脱!非正規雇用!派遣社員は正社員になれるのか?

年収を上げたい        2017年04月14日

(この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。)


  • 2016年秋から冬にかけて、「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」という、マンガが原作のドラマが大ヒットしました。

    新垣結衣扮する主人公のみくりは、物語の最初では「大学院卒の派遣社員」という変わった設定で登場し、話題になりました。ここでは、派遣社員を取り巻く昨今の環境について、詳しく解説していきます。

    派遣社員という働き方

    厚生労働省が発表した資料によれば、非正規雇用で働く労働者の割合は、すでに労働者全体の約40%を占めています。この数字は、年を経るごとに拡大しており、今後もこの傾向は続くと考えられています。

    こういった流れの中で、非正規雇用という働き方の一形態である、派遣社員という働き方もまた、(一時的に減少した年もありますが)長期的には数が増えていく傾向にあります。

    派遣社員という働き方は、とある特定の企業にずっと所属し、その企業のためだけに働き続けなくてはならないという制約が存在しないという意味で、良い面もあります。

    ただ、その一方で、各企業は、自社にずっと仕え続けてくれる、正規雇用の正社員に対して、退職金制度や病気休暇制度といった各種制度・保証を手厚くする傾向にあります。その意味では、正社員として勤めている方が、安心できると言えるかもしれません。

    とはいえ、正社員になれば、社内での派閥争い・出世争いといった悪い面も含め、社内の人間関係に、嫌でも深く巻き込まれることが多くなります。こういった意味で、必ずしも正社員には良い面ばかりというわけではありません。

    「20代のうちは、派遣で様々な職場を経験し、スキルを身に着けつつ、その間に、自分が正社員として入社したいと思える、理想的な会社を探す」という考え方もアリでしょう。その意味で、派遣社員という働き方も、自分の人生のゴールに向けて有意義な使い方ができると言えます。

    派遣社員を縛りつける「3年ルール」とは?

    実は、派遣社員は、「同じ職場で3年以上働いてはならない」ということが、労働者派遣法という法律によって定められています。これは、一般に「3年ルール」と呼ばれています。

    もし仮に、とある企業が、特定の派遣社員に対して3年以上働いてほしいと考える場合、正社員か契約社員という形で、その人物と直接雇用契約を結ぶ必要があります。

    このようなルールが存在していたために、派遣社員は、現在どこかの職場で働いていても、3年後はどこで働くことができるかわからない、という恐怖が常について回ることになります。

    労働者派遣法改正について

    上述の通り、派遣社員は、同じ企業で3年以上務めることはできないのが原則なのですが、実は、2015年に労働者派遣法が改正され、一定の場合には、同じ派遣社員が、派遣社員という形のままで、3年を超えて、同一企業で働き続けることができるようになりました。

    例えば、派遣社員Aさんが、とある企業で3年間、営業部で働き続けたとします。この場合、3年を超えたら、もちろん企業は、Aさんを営業部員として働かせることはできないのですが、経理部や総務部といった、別の部署での別業務を行ってもらう要員として、再度、3年を上限に、派遣社員として使用することができるのです。

    この制度改正は、賛否両論を呼び、様々な議論を引き起こしています。上記の事例でいうと、企業側は、Aさんを、3年を超えても自社内で働いてほしい人材と認識したわけですが、正社員あるいは契約社員として直接雇用する努力を怠り、いつでもクビを切りやすい状態のまま、使用してしまっている、とも言えるわけです。

    一方で、Aさんとしては、新しい新天地を探す必要もなく、部署は変わるけれども、既に3年間慣れ親しんでいる企業で、再び3年を上限に働き続けられることに、安堵しているかもしれません。

    とはいえ、このような状態だと、企業側がこの制度を悪用するという可能性も考えられます。また上記の例で説明しますと、Aさんが、営業部で3年間勤めたあと、「企画部」という部署へ新たに派遣され、働き始めたとします。

    しかし、社内では営業部と企画部は隣同士であり、過去に営業成績をあげていたAさんは、名目上は企画部所属でも、たびたび営業要員として得意先回りをさせられることになる…といった可能性は、大いにあり得ます(Aさんを気に入った元上司が、Aさんを部下から手放したくないと思うということもあるでしょう)。

    このような場合、Aさんからすれば、「派遣社員なのに、3年を超える期間、営業部員として仕事をさせられているわけだから、本来違法なことであり、私を直接雇用すべきだ」と会社側に訴えかけるのが、筋であるのかもしれません。

    ただ、会社と個人との力関係は、しばしば対等ではありません。そのようなことを訴えかければ、「面倒なことを言ってくる人間だ」と認識され、いわゆる「派遣切り」の憂き目に合うという可能性も出てきます。

    非正規から正規になるには

    このような状況を考えると、やはり、正規雇用されたいという気持ちが湧いてくる方も多いでしょう。非正規雇用の派遣社員が、正社員となるには、どうすればよいのでしょうか。

    まず、派遣には、「紹介予定派遣」という条件の派遣が存在します。これは、「一定期間は派遣社員として働くが、その後、派遣先企業と労働者の双方が合意すれば、直接雇用契約を新たに結ぶ」ということを前提にした派遣です。

    紹介予定派遣では、派遣期間は最長でも6か月と決まっており、派遣先企業は、その間に、派遣社員を直接雇用するかどうかを決めなくてはいけません。

    では、この紹介予定派遣制度を利用すれば、簡単に正社員になれるのかといえば、そう甘くはありません。まず、企業側としても、正規雇用する可能性がある人材を社内で働かせるということで、派遣される前に、履歴書や面接での選考というプロセスがあります。

    人気が高い企業などでは、面接が複数回あるということもザラで、その場合、一般の転職活動時の選考過程とあまり変わらないというケースも多いです。選考をパスできる確率は、その企業の募集への応募倍率等にもよりますが、8割といった高い確率であることは、あまりありません。2~3割程度ではないかという説もあり、いずれにせよ、ハードルは高いと考えておくべきでしょう。

    これまでをまとめると、派遣社員という働き方は不安定で、やはり正社員の方が良い、と思う方が多いかもしれません。ただ、これも既述事項ではありますが、派遣社員だと、社内のドロドロした人間関係から、一定の距離を置きやすく、気楽でいられます。

    どちらの働き方も一長一短あるのだと考えておいてよいでしょう。

    まとめ

    • 非正規雇用で働く人の割合は、年々増加している
    • 派遣社員は、原則、「3年ルール」で勤務場所を去る必要があり、不安定と言える
    • 特に派遣先企業から求められた場合には、派遣先の部署を変えるなどして、3年を超えて同じ企業で働くこともできる
    • 直接雇用契約締結の可能性を視野に入れた紹介予定派遣は、ハードルが高い
    • ドロドロした人間関係など、正社員には正社員の辛さもあるので、正規も非正規も一長一短あると心得ておくべき

    (文/tdom)

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    日系企業でのアメリカ駐在、外資系企業への勤務を経て、2017年夏から海外移住を始める30代半ば♂。趣味は旅行、ゲーム・マンガ・アニメ、筋トレ、各種スポーツ観戦など。酒好き。

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