)と交渉する人です。法律を武器に、私たちを守ってくれる人、それが弁護士です。弁護士の資格は、司法書士、行政書士、税理士、弁理士を包括しています。
一方で、司法書士の資格は、弁護士が行えるこれら4つの分野中一部分にすぎない、ということができます。司法書士は、不動産や会社などの登記を行うことを専門としています。債務整理においては、弁護士はどんな場合でも事件を扱えるのに対し、司法書士は債権額が140万円以下の場合に限って事件を扱うことができるとされています。
こうして考えると、弁護士を雇うのは司法書士の場合よりも費用面で高くなってしまいそうな気がします。安いに越したことはありません。それで、金額が小さな案件なら、司法書士にお願いしよう、と考える人が多いのです。
ここで注意したい落とし穴があります。最初は140万円以下の案件だと思っていても、いろいろと調べた結果、過払い金が140万円を超えていることが分かった、などというケースがあることです。実際、過払い金が200万円あったとしても、お願いしていたのが弁護士ではなく司法書士だったために全額を請求できず、140万円にとどまってしまった事例もあります。
この場合、途中から弁護士を雇い直していたのでは弁護士費用も高くつきますね。それで、過払い金などが140万円を超える可能性がある場合には、最初から弁護士にお願いしておいた方がよさそうです。
借金返済が苦しいのに弁護士費用なんて払えるの?
任意整理をするにしても、個人再生や自己破産を申請するにしても、数万円という少額の費用では済まないことが分かりました。ところで、現状が借金返済に追われている状態なのに、弁護士費用など支払えない!と思うのも当然です。でも、心配いりません。
弁護士費用は基本的に分割払い。多重債務者でも、ほとんどの人がムリすることなく弁護士費用を支払うことができています。給料は高くなくても、安定した収入があるなら心配いりません。きっと弁護士費用を支払うことはできます。
そう言い切れるひとつの大きな理由として、弁護士に依頼後は借金支払いが止まることが挙げられます。
これまでは、給料のほとんどが借金の返済に回されていたことでしょう。その中から弁護士費用の支払いができるはずです。さらに、過払い金が戻ってきたり、借金額が減額されたりすることで、その中から弁護士費用が支払えるようになっているのです。
そもそも、弁護士は仕事ではあるものの、本質的に、借金返済に苦しむ人を助けることを目的としています。弁護士費用の返済に苦しむような要求はしてきません。無理なく支払えるよう、返済期間についても相談に乗ってくれるはずです。
債務整理の種類ごとに掛かる費用は違う。平均相場は?
先ほども債務整理にかかる費用についてお話ししましたが、ここでもう一度まとめてみましょう。
任意整理費用の相場
- 上記でご説明した通り、着手金、報酬金、手数料などを弁護士に支払います。
- 着手金が1債権者あたり3万円だとして、6か所から借金があるとすると、着手金だけで18万円必要だということになります。
- その他、成功報酬として、成功した程度によって1~2割分を弁護士に支払います。
自己破産費用の相場
- 自己破産の場合、手続きを弁護士に依頼すると着手金として20万~30万円くらい必要になります。
- もし債権者が訴訟を起こしたりすれば、裁判の費用として別途必要になります。
- 弁護士をお願いしていれば弁護士が裁判所とのやり取りをしてくれます。
個人再生費用の相場
- 個人再生の場合には、30万円程度が着手金として必要になります。
- その他、借金額が減額されたなら、減額分の1~2割が成功報酬として支払われます。
- ちなみに個人再生は個人を対象としているので、会社の債務整理には適しません。
過払い金返還請求費用の相場
過払い金返還費用は、返還分の1~2割が成功報酬として弁護士に支払われます。
特定調停費用の相場
- 特定調停にかかる費用は、債権者が1社なら印紙代500円、切手代420円のみです。
- 特定調停はかかる費用が安いですが、たいへん手間がかかり、申立をする本人の負担が大きいというデメリットがあります。
弁護士選びのポイント!
ところで、実際に債務整理に取りかかるに当たり、まずぶち当たる壁が弁護士選びではないでしょうか?弁護士選びの方法として、まずはネットや電話での無料相談を活用してみることをおススメします。
弁護士選びで注意したいポイントは、
- 相談料が無料であることはもちろんのこと
- 費用が分割払いや後払いができるかどうか
- その弁護士事務所が借金、債務整理に強いかどうか
です。弁護士によっても得意分野が異なるんですね。
また、いきなり弁護士に相談するのはちょっと・・・という方は、こちらの「借金減額シュミレーター」で自分の借金がどれくらい減額されるのか無料診断してみるとよいでしょう。債務整理無料診断シミュレーターはこちらから。
おわりに
ここまでで、債務整理にかかる弁護士費用などの相場について考えてきました。すべて自分で行う特定調停は別として、どの方法をとるにしても、最低30万円は見ておいた方がよいと言えそうです。
しかし、弁護士事務所によっては後払いや分割払いが可能ですし、何より、債務整理を始めた時点で借金の支払いが停止するので、弁護士費用の支払いに苦しむ、ということはないでしょう。まずは無料相談を活用してみましょう。
まとめ
- 任意整理の弁護士費用の相場は、債務先1件につき着手金3万~4万円、成功報酬として成功した程度によって、得た金額の1割~2割を支払う。他、手数料などが加わる。
- 自己破産や個人再生の場合、着手金として30万円が目安。個人再生では、それに成功報酬が加わる。
- 債権額が140万円以下なら司法書士でも扱うことができる。
- 弁護士費用は基本分割払いで無理なく支払える。
- 弁護士選びのポイントは、債務整理の方面で経験を積んでいるかどうか。
(文/河原まり)