ロックバンドを運営するにあたって欠かせないのがお金。ある程度真剣に取り組んでいるバンドになると、メンバー同士で集まって貯金しているケースも少なくありません。いわゆる“バンド貯金”と呼ばれることも多いですが、どのように算出しているのでしょうか。
運営にかかる費用はいくら?
まずは、バンドを運営するにあたって、毎月の収支を明らかにする必要があります。スタートアップ直後のバンドは、どの程度のお金がかかるかを見てみましょう。
- 月1回のライブにかかるチケットノルマ…毎月30,000円
- 週1回のリハーサルスタジオの場所代…毎月20,000円
- 半年に1回程度のグッズ制作の代金…毎月2,000円程度(ステッカー500枚程度)
- 半年に1回程度のレコーディング費用…毎月7,000円程度(1曲と仮定)
もし、ライブのチケットノルマが1枚も売れなかったと仮定した金額です。この場合、毎月60,000円ずつ支出が発生します。ツアーで全国を回ったりレコーディングした音源をCDにプレスしたりすると、さらに運営費用は高くなると思います。
毎月30,000円前後の余剰金を利用しよう
バンド貯金を始める前に、東京都内で一人暮らしをするときにかかる生活費を考える必要があります。就活サイト「ハタラクティブ」のコラム『フリーター、生活費っていくらくらいにすべき?』を参照しました。
- 家賃:60,000円
- 水道光熱費:10,000円
- 通信費:10,000円
- 食費(外食含む):30,000円
- 消耗品費:10,000円
東京都内での一人暮らしは、毎月120,000円程度で生活できることがわかりました。
次に、働き方は週5日8時間のフリーターと仮定した場合の収入です。『moppyjob』によると、東京都内のアルバイトの平均時給は、東京23区内なら1,000円を超えます。そこで、時給1,000円と考えると176,000円になります。前年度の所得によりますが、税金や健康保険を払ったとすると、150,000円前後が手元に残ると思います。
以上のことから、毎月30,000円程度までバンド貯金に充てることができる見込みです。ただし、運営費用をメンバー4人で割った場合、15,000円で十分に足ります。また、プライベートで臨時の出費が発生する際の保険となるお金も少なからず必要です。無理のない貯金をするためには、毎月15,000円ずつ支払うのがよいでしょう。
責任者を立てるのは絶対条件
バンド貯金をするなら、絶対に考えておきたいのは責任者です。たとえば、責任者が不在だとお金がなくなってしまったり、「誰かがやるだろう」とお互いに責任をなすりつけてしまったりすることがあります。
責任者は、管理がマメな人がおすすめです。そして、できれば実家暮らしのメンバーのほうが安全かもしれません。一人暮らしと比べると生活費に余裕があるはずなので、「お金が足りなくなって手を付けてしまった」という心配がなくなります。
仲がよかったメンバーも、お金のトラブルがきっかけで解散してしまうケースは少なからずあります。お金の問題で揉めるとバンド活動どころではなくなるので、必ず責任者を立てるようにしましょう。
GRAPEVINEもやっていたバンド貯金!
さて、バンド貯金と言えば、最後にこのバンドを取り上げなければなりません。
ロックバンドのGRAPEVINE(グレイプバイン)をご存じでしょうか。TBS『新ウンナンの気分は上々。』や映画『フライ・ダディ・フライ』など、数多くのタイアップがあるので、覚えている方も多いバンドだと思います。彼らも、昔はバンド貯金をしていたそうです。
バンド貯金をしていた当時、GRAPEVINEは専用の銀行口座を作っていたと言います。ボーカル&ギターの田中和将さんが使っているギター・CASINOも、バンド貯金から捻出したという逸話があります。
有名なバンドもやっていたバンド貯金。本気でロックバンドをやって成功したい人は、ぜひ始めてみるとよいでしょう。