奨学金制度を利用して、在学中には目いっぱい勉強に励み、学費や下宿費用に充てていた奨学金も、社会人になれば返済がスタートします。
しかし奨学金は繰り上げ返済をせずに、コツコツと月額返済していく方が、将来の自分のためになるといわれます。早く返した方がいいんじゃないの?本当に賢い返済方法をお教えします。
奨学金は無利子もしくは低利子
大学時代に奨学金をもらっていた方も多いのでは?社会人になり、一括返済をしようと焦る方も多いと思います。しかし、奨学金は第一種であれば無利子。第二種であっても利子は1%程度とかなりの低いものです。4年生大学における月額返済シミュレーションを例に見てみましょう。
<第一種(無利子)のケース>
- 貸与金額/45,000円…返済月額/12,857円、返済年数/14年
- 貸与金額/51,000円…返済月額/13,600円、返済年数/15年
- 貸与金額/54,000円…返済月額/14,400円、返済年数/15年
- 貸与金額/56,400円…返済月額/14,222円、返済年数/18年
<第二種(有利子)のケース>
- 貸与金額/30,000円…返済月額/11,293円、返済年数/13年
- 貸与金額/50,000円…返済月額/16,769円、返済年数/15年
- 貸与金額/80,000円…返済月額/21,531円、返済年数/20年
- 貸与金額/100,000円…返済月額/26,914円、返済年数/20年
- 貸与金額/120,000円…返済月額/32,297円、返済年数/20年
月々20,000円程度を地道に返すのが得策?
このように、借りていた額にもよりますが、月々の負担を少なくするために返済設定額は20,000円程度のものが多くなります。
無利子や低利子のため、月々100,000円を4年間借りていた方でも、総利子は50,000円程度です。ムダ使いをしろという意味ではなく、若いうちにしかできないことを、仕事でもプライベートでも経験することは、後々の自分の大きな糧になります。
今しかできないことにお金を使う!
しかし「借金」という響きにも等しい奨学金。早く返したい!と思ってしまいます。ですが、今の自分がお金を使うべき場所は本当にそこなのか?の見極めが必要です。
営業職など、人付き合いのある方であれば、接待先の開拓や話しのネタを仕入れるための飲み会への参加など、自分への投資の方法は様々です。
会社という組織の中で出世を目指すのであれば、マラソンに例えてみると、先頭集団に入っておくという計算をしておかなければいけません。つまり、自己投資にお金を費やしておく必要が出てきます。
身だしなみに人一倍気を付けることなどは大前提で、大事な場面での打ち合わせは、喫茶店ではなくホテルのラウンジを利用するなど、TPOにふさわしい判断ができる能力と経済力を、日頃から自然に行えるように訓練して行かなければなりません。
もちろん頑張った際の自分へのご褒美を豪華にするなど、モチベーションを高めることも大切です。将来、たくさんのお金を稼げるようになることを考えれば、自己投資は必要不可欠であり、決して高いものではありません。
若いうちから生活を切り詰めて貯金をしたり、奨学金の繰り上げ返済にのぞむ前に、今しかできないこと、するべきことは何か?を今一度、検討してみる価値はあります。
油断は禁物!延滞だけは避けるべき理由
奨学金という響きから、少し支払いが遅れても大丈夫だろう!という、安易な考えは禁物です。支払いが3ヵ月以上滞ってしまえば、事故情報として信用情報機関に登録されます。そのため、クレジットカードや住宅ローンの審査にも影響が発生します。
その後、例え奨学金を例え全額完済したとしても、延滞者は完済日から5年間、滞納記録が信用情報に残ってしまいます。「少額だから大したことない」「奨学金だし大丈夫」この認識は誤りです。
自己投資は余裕を持った資金計画の中で、本来の目的を見失わずに行うことが重要です。いざという時に、奨学金がネックになることがないよう、最初の意識付けが大切になります。
(文/橋本みゆき)
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