看護師の仕事は人の命に係わるとても尊い仕事ですが、しかし同時に精神的にも肉体的にも負荷が大きいことも事実です。
したがって、それに疲弊したりあるいは生活環境の変化などによって同じ看護の仕事でももっと負荷の少ないものに転職しようとか、あるいは逆にもっと経験を積める職場に転職しようとか考えることは、ごく自然なことでしょう。
しかし、看護師というやや特殊な仕事をしていると、どのように転職活動をすればよいのか、ということに悩む人も多いはずです。
そこでここでは、看護師が次の職場をどのように見つけたらよいのか、ということについて主に転職サイトの話を中心にご紹介していきます。
看護師の転職は今がチャンス
現在、仕事に就いている看護師の数は約150万人強いるといわれていますが、今後さらに高齢化社会が進むに従い、それが2025年には200万人必要だとされています。
つまりあと10年で約50万人の看護師を増やす必要があるのです。
それは特に将来についてだけではなく、今現在であってもどの医療機関でも看護師は慢性的に不足しています。
毎年、新しい看護師が仕事に就く一方で、仕事を辞める看護師も多く、特に近年は看護師志望の若い人材が減っており、ますます看護師不足と看護師の高齢化が進んでいくと考えられます。
そのため、最近では特に、入ってくる看護師が減るのであれば辞めていく看護師を何とか引き留めようと、どの医療施設も給与のアップや福利厚生の充実など待遇の改善に努め、同時に長時間労働と深夜勤務の多い労働条件の見直しを進めています。
そういう意味では、求人数も多く、待遇改善が見込まれる看護師の仕事は、転職でさらにいい条件の職場に移ることにとって今がチャンスだと言えるでしょう。
看護師の転職先にはどういう選択があるか
では今が転職のチャンスだとして、実際の転職先としてはどのような選択肢があるのでしょうか。
まず挙げられるのは当然病院で医療ワーカーとして働くという選択肢です。そしてこれにはご存知の通り、大規模な総合病院から、地域医療を中心に行うクリニックや診療所があります。
また同じく医療機関としては保健所、検診施設、血液センターなどの公的な医療法人社団や、企業内医務室も医療分野の勤務先として挙げられます。また医療系の仕事としては医療施設ではなく、保育園、乳児院などでも看護師人材は求められています。
さらに最近非常な勢いで数が増えているのが、介護老人保健施設、介護老人福祉施設などの介護施設、居宅介護支援事業所、訪問看護施設、介護付き有料老人ホームなどの高齢者施設です。これは今後も転職先として増えていくでしょう。
ですので転職を考える時には、「看護師だから病院で働く」というように決めてかからないで、幅広く可能性を考えることが大切です。
転職を成功させるポイント
では、看護師として転職するうえで、それを成功させるにはどのような点に気を付けたらよいのでしょうか。
求人情報をしっかり分析する
まず転職先を探すほとんどの場合は求人情報が載っている求人票やサイトを見ますが、その中でいくつかのポイントをしっかり見過ごさないように分析することが重要です。
具体的には以下の点を確認しましょう。
基本給と賞与から年収を計算する
求人票の給与欄には「月給30万円」という形で合計金額で月給が書かれていることがほとんどですが、これは
「基本給」+「各種手当」
が内訳です。この内訳を把握しましょう。基本給20万円+手当10万円、と基本給25万円+手当5万円では大きく意味が違ってきます。
というのは、賞与は「基本給×●ヶ月分」で算出されることがほとんどだからです。仮に賞与が2ヶ月分だとしたら、20万円×2ヶ月と、25万円×2ヶ月では10万円も変わってきます。年間20万円の違いです。
年収に直すと、
- 前者が30万円×12か月+40万円×2回=440万円
- 後者が30万円×12か月+50万円×2回=460万円
です。ですから、給与の合計額だけで判断せず、内訳を確認し、そこから年収を計算して比較をしましょう。
ただし、一般的に同じ地域の、同じような診療科目の病院同士で給与が大きく違う、ということはほとんどありません。もしもほかと比較して給与が高すぎる場合は、たとえば非常にハードワークの職場で、看護師の定着率が低いのかもしれませんので、注意しましょう。
