健康そうに見える人が、がんになったと知ると、やはりがん保険には入っておくべきかと迷うことがありませんか?一方では、誰もがなるわけではないと、がん保険など不要に思えることもあるでしょう。
がん保険の必要性を考えるために、基礎的な知識を紹介します。
【この記事の目次】
がん保険は必要なの?
がん保険は、本当に必要なのでしょうか?いつ病気になるかわからないからこそ掛ける保険といっても、がんになる確率は低いようにも思えるものです。誰しも、がんになるなんて、自分には起こり得ないことだと思っています。
がん保険を掛けるよりも、住宅ローンのほうが大事だと思うのは当然です。ただし、もしもがんになったなら、がん保険に加入していなかったことを後悔するでしょう。
がん保険の必要性は、漠然とした考えではなく、もっと明確なデータを用いて考える必要があります。
がんになる確率とは
がんには、誰がなるのでしょうか。答えを先にお知らせしてしまうと、日本人なら2人に1人の確率でがんになるといいます。この確率は、がん情報サービスが発表している『最新がん統計』のデータによります。
60代では、
- 男性が63%
- 女性が47%
の確率でがんになる確率を秘めているのです
子供でも、がん羅患リスクは変わりませんから、一生のうちにがんにかからない人のほうが少ないといってもいいほど。しかし、これだけの高い確率があらかじめわかっているのであれば、がん保険が必要か不要かという命題にもスムーズに答えを導き出せそうです。
ちなみに、男性よりは羅患リスクが低めの女性でも、男性より若いうちからがんになる人が多いことがデータからわかります。40代や50代は、女性もまだまだ働きざかり。家事や育児だけでなく、主婦としてパートなどに出ている方もいるでしょう。
頑張っているときに、がんになったとわかったら、途方に暮れてしまうかもしれません。もちろん、働きざかりの男性にがんが発見されたとしても同様です。備えあれば憂いなしとは、こういうときに実感する言葉なのかもしれません。
がん治療の約半分が長期治療?!
日本の医療は世界レベルですから、がん治療の進歩も目覚ましいものがあります。早期発見ができれば、完治する人も少なくありません。そうはいってもあなどれないのが、がん治療の難しいところです。
公益財法人がん研究振興財団のデータによると、がん治療に必要な治療期間は、半年未満が55%と大きな割合となっています。半年から2年未満になると、だいぶ減りますが、それでも24.4%。
4人に1人くらいは、長期治療を受けているわけです。さらに、
- 2年から5年の長期治療を受けている人は9.2%
- 5年以上は7.8%
と少ない数字とはいえません。ただでさえ、がん治療にはお金がかかるのに、治療中に働けなくなってしまえば、がん治療に専念しようと思ってもままならないでしょう。
データを参照しても、がん治療が長期化して世帯収入が減ったとする人は、45%もいることがわかります。がん保険に加入しておけばよかったと心の底から感じられるのがこのときなら、備えておかないのはナンセンスです。
がんになった際の医療費とは
ところで気になるのは、がんになると、どのくらいの医療費がかかるのかということです。がんになったら、莫大な医療費がかかりそうという漠然とした想像は誰でもできます。具体的な金額を知っておくことで、明るい未来のためにしっかり備えておくことができるのです。
がんになった場合、手術と入院だけで済む場合もあります。しかし、抗がん剤治療や放射線治療などの先進医療を行うとなると、予想以上の大きな負担となります。
株式会社メディネットが発表している『抗がん剤の治療費』では、部位別に細かい治療費のデータが紹介されています。薬の種類や摂取頻度によっても治療費は異なりますが、大まかに計算しても年間100万円は見ておかなければ、十分ながん治療は受けられそうにありません。
がん保険が必要な理由
がん保険が必要な理由の第一は、がんとわかって治療が長期化したときに、医療費を支払えなくなるリスクを減らすことです。がんになった約半数の人が、半年以上の治療を受けているデータからも、短期間で治療が終わる可能性は低いと考えたほうがよいでしょう。
公的な医療保険には、高額療養費制度のような、医療費の自己負担額を特別に抑えることができる制度もあります。必要な人には入院給付金制度もありますが、普段は働いている人が働けなくなってがん治療を受けるのは、の生活設計にも影響をおよぼします。
治療のために仕事ができなくなると、退職せざるを得ないリスクも出てきます。がんになったばかりに、将来の生活まで危うくなってくるのです。
仮に、一生分の生活をするための貯蓄をしている人でも、がん治療費に貯蓄をガサッともっていかれては、愕然としてしまうでしょう。がん治療のために貯蓄を切り崩さないということも、がん保険への加入が必要な理由のひとつです。
逆に、がん保険が不要な理由
がん保険が必要な理由にも納得できるものの、がん保険が不要な理由もチラつくという方もいるでしょう。がん保険が不要な理由のひとつが、頼りになる公的制度があるということ。
確かに、高額療養費制度や疾病手当、入院給付金などの制度は、世の中に必要な保障です。実際にがんになると、大きな助けとなります。しかしこれらは、最低限の保障だということも頭に入れておきたいところです。
がん保険が不要な理由のもうひとつは、医療保険に入っているからということです。昨今の医療保険制度は、なかなか充実しています。利用しない手はありませんが、がん治療費の実際を知れば、医療保険でがん治療費をどの程度まなかえるのかも予測しておく必要があります。
貯蓄がたっぷりあるから、がん保険は不要という方もいるでしょう。どの程度の貯蓄かは世帯によっても差があるでしょうが、治療が長期化した場合を仮定して、貯蓄が十分かどうかは冷静に考えてみることをおすすめします。
がん保険が必要なのはどんな人?
