僕はあらゆる仕事に、大前提として対価をしっかりと求める。
「何をいきなり当たり前のことだ」と思っちゃう方もいるだろうけど、この当たり前ができてない会社が結構少なくない。
夢だの、やりがいだのを人質にして、劣悪な労働条件で社員をこき使っている会社は、枚挙に暇がない。
俗にブラック企業と呼ばれているが、こういうものの毒牙にやられているのは、何も社員だけではない。中には外注のクリエイターたちも、同じく搾取されまくっている。
フリーランスのさまざまな職種の人々から聞き及んだ、無報酬の仕事をさせられたという話。
今回はその一例をご紹介したい。
業界でも有名なケチ媒体に搾取されまくった人員
まず紹介するのは、数多あるパチンコ・パチスロ動画制作会社のなかにあって、ひときわ評判の悪い某社と専属契約を結んでいた女性だ。
彼女はパチンコライターにあこがれてこの業界に飛び込んだというのだが、その扱いはまさに奴隷。
ワンマン社長のつまらない思いつき企画に登場させられ、全く新鮮味のない仕事ばかりやらされ、しかも交通費も自腹であった。
これだけでも笑えないが、極めつけは給料の未払いが頻繁に発生するようになったのだ。
件の女性は、今年のゴールデンウィークに10連勤もさせられた挙句、社員の送迎までやらされたというからバカげている。
周囲も「さっさと辞めろ」と促したが、この手の被害に遭っている人々って、どうにも解せないことに「なんだかんだ世話になっているから」とか言っていつまでもブラックに依存している。
結局は家族や親戚が強引に引き剥がすなどしない限り、いつまでも関係し続けるのだから、全く意味が分からない。
元フリーからディレクターになったのはいいものの…
次に紹介するのは、都内の某編集者でディレクター業務に携わっている30代の男性だ。
元々はフリーの編集者をやっていたということだが、近年になってその腕を買われ、ヘッドハンティングされたという。
しかし、魅力的な条件で入社したというのに、いざ働いてみれば、彼の思い描いていた理想とはかけ離れた実態が浮かび上がった。
ディレクターが、同じプロジェクトに4人も5人もいたのだ。
そんなに大勢は必要のない案件でも、いちいちこんなに大所帯で会議をするのだから、まあ~話がまとまらない。
スケジュールの遅延も目立つこととなった。
最悪なのが、その遅延の理由が、彼1人のせいにさせられている点だ。
外様出身の人材は、こういうときにスケープゴートにされやすい。その上、当初聞いていた条件よりも報酬は低い。
現在彼は、弁護士を立てて正式に雇用側との対決を考えている。
労働の対価を求める動きを自分で起こせば、搾取はされない!
今回紹介した2人の男女。
共通しているのは、どちらも入社した会社がブラックで、そのために不当な苦労を強いられているという点だ。
2人とも、最終的にはこういう会社と袂を分かつ形となっているわけだが、ブラック企業に勤務していながら、そうした状況から逃げ出そうとしない人は、ヤバい。
ブラック企業でいくら酷使されても報われることなんてない。
奉仕作業のような仕事をさせられて、経営者からは「それが当然」という反応をされる。こんなに下らない人生はない。
だが、どんなに偉そうにふんぞり返っているブラック企業も、法律には勝てない。
納得できない事情があり、ブラック企業にいいように使われていると思ったのなら、弁護士に相談をすべきだ。
人生は有限。働ける時期なんてもっと短い。
そんな貴重な時間を、わけのわからないゴミのような企業に捧げる必要はない。
(文/松本ミゾレ)