消費の裾野の拡大とともに、中途採用を活発に行いはじめたノンバンク各社。その中でもブラックなイメージがつきまとう消費者金融だが、求人の詳細を見てみると内容は決して悪くない。
それどころか、大手消費者金融アイフルの求人に至っては、ひときわ大きく「定着率97.3%」の文字が踊る(2016年1月現在)。最盛期から急転直下、過払い請求の増加という冬の時代を耐え抜いた消費者金融業界はどう変わったのか。
実は女性のパートや再就職にも最適な、今どきの消費者金融の実態に迫ってみよう。
ブラックなイメージが先行してしまう理由
もともとは確かにブラックな業界だった。1970年代後半から1980年代初頭にかけては高金利・過剰貸し付け・執拗な取り立てが横行し「サラ金問題」として社会問題化した。
また、1990年代から2000年代前半にはバブル崩壊後の小口借り入れのニーズ増加にともない、TVCMによるイメージ戦略も大当たりし、消費者金融の隆盛はピークを極めることとなる。
しかし、依然として業界の体質は変わっていなかった。ブラックなイメージが先行してしまうのも当然、業界が大きく変わりはじめたのはここ10年程のことなのである。
今やホワイト企業!法令遵守が徹底された職場環境
先入観を排除し、客観的に各社の職場環境だけ見てみると、「年間休日120日以上」「残業代1分単位で支給」「交通費全額支給」といった項目をはじめ、充実した福利厚生や休暇制度などが目にとまる。給与や賞与の条件も悪くなく、業務のシステム化も進んでおり、有休消化率も高い。
また、産休や育休の取得も推奨されており、就業時間も徹底管理されているなど、女性が働きやすい仕組みが整っている点にも注目したい。
職場環境においては、現在の大手消費者金融各社はまさにホワイト企業と言って差しつかえないだろう。過払い請求がピークアウトし経営基盤も安定してきているため、今後も安定した経営が続きそうだ。
ホワイト化の理由とは?
業界がここまで激変した理由は何か?もちろん単なる企業努力などではない。度重なる法令改正などで、「変わらざるをえなかった」というのが本音だ。
かつては過剰な営業や回収を行っていた消費者金融業界だが、改正貸金行法の施行により、そういった手法に徹底した制限が課された。それにより、現場社員の暴走を引き起こしかねない高いノルマ設定も廃止されることとなる。
また、貸し付けの金額を年収の1/3までとする総量規制の影響も大きい。融資を受ける選択肢として顧客から1番手か2番手に選ばれないと、顧客の借入枠がなくなってしまうのだ。
そのため、各社ともさらに企業イメージを向上させようとコンプライアンス遵守を徹底し、顧客対応や社員に対する待遇は劇的に改善された。
消費者金融のウソ・ホント
ネット上には消費者金融の仕事についてまことしやかな噂が流れている。ここではその一部の真偽を見てみよう。
家族にブラックの人がいると就職できない→ウソ。
俗に「ブラック情報」などと呼ばれる個人の延滞情報は、本人の融資判断にしか利用できない仕組みになっている。大手企業ではシステム的にも融資審査の時にしか見ることができなくなっており、そもそも家族にブラックの人間がいるかどうかを確認することすらできない。
仕事が消費者金融だと、他のローン審査で不利になる!?→ウソ。
ローン審査において、消費者金融勤務がマイナス要因となるような融資制限はどの金融機関でも見られない。むしろ、現在では比較的高収入で安定した部類に入る消費者金融勤務という属性はローン審査でもプラス要因となる。
実利をとるか?イメージをとるか?
このように、就職先として非常に安定した魅力をもつ消費者金融業界。世間ではまだまだ悪い印象をもつ人もたくさんいることは事実だ。実利優先で務めてみるか、イメージ優先で他の業界に就職するか、あなたならどちらを選ぶだろうか。
(文/古川靖)