あなたは、自分の最終学歴のせいで、あるいはおかげで仕事で通常と異なる扱いを受けたことはあるだろうか。最終学歴は、この社会で働くに当たって、割と重視される。一流企業と呼ばれる仕事場では、最終学歴が大卒以上でないと、なかなか採用されにくい。
一方で、肉体労働が多い職場では、学の有無より体力が最優先されるので、中卒、高卒でも活躍するチャンスがある。しかし、中にはさほど素晴らしい職場でもなく、給与体系もしょぼいのに、何故か学歴を優先してしまう、見栄に走った企業も少なくない。
こういう企業には、学歴を重んじ、学歴を誇るばかりで、人間性が充実していない社会人も集まることとなってしまいかねない。
学歴が大事と考える人々の傾向
「日刊SPA!」が先日、興味深いアンケートを実施していたので、ちょっとこちらでざっくり概要をご紹介していきたい。
30歳から49歳までのサラリーマン600人を対象に行った「学歴は必要だと思いますか?」という質問。これに対して、実に77.7%が「YES」と回答していたというのだ。
多くの社会人、サラリーマンの心中には、やっぱり学歴というものを尊重する思いというものはあるようだ。
また、このアンケートへの回答をしたサラリーマンについて、年収別で分析したところ、学歴が必要と考えるサラリーマンの中で、特に年収800万円層がもっとも比率が高いことも分かった。
現在の30代以降の男性労働者の年収は、平均して500万円といったところ。年収800万円のサラリーマンというのは、つまりちょっとした小金持ちということになる。こういう小金持ちが、学歴を偏重しているのだ。
学歴だけで人を判断して失敗する人々
ただし、学歴ばかりに目を向けて、人材の本質についての目が曇ってしまっているケースもあるだろう。端的に言えば、現在のテレビメディアなどはこの目がとにかく曇り切っている。
例えば学歴から職歴から顔から、何から何まで詐称しまくっていたショーンKという男が、ついこの間までテレビやラジオ、講演会では人気だった。
あれなどはまさに、異色の学歴と端正なルックスの相乗効果で、出会った人々が思わずコロリと騙されてしまっていた事例だろう。
日本人は、ルックスの優れた人間を無条件で信用してしまいがちだし、学歴を何よりも尊重する一方で、その学歴の真贋なんか確かめたりもしないお人良しも少なくない。
ショーンKは恐らく、そういう私たちの性質を上手く利用して、ほくそ笑みながら自分の生活を潤わせていたのだろう。
いざ嘘が露見したら全員が全員、手のひらを返したように批判していたが、僕からしてみれば騙される人間も悪いのであって、そこは怒るのではなく、学歴に免疫を持たない浅はかさを悔いるべきだったのではないかと思う。
学歴だけで仕事を手にするわけではない
学歴をあまりに重視すると、結局学歴さえあれば仕事ができるのではないかという錯覚を生むことになる。
実際、僕が過去に取材した若者に、面接を何度経ても採用されない、学歴しか取り得のない男の子がいたが、彼の場合はあまりに学歴ばかりを追求していったために、人として当然の社交性が皆無だった。
しかし、聞けばそういうふうに育てたのは、最終学歴が高卒の両親だったようだ。
つまり、自分たちが高卒で歯がゆい思いをしたために、わが子にはそういう思いをさせまいとして、勉強の日々を強いていたというのである。
結果的に志望校には入れたし、立派な最終学歴を手にしたこの男の子だったが、強みがそれしかないのであれば、社会で生き残ることはできないだろう。
学歴をあまりに重視してしまうがゆえの失敗談だ。
(文/松本ミゾレ)