今日本では子供の貧困が問題になっています。
子供の6人に1人は夜お腹が空いて眠れないということが起きているのです。
発展途上国でもない日本でそんな子供達が実在するのか?と疑問に思う人もいるでしょう。子供の貧困は単純にお金がないという問題だけではなくお金がないことで
- 十分な食事を摂ることができない
- 十分な住環境がない
- 十分な教育が受けられない
など様々な問題に結びついています。
ひとり親世帯が増えていること、破産や犯罪など様々な理由での家庭崩壊などが理由になっているのですが、これによって親の貧困が子供の将来にまで連鎖するということが起きています。
親が貧困なら子供の将来も貧困なのか?
貧困の連鎖とは
生活保護受給世帯の子供達の約30%は将来生活保護を受けるというデータがあります。
子供は親や生育環境を選んで生まれてくることはできません。ですが親の貧しさが子供の子供時代だけではなく将来にも大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。
子供達には様々な夢があり、その可能性は本来であれば無限大です。ですが親が貧しいことで教育への関心が低い家庭で育つことで学力や自己肯定感などが低いままになることで貧困は連鎖すると考えられています。
実際に親の年収別に子供の学歴を調べてみると高い年収の親の子供ほど高い学歴を身につけていることがわかるのです。
親の年収と子供の学歴
2015年に日本労働組合総連合会が行った「大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」では3人に1人の割合で金銭負担がネックになり子供の進学希望を十分に叶えてあげることができなかったと答えており、世帯年収が下がるに連れてこの回答率は高くなっていきます。
年収500万円から600万円未満の家庭で約50%、200万円から400万円未満の家庭で約60%にもなるのです。
両親年収別の高校卒業後の進路による調査では収入が低い家庭ほど大学への進学率は低くなり、
- 年収200万円以下の場合は大学への進学率は28.2%
- 400万円の場合は43.9%
- 600万円の場合は49.9%
- 800万円の場合は54.8%
- 1000万円以上の場合で62%
となっています。親の年収が高くなればなるほど大学への進学率も高くなり、東大に通う学生の親の年収は半数が950万円以上というデータもあるのです。
育った家庭が貧しくても特待生や奨学金、教育ローンなどがあるので貧しいからと言って大学への進学はできないということはないのですが、塾や予備校など大学へ進学するための準備などの面では進学率に影響を与えることになります。
また奨学金や教育ローンを利用することで将来の返済による負担なども考えられ、貧困をさらに作り出してしまう可能性もあります。
貧困の連鎖を断ち切る鍵が「教育」
子供の学歴のために親がどれだけの金銭的な援助をすることができるかというのが貧困の連鎖を断ち切るための一つの手段ですがそれよりも重要なポイントとなるのが教育です。
しっかりとした環境で十分な教育を受けることで将来子供が貧困層から富裕層に逆転するチャンスを作ることができるのです。
子供の学力が高いと言われる最大の理由とは?
毎日お酒を飲んで、ゴロゴロしているお父さんを見て育った子供に向上心は芽生えるでしょうか?
学力が高い子供の親に特有の行動や生活スタイルが経済力のある家庭に多く見られるということが親の年収が高いほど子供の学力が高いと言われる理由に繋がっています。
またこんなデータがあります。
「成績上位の子供の保護者は本をよく読む」
「成績下位の子供の親はテレビのワイドショーを好む」
これはお茶の水女子大学とベネッセ教育研究開発センターが共同で調査をした結果です。これを見るだけでも親の普段の行動が子供の学力に関係していることがわかるのではないでしょうか。
また国語の成績が良い子供の家庭には漫画や雑誌を除く本がたくさんあり、小さな頃から積極的に読み聞かせを行ったなどもあります。
これに対して成績下位の子供の家庭ではカラオケによく行く、テレビのバラエティー番組をよく見る、また成績の悪い子供の親ほど「勉強をしなさい」と言っていることがわかっています。
日常生活の何気ないやり取りや親の取っている行動が子供の与える影響は大きくなってしまうのです。
親の経済力は子供の学習時間にも影響しています。学校以外で子供が勉強することができる場所と言えば自宅もしくは塾などでしょう。
経済的に安定している家庭の子供ほど塾に通っている率は高く、子供の教育費を十分にかけることができることで子供の勉強時間を伸ばすことができるようになるからでしょう。
こういった部分も子供の成績の差に結びついているのですが、お金が全てを決めるわけではありません。親の心がけや生活環境の改善によって年収が低くでも子供の学力を伸ばすことはでき、貧困の連鎖を断ち切る教育を十分に行うことができるのではないでしょうか。
年収が低くても貧困の連鎖を断ち切るために子供に十分な教育を行うためには親の意識の改善や生活習慣の改善を行う必要があります。
親の年収が低くても子供の成績は上げられる!
親の年収が高いことで子供の学力が必ずしも高くなるわけではありません。例えば意識の低い親に大金を渡しても必ずしも子供の学力が上がるとは限りませんね。
つまり年収が低くても親の意識次第では子供の学力を伸ばすことができるのではないでしょうか。
年収の低さをカバーするには親の意識変革を
例えば、親の経済力に関わらず本や新聞を読むように親から進められている子供の場合は国語、算数、数学の正答率が10.7~17.1ポイント上回っています。
また保護者が子供と読んだ本の感想を出し合うなど日頃から行っている場合は知識の活力を問う正答率が平均よりも6.5~9.0ポイント高くなっているのです。
文科省では算数や数学も問題を理解するには読解力が必要であり、新聞を読む習慣がある子供の方が、正答率が高いと分析しています。
子供の生活習慣を整えれば成績を伸ばせる
大人になると乱れがちな生活習慣も子供にとっては生活習慣と成績は密接な関係にあります。
例えば睡眠です。「子供らしくない」生活を送っている子供は知能指数が低いというデータがあります。
就寝時間が遅く、朝起きるのも遅い、中には就寝時間が24時以降という子供もいるそうでこういった子供達の知能指数は低いのだそうです。
次に朝食です。朝ごはんを食べる子に比べて食べない子の成績が低いというデータがあります。
朝食を食べない理由としては食べる時間がない、食欲がないなどでしょう。ですが朝からこんな調子では体も心も学力を伸ばすために働くことはできませんし、朝食を食べないことで頭そのものも働くことができません。
また食事と深く関係しているのが歯の健康です。歯の健康を維持することで脳がよく発達することがわかっており、噛む、飲み込むなどの行動は脳の発達を促します。
定期的な歯科検診や徹底した歯磨き習慣を身に付けることで成績の良い子供を育てることができるのではないでしょうか。
親の意識の改善や子供の生活習慣を見直すということは成績に大きな影響を与えることになり、教育環境を整えるよりもより簡単にコストもかけることなく取り組むことができます。
高額な費用がかかりがちな塾などの教育投資を検討する前にこういった部分から少しずつ見直して子供の学力や向上心を伸ばしていってみてはいかがでしょうか。
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(文/中村葵)