住まいを選ぶ上で誰もが悩むテーマがあります。毎月家賃を払い続ける賃貸物件を選ぶのか、それとも購入するかです。
購入する場合にも一括購入をするのか住宅ローンを組むかという選択肢が出てきます。物件を購入する上で、それぞれのメリットとデメリットを比較してみたいと思います。
賃貸物件のメリット・デメリット
賃貸物件を選ぶ上でのメリットは、一度にまとまったお金の支払いが無い点です。また、仕事の関係上の転居などが行いやすい点も魅力的ですね。
その他にも入居時には、どの大家さんも部屋を埋めるのに必死なのでリフォームや清掃業者の手が加えられている場合が多いです。よって、物件を借りる際には、一般的には綺麗な状態の部屋に住む事ができるでしょう。
賃貸物件のデメリットは、
- 自分で部屋に手を加えにくい点
- 敷金・礼金といったシステムがある事
また、部屋を汚してしまった場合、傷つけてしまった場合は退居時に敷金からお金を支払う事になるケースもあります。特に多いのは煙草のヤニにより壁紙を汚してしまうケースなどが多いですね。
その他にも、物件を購入する場合とは異なり、賃貸物件を借りる際には保証人が必要になる場合が一般的です。仮に保証人がつけられない場合には、保証会社などのサービスを利用する事になります。
不動産は貸し手側としては家賃をきちんと回収したいので、部屋を借りる際に審査がある場合もあります。職業などの社会的属性や年収などの情報を記入させられるケースが多いです。
購入物件のメリット・デメリット
購入物件のメリットは、賃貸物件を借りる場合と比べると銀行などの金融機関から借り入れせずに一括購入した場合には、はるかにトータルの支払いが得になります。
自分の家(マンションの場合は区分所有権の専有部分にあたる部屋)なので、DIY(Do it yourself)などで手を加える事も可能ですし、業者に頼んで手を加えてもらう事も勿論できます。
住宅ローンを金融機関で組んだ場合も結果的には払い終える頃には所有権が手に入る事になります。
購入物件のデメリットはなんでしょうか。まず挙げられるのが、自らその物件に住む場合は賃貸物件に比べて気軽に住む場所を変更できない点が挙がると思います。
投資用の物件としても使えると言う事でマンションなどの物件を区分所有で購入される方も多いと思いますが、固定資産税や修繕費・管理費などを支払うと結果的にはあまり得な話ではなくなります。
仮に高額な一軒家やマンションの部屋を投資用物件として購入した場合、その部屋が埋まらなかった際には、家賃は入らない上に税金や管理費などは発生するという状況が生まれます。
多くの方はそういった投資物件を購入される際には、金融機関からの借入金などを元に行うケースが大半でしょうから、購入した部屋が埋まらないと赤字になってしまいますね。
また、一軒家やマンションから退居者が出た際は、多額な修繕費やリノベーション費用などがかかります。単身用の部屋の場合は入居者の入れ替わりも激しくなるとは思いますが、ファミリー向けの不動産の場合などは10年間などの長い期間、部屋を借りられる方もいます。
賃貸物件と購入物件の比較
このように賃貸物件と購入物件にはそれぞれにおけるメリットとデメリットがあります。結果的にサラリーマンをしていて転勤などが多い場合や、様々な街へ住みたい場合などは不動産を賃貸物件で借りて住むのが良いかもしれませんね。
マイホームを購入して地域に根を張ろうとすると転勤が決定してしまう事なども今までのサラリーマンの形としてはあったようです。
どちらが良い悪い、優れている・劣っているというわけではなく、それぞれのメリットやデメリットを考え、ご自身の手持ちの資金や社会的属性なども考慮して家選びは進めて行ったようのでないかと思います。
かつてはサラリーマンが主流の時代であり、不動産を持つ事が一人前の証でありました。その他にも、人生戦略を考えて行く上で会社が潰れない前提で住宅ローンを組み定年の頃合いまで住宅ローンを払い続けるのが最適解の時代とされていました。
ですが、現在では不動産の住宅ローンを組んで購入する事が結果的にリスクにつながるという見解もあります。
企業の寿命が短くなり、30年から35年のローンを組んで払い続けるのが万人にとっての正解ではない時代と言える事でしょう。
その他にも、あえて身軽な人生を選ぶ人も増えてきています。持ち家に拘らずに賃貸物件を転々として様々な地域に住む事を楽しめるのも今の時代ならではのものです。
現代ではインターネットやコンピュータの発達により、テレワークや在宅勤務のフリーランサーなどが活躍する時代にもなってきています。住みたい場所に住む生き方などが実現しやすくなってきていると言えるでしょう。
そうなると、土地と建物を買ってローンに縛られるのではなく、身動きがとりやすい生き方も一つの人生戦略として浮かび上がってくるはずです。
マイホームは手元に残る
そうなるとマイホームを含め不動産を購入する事に価値は無くなってしまうのでしょうか?
必ずしもそうでは無いとは思います。正解は人それぞれあると言える事でしょう。安定企業に所属している方は、今までの世の中の流れのまま住宅ローンを組む事のリスクはそこまで高くないと思います。
その他にも、自分たちの土地を相続で代々継いでいくという事は昔から日本では続いている習わしです。そういった自分たちにとって思い入れのある地域や土地を大切にしていく事も大切な事だと思いますし、一概には合理的に割り切れない部分もある事でしょう。
そういった人の「心」の面を含めつつ、不動産には価値の上昇や下落がつきものです。損得勘定という観点で言えば価値が変動するという事は、賃貸物件では得られない要素になります。
まとめ
身軽さや不動産によるリスクを負いたくないならば、賃貸物件を利用する事が賢い選択になりますし、思い入れのある地域に根を張りたいという事や、投資的な観点を持つならば物件を購入する事を視野に入れても良いでしょう。
この文章を書いている私個人の考えとしては、一般的な勤め人としての生き方を選んでも、フリーランサーなどをしていても、今の時代では大人時代が取ってきた住宅ローンを組むようなリスクを負わない方が良いのではないかと思います。
確かに住む場所は大切な要素ですが、大きな家を手に入れるとなると、土地の値段は上がり建築費用もそれに応じて上がります。固定資産税などの維持費も上がります。
身の回りの人を見ていると、大きな家を建築して持っていたけれども、晩年になった時に相続では簡単には分けられないし、維持費がとてもかかってしまうので、結果的に困ってしまったというケースを幾つか知っています。
住んでいる家自体は小さいけれども、そこまで維持費がかからず、周辺のお店や施設などが便利な街に住むという選択が実は比較的賢いのではないかと思います。
これからの時代は人口の減少と住宅の過剰供給により、人気の無い地域の住宅は余っていく傾向にあるので、相対的に見て住宅そのものの価値は現在に比べて(一部の街を除いて)下がっていく事でしょう。
そういった事を考慮して住まい探しをされると良いと思います。
(文/KOMI∞)