がんになっでも、十分な治療を受ければ完治する可能性が高くなっているのが、昨今の医療事情です。がん治療費に糸目をつけずに済む人でも、働かずに収入を得られるわけでもない限りは先々に不安が出てきます。
そこで治療費が支払えなくなり、十分な治療を受けられなくなれば、悔しい思いをすることでしょう。自分だけでなく、妻や子供の将来にまで影響が出てくるのです。以下に、がん保険がひつようなのはどんな人か、まとめてみました。
- がんになったときに、医療費を払えなくなるリスクを減らしたい。
- がん治療のために、働けない期間があっても安心したい。
- 貯蓄をがん治療のために切り崩して、人生まで崩したくない。
がん保険が不要なのはどんな人?
それでも、がん保険が不要だと思う人もいるでしょう。がん保険が不要な人がいるとしたら、莫大な資産を持ち、湯水のようにお金がわいてくる人でしょうか。
あるいは、無償でがん治療をしてくれる医師の知人がいるなども考えられます。極端な例ではありますが、それほどがん保険が不要だと断言できる人は少ないということです。
がん保険の賢い選び方って何?
がん保険は、入院治療から通院治療へと移り変わっているのが現状です。年代別にがん保険を選ぶとしたら、どこにポイントを置けばよいものでしょうか。
例えば、20代~30代の若いうちであれば、定期保険でもよいでしょう。まだ収入も低めなことが多いため、がん保険のために無理をし過ぎる必要はありません。40~50代になってくれば、終身保険を視野に入れてみるのがおすすめです。がん治療のために働けなくなり、収入減となった場合にも助かります。
公的制度には入院給付金がありますが、入院しないと給付金を受け取れないのは痛いところです。がんと診断された時点でお金を受け取れる、診断給付金や通院保障なども便利なもの。
一方で、抗がん剤治療特約などは、必ずしも必要になるかどうか微妙なラインです。それこそ、高額療養費制度を活用することで、ある程度まかなえる場合もあるためです。
最適ながん保険を選ぶには専門家に相談を!
最適ながん保険を選ぶのは、一筋縄ではいきません。それでもやはり、がん保険が必要か不要か迷ってしまう方、がん保険が必要かもしれないと思った方、いずれにも専門家への相談をおすすめします。
がん保険に加入するにあたっては、必要なものや必要な特約など、様々な要素がからんできます。一人で考えていても、頭の中がゴチャゴチャになってくるだけです。
保険の専門家といえば、FP(ファイナンシャルプランナー)がいます。がん保険の選び方から、治療に必要な金額、必要書類まで、あらゆる関連事項を適切にアドバイス&進行してくれる存在として、頼りにしてみませんか?
おわりに
がん保険が必要か不要か迷うのは、それだけ、がん保険が重要な位置づけをされているということでしょう。むしろ、医療保険よりも、がん保険のほうがいざというときに役立ちます。
自分だけでなく家族も守れるがん保険について、真剣に検討してみませんか。
まとめ
- がん保険が必要か不要か、データを参照してみる。
- がんになる確率は、どのくらい?
- がん治療が、長期化する確率。
- がん治療にかかる費用。
- がん保険が必要な3タイプの人。
- がん保険が不要な人は、いる?
- がん保険を賢く選ぶには。
- がん保険は、専門家に相談するのが得策。
(文/MOMOKO)