他人の家のお金の具合が、自分や自分の家と比較してどうなのかというのは気になるところですよね。
よくネットでもそのような興味を反映して、年代別の年収比較などが出ていますが、ここでは逆に借金を人々がどれくらいしているのか、ということについて調べてみました。
それも、結婚したり子供ができたりという、1番家族構成が変わる30代ではどうなのか、ということに焦点を絞ってその実態を解明していきます。
30代の借金の実態を徹底分析
まず、30代の借金の実態をデータで見てみましょう。
30代の借金をしている人の割合は?
「全国消費実態調査」というデータによると、30代が世帯主の総世帯のうち55.7%が借金をしています。そしてそのうち38.1%がほぼ住宅ローンという実態です。
これは、男女とも未婚率が高まってはいるものの、しかし30代ともなれば既婚者が多くなるという事実の反映でしょう。
特に30代も後半になると、子供ができて世帯人数が増えたり、将来を考えて賃貸住宅からマンションなどを購入して転居する人が増えて来る年代です。その購入資金はほとんどの場合、住宅ローンという形の借金によるものでしょうから、まさにその実態がデータに現れています。
さらにそれを独身と既婚の世帯の種類別に見ると以下のようになります。
既婚世帯
既婚世帯のうち62.5%が借金あり。
うち47.6%が住宅ローンによる借金で、それ以外の借金のみの世帯が17.6%。
男性単身世帯
男性単身世帯のうち44.0%が借金あり。
うち16.9%が住宅ローンによるもので、それ以外の借金のみの男性は27.1%。
つまり独身男性で1人でマンションを購入した人は、ほぼ17%いるという実態です。
女性単身世帯
女性単身世帯のうち24.2%が借金あり。
うち住宅ローンを持っている人はわずか2.0%。それ以外の借金のみという人は、22.2%。
つまり女性の方が、ある意味1人で生きていくという人生設計をまだこの段階では立てていないという面が見られます。
あるいは、この段階ではまだ「婚活」中で、結婚後に住宅購入をと考えていることと、そもそも年収が男性比べて低いので、マンションなどの購入が難しいという可能性もあるでしょう。
借金の平均額は?
次に、借金の平均額を見てみます。
30代全体
30代全体でみると平均額は863万円で、そのうち821万円が住宅ローン。その他の借金が42万です。
既婚世帯
既婚世帯は平均額が1061万円で、うち住宅ローンが1013万円。その他が49万。
単身男性
単身男性は平均額が473万円で、うち住宅ローンが473万。その他が45万。
単身女性
単身女性は平均が34万円で、住宅ローン24万。
ただし、人数割合の2%の人の借金を単身女性全員で平均している数字ですから、実際に借金をしている人の中での平均額はやはり500万円近いでしょう。
またその他の借金は10万で、単身の男性に比べて堅実に節約生活を送っている状況がうかがわれます。
借金の目的は?
さらに、借金をした目的、使途を見てみます。これは、既婚と単身のデータだけです。それによれば
既婚世帯は、住宅資金が66.5%、耐久消費財が24.8%、あとは軒並み数%なので、ほぼ住宅ローンと、それに伴う家電製品や家具の購入費用、あるいは自家用車のローンというのが実態でしょう。
単身世帯は、生活費35.1%、耐久消費財19.6%、レジャー16.5%ですので、既婚世帯とはかなり違います。耐久消費財はほぼ車でしょうが、生活費で35%を占める、というところが問題かもしれません。
年収に対する割合は?
ただ、借金総額や借金をしている人の割合だけは見えて来ないのが、その世帯のバランスシートの健全さです。これは手取りではなく額面の年収に対する借金の割合で見てみました。それによれば、
男性の場合は平均年収440万円に対して、単身の男性だけで見ると年収の1.075倍の借金を抱えています。
女性の場合は平均年収296万円に対して 単身の女性だけで見ると年収の0.11倍の借金ですから、ほぼ無借金ということです。やはり女性がいかに収入の範囲内で堅実に生活しているか、というのが分かります。
住宅ローン以外の借金の実態を推測する
さて、もう少し突っ込んで分析してみましょう。住宅という数千万の買い物をして、そのローンとしての借金を負っているというのは、ある意味普通なのであまり借金の実態、つまり30代の経済生活の「質」ということが見えてきません。
そこで、住宅ローン以外の借金の実態を推測しました。
どこから借金しているのか
まず、住宅ローン以外の借金をどこからしているのか、ということですが、たとえば消費者金融などに限った場合はどうかということです。
これは全年代でのデータになりますが、消費者金融のカードローンやキャッシングをしている人は国民全体で550万人以上、1人当たりの貸付残高は47万円というデータがあります。
成人人口が約1億人ですので、大人の20人に1人は消費者金融のキャッシングを利用している計算です。
おそらく、年代との相関はあまりないという予測と、貸付残高が既婚世帯と男性世帯の住宅ローン以外の借金額とおおむね等しいところから見て、住宅ローン以外はほぼ消費者金融から借金していると見ていいでしょう。
自己破産の実態は?