休日休暇と年間休日を確認する
実は求人票に書いてある
- 「完全週休2日制」
- 「週休2日制」
は全く違うということをご存知でしたか。
「完全週休2日制」は「毎週必ず2日の休みがある」ことを言い、「週休2日制」は「週に2回の休みがある週が1ヶ月に1回以上ある」ことを言います。
つまり、「週休2日制」と書いてある病院は、最低で「月5日の休日」しかない場合もあるわけです。
給与が高い病院の中には「週休2日制」になっているものも少なくありません。出勤日が多ければ給与が高いのは当たり前です。したがって、その両方を関連付けてチェックすることが大切です。
また中には「4週8休」という表現で出している病院もあります。これは「4週間のトータルで8日の休日」という意味ですから、ある週の休日は1日で、ある週は3日、ということもあるわけです。この表現にも注意しましょう。
そして必ず見ておきたいのが「年間休日数」です。これは1年間でどれだけ休日があるかということですから、これで比較をするのが1番確実です。一応の目安としては
- 120日以上あったら優良病院
- 100日~120日で普通の病院
- 100日に満たない場合はブラック病院
だと考えられます。
アピールポイントの「具体性」を確認する
病院はとにかく看護師を採用したくて求人を出していますから、当然自分の病院のアピールポイントを強調します。
しかし、それが本当に具体的な根拠があることなのかをしっかり見極めないと、表面的な美しい言葉に騙されて、ひどい仕事環境の病院に入職してしまう危険性があります。
たとえば、見極めるポイントは以下のようなことです。
「ワーキングマザーが働きやすい職場です」
この場合は、
- 「実際に託児所はあるか」
- 「24時間対応か」
- 「子供のいる看護師の割合は多いのか」
- 「師長や主任もワーキングマザーなのか」
が重要です。
「残業が少ないのでアフター5が充実します」
この場合は
- 「平均の1ヶ月の残業は?」
- 「それは病棟平均か、病院全体の平均か」
を確認しましょう
「有給取得率が高いです」
この場合は
- 「具体的な有給消化率は?」
- 「それは病棟平均か、病院全体の平均か」
を確認しましょう。
「教育研修が充実しています」
この場合は
- 「具体的な教育プランがあるのか」
- 「実際に実施されているのはどういう研修で、頻度はどれくらいか」
を確認しましょう。
これらは求人票だけではわからないことも多いですから、それらの点については面接などでしっかり確認してください。
履歴書は丁寧に書く
上の確認事項は、その病院は自分の働きたい職場かどうかをチェックするためのものでしたが、ここから下はそのような病院が見つかって、今度は自分が採用されるためにどのような努力をしたらよいか、という点です。
まずは履歴書です。これは、採用する側が1番最初に接する応募者の情報です。ですから、汚い字で書かれた個性がない適当な内容の履歴書を提出すると、それだけで不採用になります。ですから、丁寧な字で、応募動機などはできるだけ自分らしい内容を書きましょう。
ただし、あまり細かいと読んでもらえませんので、簡潔に書くことも重要です。
面接は明るくはきはき
面接に進んだら、心がけたいことはとにかく明るく、はきはき答えることです。看護師に重要なことの1つはコミュニケーション能力ですから、それをしっかり態度でみせましょう。
また病院側は、応募者の
- 責任感があって丁寧に仕事をしてくれるか
- ほかの看護師と協力して仲良く仕事をしてくれるか
- 長く働いてくれるか
を見ていますので、その点を強調しましょう。
病院見学は必ずする
さらに、書類やインターネットだけではその病院施設の充実度や新しさなどはわかりませんから、できる限り病院見学をしましょう。その場合は、その病院の看護部などに問い合わせれば手配してくれます。
その時にチェックするのは以下の点です。
看護師の働いている様子は
- 病院見学申し込みの電話をしたときの、相手の対応は親切だったか?
