年収を上げたい

主婦のアルバイトが変わる?世帯年収と配偶者控除制度の変化

投稿日:2016年12月22日 更新日:


主婦のアルバイト事情に変化が起こりそうです。子どもが幼稚園や学校に上がったのを機に、「時間があるなら少しでも家計の足しに」と、パート・アルバイトの形で働く主婦は増えていますね。

これまでパート・アルバイトの形で働いていた主婦は、世帯年収との兼ね合いを考えて給料が一定の額を過ぎないように気を配っていたのではないでしょうか?世帯年収が一定の額を超えると夫の扶養に入れなかったり、納税の義務が出てきたりするからです。

ところが、早ければ2017年から、主婦のパート・アルバイト事情に変化が起こる兆しです。いったいどう変わりそうなのか、主婦の働き方にどう影響してくるのかみていきましょう。

103万円の壁は150万円の壁に変わりそうだ

2017年度の税制改正で、配偶者控除の廃止が見送られることになりました。

配偶者控除とは、妻の年収が103万円を超えない限り、世帯主である夫の課税所得から38万円を差し引くことができるという制度で、専業主婦やパートの主婦がいる世帯の税負担を軽くすることが目的。

それで、これまでは「年収103万円の壁」といわれ、主婦は年収を何としてでも103万円におさえるべく工夫を凝らしてきました。

そもそもなぜ配偶者控除を廃止しようという話が持ち上がったのかというと、配偶者控除が廃止されれば、主婦は年収を103万円以下におさえなくてもよくなるため、女性が社会進出しやすくなるというのが一つの理由です。

でも、配偶者制度が廃止されれば増税となる世帯が多くなるので、それは反発を招きます。そこで持ち上がったのが「夫婦控除」。夫婦控除とは、妻の年収に関係なく、夫婦であれば一定額を控除する、というもの。

しかしこれでは控除の対象が増えすぎてしまうので、やはり年収に上限を設ける必要が出てきます。そうしたとしても、制度改正の結果増税となる世帯は増えてしまいます。政府与党が「配偶者控除」の廃止を見送ったのは、増税になってしまう世帯からの反発を懸念してのことのようです。

現時点で有力な改正案としては、配偶者控除は残し、妻の年収上限を103万円から150万円に引き上げよう、というものです。それでも「150万円の壁」はできてしまうものの、これまで年収を103万円におさえていた主婦は、自由に働けるゆとりが少し広がることになりますね。

「103万円の壁」が「150万円の壁」に変わるのと同時に、夫の年収にも上限を設ける方向で話は進んでいるようです。それなので、どっちみち増税になる世帯は出ることになるでしょう。

配偶者控除とバイトの関係

というわけで、いまのところ配偶者控除の廃止は見送られているものの、税制改革の論議の結論はまだ出ていないので、いまだはっきりとしない状態です。今後税制が改正されるとしても、主婦の働き方によっては手取りが減ってしまうという状況は相変わらず生じます。

今後どのように話が進んでいくか分からない状態ですが、103万円の壁が150万円に引き上げられるなら、やはり主婦はその壁を超えないようにパート、アルバイトのシフトを組んでもらう必要がありますね。それを超えてしまうと、数十万円という税金を支払う義務が出てくることもあります。

扶養控除が認められないケース

ここまでで、配偶者控除(扶養控除)について考えてきました。つまり、夫の扶養に入っている場合、妻はパート・アルバイトで収入を得ていても103万円(あるいは今後は150万円)以下に収まっていれば納税義務はなく、夫の課税所得から38万円を差し引くことができる、というもの。

ところが、副収入を得ている主婦の皆が皆、扶養控除を認められるわけではないので注意が必要です。

扶養控除が受けられるのは、雇用形態が「労働契約(雇用契約)」の場合に限ります。妻の年収が103万円以下だったとしても、雇用形態が「業務委託」の場合、収入が38万円を超えた時点で納税義務が生じるので要注意。その場合「事業所得」となり、夫の扶養からも外れます。

自分の雇用形態を確認したい場合、会社から渡される書類を確認してみましょう。労働契約の場合、書類には「平成○年分 給与所得源泉徴収票」と書いてあり、「給与所得」であることがはっきり分かります。

もしも「業務委託」の場合、書類には「平成○年分 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と書いてあり、「事業所得」ということが分かります。

130万円の壁も106万円になった

2016年10月まで、「103万円の壁」とは別に130万円の壁」というのが存在していました。これは何かというと、会社員や公務員の妻は、パートやアルバイトで収入があったとしても130万円に達していなければ社会保険料を納める必要がない、というもの。

社会保険料には健康保険料や厚生年金保険料が含まれ、支払い義務があるとすれば健康保険料で5、厚生年金保険料で9が毎回給料から差し引かれます。

妻の年収が200万円の場合、社会保険料として年間28万円が差し引かれるのでこの差は大きいです。これまで、妻の年収が130万円以下であれば、社会保険の加入は免除されていました。

しかし、この「130万円の壁」も2016年10月をもって106万円の壁」変更になりました。とはいっても社会保険の加入義務が生じるのは、

  • パートとして1年以上勤務する見込みがある場合
  • また、パート先が社員数501人以上の会社である場合

のみ。

今後、年収が105万円(月収にして87,500円)の主婦はそのままそっくり手取りとしてもらえますが、年収106万円(月収にして88,300円ほど)になると、社会保険料として年間約14万円が給料から差し引かれ、手取りは約92万円に下がってしまうことになるので要注意です!

配偶者控除を越えるなら、フルタイムで共働きのほうがよいかも

上で考えたように、会社員や公務員の妻の収入が106万円を超えると「社会保険料の加入義務」が生じ、手取りが少なくなります。手取りが減るのは痛いですが、社会保険に加入するメリットがあるのも事実。

厚生年金保険に加入すれば、老後の年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類を受給できるようになります。

現役で働いている間は、給料から数%差し引かれてちょっと損した気分になることもありますが、それで老後にゆとりが生まれるならその方がいいかもしれません。

また、社会保険に加入すると、万が一体調を崩して働けなくなった場合、4日目以降から傷病手当金を受けることができます。傷病手当金の金額は、休む前の給与の3分の2。それを1年6ヵ月受けることができるので、健康をしっかりと回復させてからゆっくりと次の職探しをすることもできます。

というわけで、主婦が働きたい場合、年収が106万円を超えるなら、無理して抑えるよりも働けるだけ働いて、社会保険に加入するのもいいのではないでしょうか?

額面の壁の認識を持とう!

ここまでで、主婦のアルバイト事情の変化、世帯年収との兼ね合いや配偶者控除制度の変化などについて考えてみました。

納税のために手取りが減ると、損した気持ちになることがあります。でも、みんなが納める税金によって住みやすい日本がつくられていくわけですから、税金は良心的に納めたいものです。

とはいえ、年収がたったの10,000円オーバーしたせいで納税額が一気に20万円も増えるのはやっぱり残念なものです。少しでも家計の足しにと、体に鞭打って働いて稼いだお金。大事に使いたいですよね?

夫の扶養に入っている主婦のみなさん、ここで考えた「106万円の壁」と「150万円の壁」をしっかり意識して働きましょう。

(文/河原まり)

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