突然だけど、あなたは引っ越しをする場合の物件探しに四苦八苦した経験はないだろうか?
社会人として生活していると、時として転勤や長期の出張などで、住まいをくら替えする必要にせまられるときがある。話が急に決まったりすれば、大あわてで部屋探しに奔走することになるし、貯金がない場合はさらに状況も切迫するだろう。
会社からの支度金も、「これっぽっちかぁ」とがっかりする額しか支給されないというケースもあるということだし……。
こういうときに入居する物件の候補としてすすめたいのが、フリーレント物件という選択肢だ。
フリーレント物件ってなに?
フリーレント物件。聞きなれないワードかもしれないけれど、簡単に言えばこの物件は、入居から一定期間家賃が発生しない賃貸物件のことを指す。
多くの場合、入居開始日から1~3ヵ月は、賃料がタダになる。さらに敷金・礼金免除のフリーレント物件も少なくないため、とりあえず引っ越しのための予算が不足しているのなら、フリーレント物件を探すのが選択としては妥当ということになるだろう。
そもそもなぜこのようなお得に感じられる物件が存在するのか?その理由のひとつに、賃貸物件の空室を少しでも埋めたいけど、そのために賃料を値下げしたくはないという、全国のオーナーたちの思惑がある。
最初の数ヵ月は無料にしつつも、長期的に見れば家賃が同じ地域の同じ物件と大差ないか、あるいはやや割高に感じられる額に設定している。そういうオーナーが多いようだ。
手持ちのお金が乏しいのに引っ越しを迫られ、フリーレントで妥協した入居者とのお互いのニーズは、ここで一致するというわけだ。
フリーレント物件はどれぐらいお得なの?
引っ越しをしたことがある方ならわかるように、とにかく引っ越しとはお金がかかるもの。
地方の実家から都会に上京するという場合は、持っていく家具もそう多くはないので、入居先の物件の敷金や礼金辺りのことだけを考えてお金を用意すればいい。
ところが長らくひとりで生活している部屋を退去して別の物件に移動するとなると、引っ越し業者への委託や不用品の処分、退去時の修繕費が思いのほか高くつくなど、様々な出費がかさむことはめずらしいことではない。このうえさらに入居先の物件用の資金も捻出するとなると、もうそれだけで頭が痛くなる。
この点、フリーレント物件は非常に心強い入居先の候補だ。
単純に、家賃が月に70,000円で、入居から3ヵ月は賃料が発生しない物件の場合は、この期間だけに限れば210,000円はお得ということになる。浮いた分を引っ越しに要する様々な経費にあてれば、よほど困窮していない限り、ひとまずは安堵できるはずだ。
ただしほとんどの場合において入居後、数年は転居不可能というしばりがある。無料期間が終了したからと言って退去することはできないわけだ。したがって短期の出張にはあまり向かないという欠点はあるため、ここだけは注意しておきたい。
おわりに:急な出費を確実に抑える選択肢として
社会人になれば、たいていは一度ぐらいは遅かれ早かれ住まいを移る必要にせまられるもの。いざというときのために日ごろから貯蓄をしておくことも大事だが、生活するだけで精一杯という人もいるはず。
たとえば毎月の貯金をするほどの余裕のない方が転勤となった場合を想定してみれば、「急な出費を確実に抑えるために」とフリーレント物件に入居するという選択もそう悪くないはずだ。
(文/松本ミゾレ)