お金儲けには、色々な方法がある。
しかし基本的に、誰でもやれるような間口の広いものは、あんまり多くのお金は期待できない。
キツい環境で従事する労働。これがやっぱり、稼ぐためには欠かせない……なんてのも過去の話か。
今や不景気を言い訳に経営者はやりたい放題。
労働者には苦役を要求し、その見返りには雀の涙の賃金しか渡さない。
残業は月に100時間を越える企業も多いし、メディアは過労を苦にして自殺する多くの労働者の中から、“電通勤務の美女”しか取り上げず、問題視しない。
まったく恐ろしい国になったものである。
話はマジで飛ぶが、恐ろしいといえば犯罪者だ。
世間には、悪い奴らが五万といる。
そしてしばしば警察は、そんな連中を取り逃し、全国に指名手配をする。
「おい、小池!」というフレーズで有名になった大罪人もいた。
しかし結局この罪人も、逮捕される前に病死か何かでこの世を去っていたわけだから、犯罪者を見つけ出すというのは、なかなか難しいようだ。
だからこそ高額の懸賞金がかけられるわけなのだ。
今回は、警察庁が重要指名手配犯にかけている公開懸賞金制度について書いていきたい。
どうやったら受け取れるのか?
公開懸賞金制度とは、その名の通り全国的に指名手配をしている極悪人を逮捕する上で、かなり有力とされる情報を提供してきた人物に対して支払われるお金である。
受け取るためには最低限、当該人物の潜伏先や現在の身なりなど、こと細かい情報を提供する必要がある。
また、当たり前の話だが、犯人の協力者はいくら詳細な情報を警察にもたらしても、懸賞金はもらえない。どころか逮捕されるのが関の山。
あくまで一般的な市民が報奨の対象となる。
さらには警察関係者、偽名での密告者なども懸賞金を手にすることはできない。
いわゆる、凶悪な犯罪者の情報を提供するには、身分を明かした上で協力をしなさいよ、とこういうわけだ。
なんだが市民が余計なリスクを負うような気もするが、まあそんなものなんだろう。
いつから開始された制度なのか?
この制度が導入されたのは、2007年の4月からとなっているので、今年で施行から10年ということになる。
案外最近になっての制度ということだが、報奨金そのものが事件解決のために用いられるという事例は、かなり以前からあった。
その多くは、事件の被害者やその遺族らが、犯人逮捕のために私財を投げ打って用意した報奨金が用いられていた。
警察も被害者の意向は最大限汲んでいたようで、ことさらこの傾向を問題視することはなかった。
また、実際に懸賞金が用意されたことで事件解決に欠かせない、有力な情報を提供する人物が出現したこともあって、「だったら正式な制度にしてしまおう」と、この制度が成立したわけだ。
本当に支払われるものなのか?
この制度で支払われる金額は、最低100万円から、最大1000万円となっている。
しかし懸念なのは、本当に支払われるものなのか、という点だ。
ネットではしばしば「実際に支払われた例はない」との文言を見ることがある。
だけどこの話には、裏取りがなされていないことがほとんどなので、一概に信用することもできない。
この件について警視庁に質問をしてみたが、返答はなかった。まあ年度もスタートしたばかりで忙しいんだろう。
ただ、個人的には支払っていたとしても、それを公にするメリットはないと思うのだ。
事件解決の功労者を、ことさらに盛り立ててしまうと、その犯人や犯人の協力者から不要な恨みを買ってしまうかもしれない。
そんなリスクを、わざわざ善良な市民に負わせるわけにはいかないだろうから、万が一報奨金を支払っても、それを告知なんてしないとするのは、当たり前の措置なはずだ。
もしもあなたが、ありきたりな労働に辟易したんなら、いっそ重要指名手配犯専門のハンターにでもなって、報奨金をアテにしてみるのも夢があるかもしれない。
筆者は絶対に嫌だけど。
(文/松本ミゾレ)