子供の頃、将来の夢について、学校で発表した機会があったような気がする。
僕は何に憧れていたのか、今となっては忘れてしまったけど、10代の終わりごろには物書きになろうという意思は強まっていた。
結果的になれたので、そういう意味では夢が叶ったということになる。
誰だって、将来については夢を抱いておくべきだ。
そうすることで具体的に、自分がどういう取り組みをすべきなのかを考える力が働くようになる。
叶えられる夢ばかりではないだろうけど、少なくともダラダラと時間の流れに身を任せるだけの日々を送るよりはマシというものだ。
大阪の小学生、将来の夢スリートップはこれだった!
さて、2015年に、大阪府内のある小学校が、4年生男子を対象に、将来の夢についてのアンケート調査を実施していた。
これによると、1位は「サッカー選手」となっている。
僕が小学生の頃は、Jリーグが立ち上がったことと、「キャプテン翼」が再放送されまくっていたこともあって、サッカーは大変な人気だった。
運動オンチだった僕も、Jリーグカレーを食べてラモスになろうと思っていたものだ。
今も昔も、サッカー選手というのは子どもにとっては憧れの対象なのだろう。
変わらない羨望の的としては、燦然と輝いて感じられる。
そして2位は「医者」。
いきなり現実的な視野が介入した感がある。
医療は人々の生活には欠かせないもの。そういう意味で食いっぱぐれも少ない。
さらに医者はモテる。
収入面でも、社会的なステータスをとってもパフォーマンス性の高い職業、医者。
小学4年生の時点で、多くの子どもたちが医者に憧れているとは意外だった。
動画投稿で収入を稼ぐ?そんなものが夢なのか…
しかし、もっと意外だったのは、続く3位の、「ユーチューバー」である。
YouTubeに動画をアップし、再生回数に応じて収入を得るという、今話題の職業だ。
このユーチューバーという職業、僕らのような大人にとっては箸にも棒にも掛からないものに思える。
なんだったら、動画検索の邪魔になるようなウザったい人々のように感じるときもある。
だけど、特に子どもを対象に絞って動画を送り出しているユーチューバーというのは、その人気は折り紙つきなのだ。
僕も、知人の子どもがトップランクのユーチューバーの動画に夢中になっている様子を目にしたことがある。
大人にとってはしょうもない動画に思えても、子どもからしたら、ネットを介していつでも会える、ちょっと変なおじさんのようなキャラクターとして受け入れられているのだ。
そもそも「自分もああなりたい!」と子どもに思わせるなんて、よほどのことだ。
ユーチューバーの影響力は、計り知れない。
もっとも、ユーチューバーの大半は全く稼げない
そうはいっても、ユーチューバーが今の時点でどれだけいることか。
有名どころはせいぜい数える程度。それ以外のユーチューバーは、見ていて可哀想になるほど、「そもそも動画に向いていない人たちだなぁ」と思えるタイプばかり。
こういう小者は、当然全く収入を得ていない。
付け焼刃のテクニックを使って、火の車のような懐事情の中で動画を送り出す。
そりゃあ当たるはずがないのだ。
恐らくこういう木っ端ユーチューバーは、今後もまだまだ増えていくだろう。
将来ユーチューバーになりたいと考えている子どもたちの中にも、そういった人が出てくるのは間違いない。
もしも、あなたのお子さんがそんな夢を抱いたら、応援する、しないは別として、まずはそういう、全く儲かっていない人々の現実を、しっかりと認識させることも大事になってくるはずだ。
(文/松本ミゾレ)