サラリーマンの平均的な年収500万円で、3,000万円の借り入れをしてマンションを購入しようという場合、どのような物件を入手することができるのでしょうか。エリア別に見てみましょう。
【この記事の目次】
3,000万円台でどんなマンションが購入できるのか
首都圏でマンションを購入しようとした場合、年収500万円ならば3,000万円台が現実的なところです。23区内でも2DKの新築マンションなどを購入することも可能です。
2DKならば子どもが生まれても十分対応できるため、30代の夫婦などにも人気です。郊外まで視野に入れれば60~70平米のファミリー向けのマンションを手に入れることもできます。
具体的には文京区の閑静な住宅街にある最寄り駅から徒歩10分以内のデザイナーズマンションなどが購入できるでしょう。1LDK~3LDKなど間取りは豊富で、共働きのDINKSから子どものいるファミリーまで幅広く対応できそうです。
一方、地方となると3,000万円で購入できるマンションはさらに広めになる傾向があります。たとえば静岡ならば、JR静岡駅から徒歩5分以内で3LDK以上の新築という物件もあり、やはり都会よりも住環境に恵まれていることがわかります。
首都圏への新幹線通勤も可能なエリアですし、広々とした家を探しているならば選択肢の一つとしても良いのではないでしょうか。
3,000万円の住宅ローンを組むには?
金融機関では住宅ローンの上限は年収の6倍というのが基準になっています。したがって、3,000万円の住宅ローンを組むには、少なくとも年収500万円が必要です。
住宅ローンとその他の借入額を合わせて年収の30%から40%に返済額が納まるように設定されているわけですが、この割合は返済比率と呼ばれ、住宅ローンの基本とされています。
住宅ローンを組む際には当然のことながら頭金も必要です。頭金は物件価格の1割が最低ラインで、余力があれば2割を目標にすると良いと言われています。
つまり、もし3,000万円台のマンションを購入したいと考えているならば、最低でも300万円、妥当なところで500万円、余裕があるならば600万円の頭金を用意しておくようにしましょう。
3,000万円の住宅ローンの返済プラン
一口に3,000万円の住宅ローンと言っても変動金利なのか固定金利なのかによって月々の返済額は異なります。また、金利の大小によっても異なってくるので、よく研究してお得な住宅ローンを組むようにしたいところです。たとえば
- 金利0.6%程度の変動金利で3,000万円の住宅ローンを組むと、毎月の返済額は約8万円になります。
- 一方、固定金利1.75%のフラット35では、月々の返済額は95,422万円になります。
変動金利よりも負担が大きいようにも思えますが、変動金利は文字通り金利が変動するということを忘れてはいけません。最終的にどちらがお得かは景気に左右されるところもありますし、どちらを選択するかはあくまでも自己判断といったところでしょうか。
3,000万円の住宅ローンを抱える暮らしとは?
実際に3,000万円の住宅ローンを抱えている暮らしというのは、どのようなものなのでしょうか。年収600万円でギリギリ、年収500万円ではかなり厳しいとも言われています。
たとえば、妻は専業主婦、夫の年収600万円というような家庭で現在のような超低金利を利用して3,000万円の住宅ローンを組んだとしましょう。優良住宅ローンが提供している固定金利のフラット35を35年返済で夫単独が借り入れたと設定します。
フラット35の金利は0.93%~1.58%ですが、最初の10年間が0.63%、11年目以降は0.93%として計算すると、
- 最初の10年間は8万円
- 11年目以降は83,000円
を月々返済しなくてはいけないことがわかります。総返済額は3,443万円となり、35年間で443万円の利子を払う計算になりますが、超低金利で住宅ローンの利子としては少なめとはいえ結構な金額です。
また、月々の支払いは住宅ローンの他にも様々なものが発生するはずです。たとえば、自動車ローンもあるでしょう。126万円の車を7年毎に買い替えたとすると、毎月1.5万円の支出が続く計算になります。地方では車を2台所有している家庭も少なくありませんが、そうなるとさらに負担は増えてしまいます。
また、子どもが3人以上いたり、私立に通わせていたりすると教育費もかさみます。どうしても子どもを幼稚園から大学まで私立に通わせたいと考えているならば、家も車も所有しないという方法を取らざるをえません。
見切り発車ですべて買ってしまうと、家計は簡単に破綻してしまいます。
家族のお金の使い方を見直そう!
住宅ローンを組むにあたっては、「借りられるなら借りておこうか」というような気楽な利用はおすすめできません。500万円の年収があれば3,000万円借りることもできますが、低金利のところはないのか徹底的に調べるのは言うまでもないでしょう。
また、生命保険、医療保険、火災保険などもすべて見直し、できるだけ毎月の支出を小さくしたいところです。
また、もし頼ることができるならば両親から住宅取得資金の贈与を受けるのも相続税対策になるのでおすすめです。住宅ローン控除を効果的に受けることができるように、夫婦連帯債務にするという方法が選択される場合もあります。
いざ支払いが始まると……?
住宅ローンの支払いがスタートしても「家賃がローンに代わるだけ」と、考えるのは間違いです。賃貸物件に生活していた時には関係なかった様々な支払いをしなくてはいけなくなります。
もっとも大きい出費が固定資産税です。
どのような家を買ったとしても必ず固定資産税の支払いは発生します。中古ならば固定資産税の計算をあらかじめできますが、新築では完成後にしかわかりません。しかし、最近ではネット上でおおよその値を計算できるサイトもあるので利用してみるのも良いでしょう。
また、地震保険料も気になるところです。火災保険は10年、20年、35年の一括払いになっていますが、地震保険は最長5年しか掛けられない点に注意してください。つまり、地震保険に加入したら5年毎に必ず保険料を支払わなければならないのです。
物件の購入は慎重に!
いかがでしたでしょうか。3,000万円のマンションには様々なものがあり、東京でも結構広くて地の利も良い新築物件を購入できることもあります。地方ならばさらに広い物件を購入することもできるでしょう。
3,000万円の住宅ローンを組むには少なくとも500万円の収入が必要ですが、手が届かない人もいるでしょう。そのような時は夫婦共働きで世帯収入を増やすのも良いかもしれません。
いずれにせよ、3,000万円の住宅ローンを抱えながら普通に生活するには年収600万円が必要ともいわれています。
500万円あれば買うことはできたとしても、車や子どもを私立に通わせることをあきらめなくてはいけないケースも多々あるとか。
住宅ローンといっても、問題になるのは家の値段そのものだけではなく、家族がどのようなライフスタイルを重視しているかが問われているとも言えるでしょう。確かに車が2台なければ生活していけないエリアもありますし、何を最優先事項とするかは家族によって大きく異なるところです。
3,000万円の住宅ローンが組めるならば買うしかない!と、思い込みで突っ走らず、今一度冷静になって、はたして住宅ローンのためにいろいろな部分を節約したり切り詰めたりしなければいけないような生活をすることが正しいのかどうか考えてみたいところです。
月々の返済額もいろいろなサイトに掲載されている返済シミュレーションで、ぜひ一度、毎月無理なく返済できる額なのかチェックしてみてください。
(文/木野きのこ)