- 看護師は患者を尊重する言葉使いや丁寧な態度で接しているか?
- 若手の看護師に笑顔が見えるか?
患者の様子は
- 患者は看護師と気楽な感じで接して、雑談などをしているか?
- 患者の身の回りは清潔できれいに整頓されているか?
設備のチェックは
- トイレは清潔か?
- ナースステーションは整理整頓されているか?
託児所のチェックは
- 子供たちの表情は明るいか?
- 子供の人数に対して保育スタッフの数は十分か?
などをしっかり確認しましょう。ただし見学している本人も、実は周りから見られていて「採用してもいいか」の判断をされていますので、見学中の言葉遣いや振舞い方には注意しましょう。
看護師の転職方法とメリット、デメリット
転職を成功させるための確認項目が分かったところで、ではどのように転職活動を行えばいいのか、という方法について、そのメリットとデメリットをふくめてご紹介します。
知人からの紹介
まず1番シンプルなのが、先に転職した先輩や友人などに職場を紹介してもらう方法です。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 情報が正確で求人票ではわからないリアルな実情も分かる。
- その職場を知人が辞めるのであれば、紹介してもらえば引継ぎの形で確実に入職できる。
デメリット
- いったん紹介されて相手から気に入られた場合、断れなくなる。
ハローワーク
ハローワークとは公共職業安定所のことです。全国各地にあり、窓口で登録すれば全国の求人情報と求人票を見ることができます。また、給与などの条件も細かく設定して検索できますから、転職活動には欠かせない方法です。
そのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 公的機関なので安心感がある。
- 求人数が多い。
- 担当者に相談に乗ってもらえる。
デメリット
- 事業所側の出している求人情報しか見られないので、内容が限られる。
- 情報量が少ないので職場の仕事環境が分からず、自分にあっているかの判断が難しい。
求人誌、求人折込
駅やコンビニなどに置いてある求人誌や、新聞などに折り込まれてくる求人広告で探す方法です。
メリット
- 手軽に求人情報を探せる。
- 特集やすでに働いている人のインタビューなどが載っていれば、医療施設の細かい内容もわかる。
- エリア限定のことが多いので、働きたい場所の求人情報が探しやすい。
デメリット
- 特集などでなければ載っている情報量が少なく、判断しづらい。
- 基本的に「広告」なのでいいことしか書いていない。
- 他のエリアの求人情報は取れない。
一般の転職サイト
リクルートが運営している「リクナビ」などの一般の転職サイトです。
メリット
- 人気の求人ランキングや新着求人など、おすすめの人気求人情報がわかりやすい
- どこにいても24時間新しい情報が手に入る
- スカウト機能に登録しておくと、医療施設やコンサルタントからアプローチが来る。
- 情報量が多い。
- 検索項目が多いので、希望条件に合った職場や好条件求人を探せる。
デメリット
- 見ている人、つまりライバルが多く採用のハードルが高い。
- 面接の練習や履歴書を見たアドバイスなどのサポートサービスはない。
- 看護師求人数は意外に少ない。
看護師専門の転職サイト
ネットの転職サイトの中で、医療業界や看護師の求人だけを載せている専門サイトです。
メリット
- 医療職に限定しているので非常に探しやすい
- 24時間どこでも検索できるので仕事の合間にも探せて便利
- 求人数、情報量ともに豊富
- 短期、派遣、非常勤、常勤、パートなど様々な求人情報から検索できる
- 履歴書の書き方、面接の仕方などのアドバイスをしてくれる
デメリット
- 看護師専門の転職サイトが多く、どれを重視すればいいのか迷う
人材紹介サービス
