アメリカは格差社会。貧富の差が激しく、それはニューヨークを歩いていても感じます。
ここでは、アメリカの貧富の差の実態についてまとめます。また、日本の平均的な家庭とアメリカの平均的な家庭の違いについても、まとめてみたいと思います。
アメリカに興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
【この記事の目次】
アメリカの世帯年収は?
平均年収がまとめられたサイト「平均年収.JP」で、アメリカの平均年収について調べてみます。
アメリカの平均年収は4万3,556ドル。1ドル105円として円に換算すると457万円。アメリカの平均年収は約457万円なので、日本より若干高いということが分かります。
世帯収入で見てみると、平均世帯年収は64,432ドル。これも1ドル105円として換算すると約676万円。よって、アメリカの平均世帯年収は約676万円だということが分かります。日本の平均世帯年収は528.9万円なので、これもアメリカの方が高いことが分かります。
男女別にアメリカの平均年収を見てみると、男性の平均年収は504万6,000円、女性の平均年収は361万1,000円。
やはり、女性は結婚や出産などのライフイベントに伴って仕事を調整しなければならないため、仕事に没頭できる男性よりも平均年収が低くなっていることが見てとれます。そこのところは日本と同じですね。
ただし、日本と違うのは給料が上がっていく要素。日本は全体的に年功序列制がまだまだ根強く残っており、ほとんどの企業では本人の業績や能力に関係なく、勤めた年数が長くなるにしたがって給料も自動的に上がっていく傾向があります。
一方でアメリカでは仕事ができる人ほど年収が高くなる仕組み。勤めている年数が短くても成績のよい社員はどんどん高給になり、成果がそのまま表れる形となっています。逆に同じ会社に何年勤めていても、大した業績を残せない人は何年たっても給料がアップしません。
やればやれただけ年収がアップするアメリカは、やりがい、がんばりがいは実感できるかもしれませんね。とくにそれが顕著な職種は、
- プログラマーやエンジニア
- 学者
- コンサルティング会社
- アクチュアリー(統計などのプロフェッショナル)
などです。これらの職種では、個人の能力に伴って年収1,000万円超え、ということもよくあるそうです。
一般家庭の収入状況は下落中
ここ数年、日本の世帯年収は下がっています。ところで、世界最大の経済大国と言われているアメリカはどうなのでしょうか?気になりますね。そこで調べてみると、アメリカも日本とほぼ同じような状況だということが分かりました。
情報源によっては、2000年以降アメリカの世帯年収は増加している、ということを言っているものもあります。でも、これは過去のインフレ率を考慮しないでの考察であり、インフレ率を考慮すると、確かにアメリカの実質的な世帯年収は減っている、といえます。
アメリカでの一般的な世帯では、毎月45万円の支出がある
さて、ここまででアメリカの平均年収について、また、経済状況が下落中だということについて考えました。ここからはアメリカの一般的な世帯の出費状況を調べ、日本の一般的な家庭と比較してみたいと思います。
アメリカの一般的な世帯では、年間51,933ドルの支出があるとのこと。1ドル105円として換算すると51,933ドルは約545万2,000円。これを月平均にすると約45万円。つまり、アメリカの一般的な世帯では毎月45万円の支出がある、ということになります。
先ほど、アメリカの平均世帯年収は約676万円、ということをお話しました。世帯年収が676万円で、月々45万円使ったとすると、年に136万円貯金できる、ということになります(手取り金額の場合、金額はもっと変わります)。
アメリカの一世帯当たりの年間支出45万円の内訳について紹介されているサイトを見つけたので参考にしてみたいと思います。2009年のデータなので少し古いのですが、支出のトップ3については参考になるかと思います。
- 住まい・・・1万6,920ドル(177万6,600円。月々にすると約14万8,000円)
- 自動車・・・8,758ドル(約92万円。月々にすると約7万6,000円)
- 食費・・・6,133ドル(約64万円。月々にすると約5万3,000円)
日本と比較すると、住まいにかける費用がとても高いですね。
日本で家賃14万円の家といったら豪邸か、便利な都心に建っている広めのマンションです。アメリカでは支出の34.1%を住まいに当てているということを考えると、住まいを大変重視していることが分かります。
自動車にかかる費用も高めな気がします。アメリカはガソリンが高いのでしょうか?そう思って調べてみると、逆に日本よりも安めなことが分かりました。ではなぜ車の維持費にお金がかかるのか?
それはどうやら、土地が広いために移動距離が長くなるからのようです。それでガソリン代がかかってしまうんですね。
食費にかける費用も、日本の一般家庭と比較して高めな気がします。アメリカの物価は日本とほぼ同じ、と聞いたことがありますが、最近ではアメリカの物価が多少高いのかもしれません。
そう思って調べてみると、ものによっては日本よりも高いということが分かりました。ガソリンや食材は日本よりも安めですが、レストランでの外食やホテル代は高めのようです。特にアメリカではチップを渡す習慣があるので、レストランやホテルではさらに高くついてしまいます。
ここまでで結論としていえるのは、アメリカの平均年収や世帯収入は日本の平均よりも高いが、一般家庭を比較するとアメリカは支出も多いということです。
出費についてひとつ付け加えておきたいのが、アメリカは医療費が高いということ。医療費が大変高いので、貧困層の世帯では病気になっても病院に行けないこともあります。これは深刻な事態ですね。
さて、冒頭でも少し触れましたが、アメリカは格差社会、貧富の差が激しい国です。ここで、貧富の格差が特によくみられる地域と、格差がほとんど見られない地域について調べてみましょう。
格差があるのはアトランタ、サンフランシスコ、ボストン
アメリカの州の中でも特に貧富の差が見られるのはアトランタ、サンフランシスコ、ボストンの辺りです。
地名 | トップ5%の平均年収 | 下位20%の平均年収 | ||
ドル | 日本円換算 | ドル | 日本円換算 | |
アトランタ | 28万8,159ドル | 約3,000万円 | 1万4,988ドル | 約157万円 |
サンフランシスコ | 42万3,171ドル | 約4,400万円 | 2万4,815ドル | 260万円 |
ボストン | 23万9,837ドル | 約2,500万円 | 1万5,952ドル | 約167万円 |
こうして見てみると、貧富の差が本当に大きいことが分かります。サンフランシスコに至っては、年収4,400万円の人がいるのに驚きです。本当に年収の開きが大きいですね。
格差がないバージニア・ビーチ
一方で、年収の開きがそれほど見られない州もあります。それはバージニア・ビーチ。観光地で知られるため、比較的どの世帯も安定した収入が得られるというのがひとつの理由となっていると考えられます。
バージニア・ビーチでは、小売業、卸売業も盛んに行われています。バージニア・ビーチは仕事が見つかりやすいだけでなく、治安も比較的良いと評判です。
こうしてアメリカの年収事情、出費事情について考えると、日本についても新たに見えてくるものがあるのではないでしょうか?
日本は給料が年功序列制の傾向があります。それもあってか、貧富の差はアメリカほどではありません。能力に応じて結果がついてくるというのはやりがいにもなりますが、その反面、ストレスになることもありそうです。それぞれに良し悪しがありますね。
(文/河原まり)