現在、個人で屋号を取ってコンテンツを作り出し、お金を稼ぐ人々というのはずいぶん増えてきた。作家、ライター、イラストレーター。間違いなく、インターネットの普及に伴って、頭角を表す人々は増えてきている。僕もそんな中の1人だ。
さて、こうして全国各地で次々にクリエイティブな人々が生まれると、ひとつ問題が生じることがある。それが著作権に関するトラブルだ。思い立った瞬間に、実績はなくともライターなりイラストレーターを名乗れるこの時代。中にはリテラシー感覚が伴っていないまま船出する人々も少なくない。
そういう人は、他人の作品をパクって自分のイラストとして公表したり、他所からコピペした文章をクライアントに納品してお金に換えてしまったりする。こういう品のない人々は結構そこら中にいる。今回は、こういう人々にレッドカードを直接手渡すようなコラムを書いてみよう。
コピペ動画で儲けようとする有象無象
僕は現在、5つの媒体で記事を書いている。それぞれの媒体に担当する編集がおり、大概は月頭に、この編集とコラムのネタについてデイスカッションをしてから、その月に入稿する記事の方向性を確認しあう。テーマさえ決まれば後は書くだけなので、フリーの物書きは大変に気楽だけど、この瞬間だけは大いに頭を悩ます。
ところがここ3年ぐらい前から、こうして生み出したテーマに沿って入稿するコラムが、どこぞの物書きにパクられるという事態がしばしば起きている。こんな時には、編集部と相談の上、当の盗人に厳重注意をするんだけども、たまにこの警告を無視する輩もある。
生活するために仕事で作った文章をコピペされて泣き寝入りするほど、僕は人間ができてはない。これまで、こうした場合には内容証明を送りつけて、相応の対価を頂いてきた。当然の報いだ。
このコラムを書くにあたり、軽くコピペされていないかチェックしてみた。すると5秒で、パソコンにこういう画面が表示された。
これは僕がある媒体に寄稿していたコラムが、何者かによって勝手に紙芝居のような動画に編集され、YouTubeに投稿されたものの一部だ。大方、底辺ユーチューバーが思いついた浅知恵だろう。案の定PV数は2桁。全然バズってもないし、半年以上前のことなので、さすがに法的な制裁は下さない。が、ここにこうしてひとつのパクり事例として晒し上げておく。
俺は許しても法律は許さない!(俺も許す気ないけど!)
前述のようなものは、ほんの一例。大体こういうことって、僕のような物書きとしては全然有名でもない人間でも、年に2、3回は発生する。しかし、コピペをするには、相応の覚悟をしておこう。言うまでもなく、そうした行為は著作権法違反となる。
著作権の侵害、無断コピーは、法律上は間違いなく黒となる。その罪の重さはケースバイケースだが、罰はとなると、これが結構洒落にならない。個人の場合は懲役は最大10年。同じく罰金は最大1000万円となる。
もっとも、実際にこの手の裁判が起きた場合は、一発で懲役が付くことはない。そもそも罰金刑が課せられることがほとんどだ。金額は、数十万円ぐらいだろうか。
コピペなんかしなくても文章は書けるから、パクるのはやめようね?
僕の場合は示談にしたが、この場合もやはりウン十万円で手打ちとした。基本的に、こういう係争の大半は、当事者かそれに近しい人物による告発がほとんど。本人が訴えた以上、動くべき機関は即座に動かざるを得ない。
実際、僕のように訴える人間は物書きの中にも少なくない(物書きは金がない。飯の種を横取りする人間には敵意100%だ)。
コピペをして、これが被害者に知られた場合は、もう覚悟して裁判に備えておこう。他人のものは無断で使わない。当たり前のことなんだけどね。
(文/松本ミゾレ)