さらに、消費者金融での借金というと、多重債務から返済不能に至って、最後は自己破産という道筋も見えてしまいます。そこで、自己破産の実態を見ました。
自己破産をした男女の年代構成を見ると、
- 1位30代(占有比26.1%)
- 2位40代(24.0%)
- 3位50歳代(21.4%)
- 4位60代(12.5%)
- 5位20代(12.0%)
- 6位70代(3.9%)
になっており、やはり30代の消費者金融利用、そして自己破産という事例はかなりあるように推定されます。
また自己破産をした借金の理由は1位が生活苦・低所得(占有比26.4%)で、2位以下を大きく引き離しています。以下は、
- 2位借金の返済(11.7%)
- 3位保証債務・連帯保証の肩代わり(10.4%)
- 4位病気・医療費(8.7%)
- 5位事業資金(7.8%)
- 6位会社の倒産・失業・転職(6.0%)
- 7位給料の減少の補填(4.7%)
- 8位住宅購入(4.07%)
となっています。
これは年代別ではないので、生活苦などが理由の自己破産は中高年に偏っているという予測もできますが、いずれにしても遊興費での自己破産は意外に少ないということは言えそうです。
関連記事
Yahoo知恵袋から実態を拾うと
またこのような数字だけでは見えてこない実態を、Yahoo知恵袋の悩み相談の中から2つ拾ってみました。
ここから見えるのは、やはり遊興費での借金苦ではなく、生活費や奨学金などの返済により、消費者金融などに頼っている姿です。
借金地獄
30代女性です。既婚の子供2人います。
2人目育休中どうしてもお金が足りずプロミスに58万借り入れしました。その他借り入れは銀行カードローンで50万。
年収200以下ですが、最近テレビで借金地獄の話題を目にし、支払いができないと借り入れてはと自転車操業になるとまさに私の状況でした。
旦那には絶対に知られたくありません。
- プロミスで月15000
- 銀行カードローン月10000
を返済してますが、ローンおまとめはできるのでしょうか?
夫(30代前半)の奨学金返済について悩んでいます。
夫の奨学金
- 残元金450万(年利1%)
- 上記のうち滞納金230万(うち延滞金40万)
- 現在の現金貯蓄額250万
- 貯蓄性終身保険と学資保険
により老後と学費についての見通しは立っております
- 年収 夫450万 私370万(育休明け時短)
- 月手取り40万
- 月貯蓄額10万
- 数年後マイホーム購入希望
- 数年後第二子を考えている
全く返済されていない残念な金額や現在の現金貯蓄額の低さについては、夫も私も充分反省し、話し合いも重ねております。
一方では貯金もしている実態も
しかし一方では、借金だけではなく貯蓄もしっかりしているという実態があることを示しておきましょう。
以下が30代の平均貯金金額です。まず定期預金など金融資産だけで見ると、
- 既婚世帯:370万円
- 単身世帯:461万円
さらに、ここに学費保険や生命保険などで積み立てている流動性のない金融資産を加えると、
- 既婚世帯:656万円
- 単身世帯:795万円
となります。このデータでは、住宅を購入し頭金を払った残りの貯金を含んだ平均額なのか、住宅ローン借り入れ前のデータなのかということが判然としませんが、しかし30代は借金も抱えながら、ある程度は貯蓄もしているという実態も見えてきそうです。
まとめ
いかがでしたか。
ご自身の世帯は平均と比べて借金は多いでしょうか、少ないでしょうか。しかし問題は借金額の多寡ではなく、
- きちんとした生活設計と返済計画に基づいて返済できる借金なのか
- そして収入に対して借金額が過大ではないか
- そして借金の目的が生活費やギャンブルなどの消費されていくものではなく、住宅などの資産購入に使われているものなのか
という点です。そこから見た時には、日本の30代の平均像はまずまず健全だということが言えるでしょう。