会社勤めとして仕事をする上で、やりがいも重要な要素ですが給料の高さも重要な要素です。日本の企業は少しずつ成果主義となっているとはいえ、大企業も中小企業も社員の年齢によってベース給が上がる年齢給を採用しているところが多く、先進的なIT企業であっても年功序列の名残が残っている会社がまだまだ存在しています。
そんな中、成果報酬の色合いが根強い外資系企業の日本法人への転職を希望する人が多く、転職情報サイトに掲載されている求人情報が数多く閲覧されています。この記事では、給与も退職金も高いとされている外資系企業について解説し、外資系企業が求める人材や業種別の平均年収を赤裸々に紹介します。
外資系企業の年収が高いのは本当?
外資系企業は年収が高いと噂されることが多いですが、果たして本当に年収は高いのでしょうか?独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、上場企業における外資系企業の平均年収は776万円とされています。
上場企業に限定したデータであるため、やや割引が必要かも知れませんが、日本の会社員全体の平均年収が442万円(転職求人情報DODA:2016年)であることを考えると噂通り高い年収であることがうかがえます。
外資系企業の年収が高い理由
外資系企業の年収が高い理由は、何といっても成果報酬だということがあげられます。
日本企業はプロセスを重視する美徳感があり、頑張りを評価するケースが見られますが、外資系企業はプロセスではなく結果重視の傾向があります。
そのため、より自己責任色が強く、ひとりひとりの能力がそのまま給料に反映されているようです。もちろん外資系企業の中にはゴールドマンサックスのように、経営理念の中にチームプレイの重要性を記している会社もありますが、その場合でさえチームの成果が給料に反映されています。
その分ハードワークも覚悟しなければなりませんが、しっかりと結果を出すことによって待遇も良くなるという励みにもなるでしょう。
外資系企業に求められる人材
外資系企業に求められる人材は、仕事に対する成果に責任を持てるかどうかが重要です。いくらプロセスに対して努力をしたとしても、それが成果につながらなければ無駄な努力となってしまいます。
経営者の視点を持てば分かることですが、経営者はどれだけプロセスで努力をしても、成果をあげられなければ会社はつぶれてしまいます。
会社がつぶれてから努力を認められても意味がありませんので、成果を出すことは必須条件となります。そういう経営者視点で仕事に取り組める人は外資系企業に向いているでしょう。
また、スキルの面では英語など外国語に堪能だと有利です。外資系企業は投資銀行や保険事業などの金融系を中心に、世界各地で営業展開をしています。ワールドワイドで活躍できる人材は重宝されやすいので、頭に入れておくと良いでしょう。
業種別外資系企業の年収一覧
外資系企業の業種別平均年収を紹介します。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査をもとに各業種を見て行くと、
- 最も平均年収が高い外資系企業の業種は研究業種で、平均年収は864万円となっています。
- 次いで金融・保険業の830万円、製造業の808万円と続きます。
逆に最も平均年収が低いのは建設業で、平均年収は695万円となっています。最も高い業種と最も低い業種では170万円ほどの差があり、業種ごとに格差があることが分かります。
もっとも、最も低い建設業でも日本の会社員全体の平均年収と比べると、250万円以上の年収となっており、相対的な年収の高さが見て取れます。
《外資系企業の業種別年収一覧(単位:千円)》
農林漁業 | ¥7,617 |
建設業 | ¥6,954 |
製造業 | ¥8,081 |
情報・通信業 | ¥7,779 |
運輸業 | ¥9,431 |
卸売・小売業 | ¥7,393 |
金融・保険業 | ¥8,302 |
サービス業 | ¥7,136 |
人事 | ¥8,073 |
経理・財務 | ¥7,611 |
システム管理 | ¥7,276 |
マーケティング | ¥8,782 |
営業 | ¥7,573 |
情報システム | ¥8,024 |
開発設計 | ¥7,627 |
研究 | ¥8,641 |
※独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査を参考に著者作成
代表的な外資系企業の年収
では、ここからはもう少し具体的に代表的な外資系企業の年収を見て行きましょう。具体的な年収としては
- 金融関連企業
- コンピューター関連企業
- アパレル関連企業
について紹介します。
金融関連企業
金融関連企業では、シティバンクや三菱UFJモルガンスタンレーが人気を集めています。
シティバンクは日本に参入した時に若い人材の採用を積極的に行ったため、平均年収は450万円程度とやや低めです。ただし、成績によるインセンティブや昇進により年収は上がっていくため、若い世代の成長とともに平均年収も上がっていくものと思われます。
三菱UFJモルガンスタンレーの年収平均は約1,000万円から2,500万円といわれており、アナリスト・アソシエイト・コンサルティング担当・ディレクタによってその年収は大きく差があるようです。
コンピューター関連企業
コンピューター関係で人気となっているのはアップルと日本IBMで、
- アップルの平均年収は約600万円
- 日本IBMの平均年収は約800万円
といわれています。ただし、いずれも所属するセクションによって年収には格差がありますし、管理職や役員になると年収は一気に上がります。
年収1,000万円を超える社員も数多くいる上、場合によっては年収5,000万円を超えている人もいらっしゃいます。天井知らずといわれている外資系企業では、実績次第でどんどん年収が上がっていくという良い見本だといえるでしょう。
アパレル関連企業
アパレル関係ではルイビトンジャパンを紹介します。世界的に有名なルイビトンの日本法人ですが、平均年収は650万円前後といわれており、国内のアパレル業者と比べるとやはり高収入であることが分かります。
店舗のトップとなると1,000万円を超えるといわれており、花形の販売職として人気となっている会社でもあります。
外資系企業に転職するための豆知識
外資系企業で勤めるにはどういうことに気を付ければ良いのでしょうか?
外資系企業は収入が多い反面、ハードワークでも知られているので、入社後に本当に自分がその会社でやっていけるかどうか、しっかりと業界情報や人気ランキングサイトなどの情報をチェックしておくことをおすすめします。
転職活動を行う場合には転職サイトに登録し、効率良く転職活動を行いましょう。その際には転職エージェントサービスの契約も役立ちます。転職エージェントサービスとは、ひとりひとりの転職をサポートしてくれる担当者が付くサービスです。
エージェントが転職のお悩みを聞いてくれたり、条件に合った企業を具体的に紹介してくれます。費用は成功報酬型で求人募集をしている企業側が負担するため、仕事に応募する人は無料で利用可能です。
分からないこともエージェントに聞くことでスンナリ解決しますので、スムーズな転職活動をするためにぜひ利用しましょう。
まとめ
外資系企業の平均年収は、日本の企業の平均年収に比べて高水準となっており、その背景にはハイレベルな人材を登用していることや、成果主義を徹底していることが上げられます。
もしも外資系企業で働く場合には、その辺りはしっかりと覚悟しておく必要があるでしょう。
同じ外資系企業でも業種によって平均年収の格差はありますが、最も低い年収の建築業でも高水準となっているため、相対的に高い年収であることがうかがえます。
ハードワークであり成果報酬である分、成果を出せばしっかりと報酬という形で還元されるということがいえるでしょう。
(文/田中英哉)