筆者は風俗に出向いたことがない。
風俗店や勤務している女性を取材することはあっても、実際に利用したことはない。
これは別にかっこつけているわけでも、お高くとまっているわけでもない。
親戚が風俗で働いていることもあって、どうにもこうにも、行く気がしないのだ。
ほら、自分の母親が看護婦をやってると、アダルトビデオを借りる際に、ナースモノを意図的に避けたりするじゃない?
あれと同じ感じで、なんとなく意識して「やめとくか」となってしまうだけなのだ。
しかもこの親戚というのが、ぶっちゃけ風俗店にいいように利用されて、搾取されまくっていた過去があるから、余計に印象もよくない。
ちょっとその話でもしよう。
いとこは知的障害者。その弱みに付け込む悪質店
前述の風俗店で勤務している親戚とは、筆者のいとこにあたる女性である。
このいとこを仮にYと呼ぶ。
Yは一見すると普通の身なりをしているが、実は生まれつき知的障害を持っている。
知的障害は一般に、4つの段階に分けて区別されているそうだ
Yの場合、4段階のうちもっとも軽いとされているが、それでも学業レベルはおよそ10歳程度。
既に三十路は超えているが、日常生活はなんとかこなせるものの、昔から数字にとにかく弱かった。
大学受験ですってんてんになった結果、両親が「何かおかしい」と気付いたようで、病院で診てもらったところ、そこで初めて発覚をしたと聞いている。
要はそれほど目立たないレベルの知的障害だったというわけだ。
筆者も全く気付かなかった。
このように、障害も軽い段階になると、ほぼ健常者と見分けることは出来ない。
ただし、複雑な会話や計算に手間取るなど、本人にしか分からない苦労も多いという。
大学受験に失敗したYは、返す刀で就職をもくろんだ。
しかしこれも上手く行かず(事務を希望したが、実技試験で落とされることが多かったため)、次第に夜中まで遊び歩くことも増えていった。
そんな折知り合ったのが、風俗店の店長だという若い男だった。
早い話、この男に丸め込まれて、Yは風俗店に勤務するようになった。
後は簡単だ。障害のために騙されて給与を天引きされてしまっても気付かない。
毎日フル出勤して、月収210,000円程度という月もザラであった。
知的障害を持った女性が風俗店に勤務するケースは多いのでは?
話はYだけには留まらない。
こうした障害を持つ女性の中には、悪質な風俗店にスカウトされ、格安で働かされるというケースもある。
筆者が知っている限りでも、そういう事例は2つある。
そのうちの1つ。都内某所にある風俗店では、障害を持つ女性が勤務している。
もちろん店側は彼女の障害のことには気が付いているが、業務内容は「抜き」であるためその他の風俗嬢と違いはない。
しかも、後ろ盾がないか、あったとしてもそれを切り札にするという発想にまで至らないケースもあるようで、そんな場合は往々にして薄給で働かされるばかりでない。
寮に囲い込んで障害基礎年金まで踏んだくろうとする店もあるようだ。
がんじがらめにされ、生きるために稼ぐのではなく、稼ぐために生きるように仕向けられるのである。
この問題は今までに行政も、報道機関もが何度か警鐘を鳴らし続けている。
しかし表面化しにくい問題だけあって、根本的な解決には至らないままになっている。
障害を利用した悪質店舗、滅ぶべし
折りしも先日、筆者の知人がデリヘルを利用したところ、軽度の知的障害があると思しき女性がやってきたという話を披露していた。
最初は面食らったし、何故か小学生のような服装で、一切化粧もしていなかったことから完全に萎えてしまったということだが、子どもが見るような動画をYOUTUBEで観ている姿を眺めるうちに、無性に虚しくなったそうだ。
こういう人たちを使って平気で金儲けをするなんて、関係者はもう既に、生きながらにして地獄に堕ちているようなものである。
(文/松本ミゾレ)