自分の経歴や履歴書を登録しておくと、求人紹介会社の担当コンサルタントが希望に合った転職先を提案してくれるサービスです。
メリット
- 1度に何人もの候補者に紹介しないので、ライバルが少なく採用されやすい。
- 履歴書の書き方や面接の仕方などの練習をしてくれるなどサポート力がある
- 条件交渉をコンサルタントがしてくれる
- 誰でも見られるオープン求人だけではなく、条件にあった人にしか紹介しない非公開求人情報もある。
- 優良求人が多い
デメリット
- 利用を断わられる場合がある。
- その人材紹介会社まで行く必要があり、時間がとれない
- たくさんの求人情報を確認できない
1つだけ選ぶなら看護師専門の転職サイト
以上の中から今の仕事の忙しさや転職のために取れる時間、あるいは希望している仕事内容などを考えて、その上でできる限りたくさんの方法を使って、転職先を探しましょう。
ただ、どうしても時間が取れないために方法を絞るとしたら「看護師専門の求人サイト」の利用をおすすめします。メリットのところでも書きましたが、この方法であれば
- 自分の希望に合った情報がたくさん入る
- 履歴書や面接などのアドバイスがもらえる
- 仕事の合間や帰宅したわずかな時間に転職先を探せる
など、メリットが1番多いためです。
その中で、特におすすめのサイトをランキングで3つご紹介します。
おススメの看護師専門の転職サイトランキング
第1位 ナース人材バンク
「ナース人材バンク」は病院、クリニック、訪問看護、訪問入浴、介護施設、治験の求人などの医療分野の幅広い人気の非公開求人をたくさん持っています。非公開求人は、条件の良い求人なので、求人情報誌やハローワークなどには出ません。
またそのエリアの専任のコンサルタントがこちらの希望に沿った求人を提案してくれます。そのため、紹介実績NO1を記録している人気サイトです。
また、一般公開の場合応募が殺到してしまうため、優良求人は非公開の形で紹介されます。ナース人材バンクは、特に好条件の求人が多く、それらを非公開求人として条件に合致した人にのみ紹介しています。
おススメ理由
- 年間10万人以上が利用する実績NO1の転職サイト。
- 地域専任コンサルタントだから職場の内部情報も調査してくれる。
- 非公開求人が全国で6万件以上あるのは看護師転職サイトでも最大級。
第2位 看護のお仕事
看護のお仕事は
- 「サービスの満足度」
- 「コンサルタントの対応」
- 「友達に勧めたいサイト」
などで高い評価を得ている転職サイトです。
おススメ理由
- 全国13万件の豊富な情報を掲載。
- 各エリアにいる専任のコンサルタントがサポート。
第3位 看護roo!
看護roo!は特に首都圏に強い看護師専門の転職サイトです。特徴は医療施設の内部情報のリサーチに力を入れていることで、
- 「時間外勤務の実態」
- 「有給休暇の消化率や産休、育児休暇の取得実態」
- 「保有設備の詳細」
- 「実際に働いている看護師さんの生の声」
- 「人間関係」
- 「実際の離職率」
- 「看護部長の人柄」
などまで掲載されています。そのため利用者の満足度は96.2%と高くなっています。
おススメ理由
職場の内部情報を詳しく調査している。コンサルタントが履歴書や職歴書などの提出書類の添削、面接の対策もしてくれます。また可能な場合は面接に同席して聞きづらい給与や残業のことも聞いてくれ、代わって交渉もしてくれます。
まとめ
いかがでしたか。
看護師の求人数は多いとはいえ、転職をする上では極力失敗しないように慎重に進めたいものです。
- そのためには、求人先の情報を求人票やサイトからしっかりと分析すること
- そして「ナース人材バンク」などの看護師専門の転職サイトを活用してできるだけ多くの求人情報を集めること
- さらにはコンサルタントのアドバイスを受けて応募書類や面接を合格ラインまで持って行くこと
が大切です。ぜひ、自分の希望に合った職場を探してください。