先日、衝撃的な記事を読みました。IT企業の大手「Google」のエンジニアがトラック生活を送っているというものです。
Googleといえば世界でもトップクラスの企業であり、年収もかなりの額になるはずです。実際に軽く調べてみたところ、エンジニアなら年収1000万円超えは当たり前、セールス系でも800万円以上はもらっているとのことでした。
彼はいったいなぜトラック生活を送っているのでしょうか。
高すぎる家賃と充実した社内施設
そのGoogleエンジニアの男性は、以前まで1泊65ドルのアパートに住んでいたそうです。65ドルということは約8,000円。つまり家賃24万円の家に住んでいたことになります。
しかもそのアパートは3人のルームメイトがいたらしいので、月24万円のルームシェアということになりますね。そもそもルームシェアに対しての考え方が日本と違うのかもしれませんが、日本なら毎日ビジネスホテルに泊まれる金額です。
しかしあるとき彼は「なんて法外な額なんだ!」と気づいたそうです。「夜遅くまで働いて、寝るためにしか帰ってこない家に月24万円も払ってられない」と。
その結果が1万ドル(約120万円)のトラックを購入して住むことです。
もちろんそれなりにデメリットもあるらしく、虫が湧いたり穴が空いたりと色々苦労しているそうです。しかし生活に必須であるシャワーや電気などはすべて社内設備で賄えるため、決して無理な生活ではないそうです。信じられませんね。
払えなかったではなく、払わなかった
これだけでも十分におもしろい話ですが、気になる点が1つ。彼はトラックを買う前にアパートを探したそうなんです。しかし彼が家を探したのは、アメリカでも指折りの家賃が高い地域であるサンフランシスコであり、家賃の中央値は3,410ドル(約42万円)というかなりの高額。結局あまりの家賃の高さに諦めたそうです。
また、Googleの社宅もあったそうですがそちらも最低1泊100ドルとやっぱり高かったので諦めることに。私たちも東京の家賃は高いとか言っていますが、上には上がいるものですね。
しかしここで気になるのは、本当に年収1000万円を超えているのなら家賃42万円でも住めたのではないか、という点です。ところが彼は「寝るためだけに帰る家に42万円の価値はない」と判断したわけです。
さとり世代の若者だけ?合理的な考え方
エンジニアの彼は42万円が払えなかったわけではなく、高すぎる家とトラック生活を天秤にかけてトラック生活を選びました。これは「寝るためだけなら42万円も払わなくてもトラックで十分」という合理的な考え方です。
そしてこのエンジニアと似ているのが最近の若者の考え方です。いわゆるさとり世代ですね。
さとり世代はお金をたくさん稼ぎたいとは思いません。余分に稼ぐことよりも必要な分だけ稼いで、必要なものだけにお金を使うという考え方を持っているからです。取捨選択がよりシビアな世代とも言えますね。
この世代は時間に対してもシビアです。90年代以降に生まれた世代は娯楽に囲まれて育っていますから、時間が有限であることを身にしみています。だからこそ必要な分のお金しか稼がないのです。娯楽を楽しむ時間を減らさないためにも同じくです。
価値観が変わりつつある
これらのことから分かるのは「お金の価値観が変化しつつある」ということです。今までは「お金はたくさん持っていたほうがいい」「高いお金を払って買ったものには付加価値が付く」といった考え方がありましたが、今はそうではありません。
より実用的なものが好まれ、安くて質の高い製品が売れるようになるでしょう。逆にブランドに付加価値が付いているタイプの製品は伸び悩むのではないかと思います。この価値観の変化が吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、市場には大きな影響がありそうですね。
お金の有無よりも、自分がいかに満足できるか、いかにお金と時間のバランスを取るか。そういう時代になるのかもしれません。
(文/kaztel)