前編に引き続き、今日もダイソンのコードレスクリーナーに迫ることにする。
今回の取材の経緯だが、ダイソン社に直接問い合わせてこちらから質問をお送りさせていただき、その質問に広報のご担当の方から回答をいただいたというものである。
細かな技術的な仕様はほどほどに、ユーザーとしての私が考える「使い心地」に迫った内容とさせていただいた。
あの小さなボディでどうやってゴミを吸い取っているのか?
――今日はよろしくお願いいたします。最新のコードレスクリーナー、V6 fluffyに吸い込まれたゴミは3つのフィルター(デジタルモーターV6、2 Tier Radial サイクロン、ポストモーターフィルター)を通過するとのことですが、なぜ、3つのフィルターが必要だったのでしょうか?
ダイソン社 : まず、上記3つの機構ですが、全てがフィルターではありません。「デジタルモーターV6」は強力な吸引力を生み出す動力である特許技術のモーターです。
「2 Tier Radial サイクロン」こちらもフィルターではありません。吸い取られたゴミは、2列に配列された15個のサイクロン内で発生する強力な遠心力によって、微細なゴミと空気に分離されクリアビンに落ちます。この時点でしっかりとゴミと空気を分離できるこのサイクロン性能があるからこそ、きれいな空気のみを排出するという仕組みです。
「ポストモーターフィルター」はフィルターです。ダイソンとしては、既存の機能に甘んじることなく更なる改良を行った結果、今回新しく「ポストモーターフィルター」を搭載することで、排出する空気のきれいさが高まり、3ミクロンの微細な粒子までもを99.97%捕えることを実現しました。
排出する空気のきれいさは、ただ単に高性能のフィルターを搭載すれば実現できるというわけではありません。微細なゴミを含む空気を漏らさない密閉性の高い設計がないと排気口以外の機体部分から排気が漏れ出てしまいますし、吸い取ったゴミと空気をきちんと分離する機構(「2 Tier Radial サイクロン」)の性能が低いと、フィルターはすぐに目詰まりをおこしてしまい、吸引力が落ちてしまうのです。
ダイソンでは、これら全てを揃えたうえで、今回新しくポストモーターフィルターを搭載することにより、0.3μレベルのさらに微細なゴミまでも捕らえてのがさない性能を実現しました。密閉性の高い設計の重要性に関しては、以下のビデオをご覧ください。
大きなヘッドには理由がある
――V6 fluffyの大きな特徴として大きなクリーナーヘッドがあると思いますが、今回このヘッドを大きくされた理由は何でしょうか?以前のモデルと比べて取り回しが重く感じてしまいます。
ダイソン社 : こちらのソフトクリーナーヘッドを開発した背景としては、既存の掃除機の多くが、大きなゴミか小さなゴミのどちらかしか同時に吸い取ることができない構造であったことです。クリーナーヘッドと床の密閉性が低いと、溝の間のホコリを取り残すか、あるいは密閉させすぎると米粒やシリアルの屑などの大きなゴミをヘッドで前方に押し出すだけで吸い取れないという問題を解決するためです。
ソフトクリーナーヘッドでは、従来型の掃除機が使う硬いブラシではなく、柔らかいナイロン素材と何列ものカーボンファイバーブラシに覆われた、全幅サイズのローラーを採用しています。そうすることで、よりワイドな範囲を一気にお掃除することが可能となりました。
大きなゴミは柔らかいナイロンフェルトに包み込まれてクリーナーヘッドの内側に取り込まれ、静電気の発生を抑えるカーボンファイバーブラシが微細なホコリを取り除きます。この新開発のクリーナーヘッドによって、大きなゴミから小さなゴミまで同時に吸い取る事が可能となり、掃除の効率を更に高めることができる製品です。
上手なゴミの捨て方とは?
――クリアビン(ゴミがたまるところ)を取り外してゴミを捨てるときに、どうしても周りにゴミが散らばってしまいます。ダイソン社が推奨するクリアビンの上手な開け方はありますでしょうか?
ダイソン社 : 以下が、推奨している捨て方です。ゴミ箱の中に本体を入れてから捨てると、ゴミの散らばりは防げると思います。取り扱い説明書に記載している内容です。
通常クリアビンの掃除をする際にクリアビン全体を外すため、その前に上記の方法でゴミを捨てたあとに全体を外していただくことをおすすめします。
――同じくクリアビン全体を取り外したときですが、このときに表面のゴミを払ったあと、サイクロンシュラウド(網目部)の中に見える細かいゴミがどうしても取りたくなってしまいます。このゴミを上手に取る方法はないでしょうか?
ダイソン社 : シュラウド部分の水洗いは、おすすめてしておりません。柔らかい刷毛などで落としていただくことは可能です。製品に同梱されているコンビネーションツールのブラシ部分を活用してお掃除いただくことが可能です。
白いゴミの正体とは?
――吸い込んだゴミのうち、細かな綿ボコリは何のゴミか分かりますが、白い粉末のようなゴミがあります。この白い粉末がダニやアレルゲンなのでしょうか?
ダイソン社 : ゴミの内容は各ご家庭の環境に依存しますのではっきりとした回答はいたしかねますが、一般的に家の中には大きなゴミだけではなく目に見えない微細なゴミも存在しており、その中にはアレルゲンやバクテリアなどの微粒子も含まれる場合があります。
ダイソンで寝具を掃除した後に、クリアビンの中に白や灰色の小麦粉のようなものがたまることがあります。それらはダニのエサとなる人の皮膚屑やダニの死骸、ダニのフン等々のハウスダストと呼ばれる類であることは考えられます。
ハウスダストに含まれるカビの胞子、花粉やアレルゲンのような微細なゴミは、パワフルな吸引力で吸い取り、そしてそれらを排気から極力漏らさないように掃除をすることが、家の環境をきれいに保つために重要です。
壁への取り付けが難しいときは?
――収納用ブラケットの取り付け方についてお伺いします。薄い石膏ボードの壁が中心の日本において、この収納用ブラケットを壁面に取り付けるのは結構難しいものがございますが、この収納用ブラケットの上手な取り付け方はございますでしょうか?
ダイソン社 : 収納用ブラケットの取り付けの有無に関してユーザーの方にお任せをしておりますが、もし取り付けが難しい場合は、直接本体へアダプターを挿して充電していただけます。
なお、とあるDYI雑誌において、壁に同じ高さの木材等の板を用意し、それを取り付け用の壁と見立てて収納用ブラケットを設置された例が紹介されていたことがあります。
また、ツーバイフォー材を突っ張り棒にできる器具を使って収納用ブラケットを取り付けておられるユーザー様もいらっしゃいます。あくまでもユーザーの方のアイデアで弊社の推奨方法ではありません。
(取材協力・画像提供/ダイソン株式会社)
(取材・文/HOW MATCH編集部)