金融の世界には、同じような意味の言葉がたくさんあります。しかし、じつは微妙に意味が異なるケースも少なくありません。
もし、資産運用を始めるときに言葉の意味を知らないと、損したりトラブルになったりする恐れもあります。今回は、「預金・貯金」「利子・利息」「利率・利回り」について、それぞれどのような意味の違いがあるのかをご紹介しましょう。
預金と貯金の違いは?
銀行や信用金庫でお金を預け入れるとき、「預金」という言葉が使われます。一方、郵貯銀行やJAバンク(農業協同組合)では「貯金」と言います。両者の違いを知るには、明治時代までさかのぼらなければなりません。
「預金」は、明治6年に国立銀行が始まったことがきっかけです。文明開化の影響を受けた目覚ましい経済成長を背景に、都市部の商人や会社が余裕資金を預け入れるようになりました。これが預金という概念のスタートです。銀行などが倒産した場合、預金保険機構が加入者の元本を保障します。
「貯金」は、明治8年の郵便貯金から始まりました。大蔵省(財務省)は貯金を奨励し、政策で使うお金に充てていたと言います。一人ひとりの少ない貯蓄額をまとめて運用することから、今でいうファンドのような立ち位置だったと考えられます。
主に、農民階級の人が貯金をしていたそうです。仮にJAバンクが倒産した場合、貯金保険制度によって加入者の元本が保護されます。
現在、預金保険機構も貯金保険制度も、元本1000万円とその利子を保護します。そのため、どちらかに貯金または預金していたからと言って、不利になることはほとんどありません。
利子と利息の違いは?
利子と利息という言葉も混同しがちな言葉です。どちらも、同じような意味で使ってしまうかもしれません。もちろん、この2つの言葉にも意味の違いはあります。
まず、「利子」は借りた際に支払うときに用いられる言葉です。借金やローンを返済するときには、利子を支払います。一方、「利息」は貸した側が受け取るという意味を持ち、定期預金の利息を受け取るときなどに使われることが多いです。
ただし、金融機関や法律用語の状況を見ると、実際には厳密な違いがありません。銀行では利息、郵貯銀行は利子と呼びますし、法律用語ではどちらも使われます。たとえば、法律上は利息という言葉で表現するのが一般的ですが、税法では「利子所得」といった言葉も見受けられるため、利子という単語が用いられるケースも多いです。そのため、利子や利息という表現についてとくに気にすることはないでしょう。
利率と利回りの違いは?
資産運用を始めると、利回りという言葉を目にする機会は増えると思います。利率とはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、利率は貯金または預金に対して、1年でもらえる利子の割合です。一方、利回りは預けた金額が生み出した収益を「1年あたり」で換算した金額になります。そのため、貯金または預金なら利率、投資なら利回りという言葉が適用されるのです。
金融機関の利子から生まれた利益は税引き後の金額ですが、利回りは税引き前の金額です。そのため、確定申告などを自分でやらなければなりません。不動産投資や株式投資を始めるとき、この点に注意しておきましょう。
用語の違いがわかればトラブルがなくなる?
今回ご紹介したものに限らず、金融用語は似たような意味を持つ言葉がたくさんあります。普段から金融業界にいる人でないと、言葉によってどのような意味の違いがあるのか、よくわからないかもしれません。
しかし、意味の違いを知らないとトラブルになったり損したりすることもあります。せっかく資産運用をするなら、できるだけ言葉の意味を知っておきましょう。